学校保健統計と学童期肥満
小児看護学 / 小児の心理発達・権利・社会
解説
学校保健とは、児童生徒の健康の保持増進と健全な発育を支えるために学校で行われる活動の総称です。今回は学校保健の枠組みと、学童期に問題となる肥満について解説します。
学校保健の法的枠組み
学校保健の基本となる法律は学校保健安全法です。この法律は、学校における健康診断、感染症による出席停止や臨時休業、学校保健計画、学校環境衛生基準などを規定しています。学校保健を担う職種としては、健康診断や保健指導の中心となる養護教諭のほか、学校医、学校歯科医、学校薬剤師が置かれ、それぞれの専門性を生かして児童生徒の健康を支えています。
学校保健統計調査と健康診断
学校保健統計調査は文部科学省が毎年実施している調査で、学校で行われる定期健康診断の結果を集計したものです。定期健康診断では、身長、体重、栄養状態、脊柱や胸郭の異常、視力、聴力、皮膚、四肢の状態、歯および口腔、結核、心臓の疾患、尿などを検査します。これにより、学童期から思春期にかけての疾病や異常の傾向を全国規模で把握できます。
学童期の疾病・異常被患率
平成30年(2018年)の学校保健統計調査によると、小学校(学童期)の被患率は第1位が**むし歯(う歯)**で約45%、第2位が裸眼視力1.0未満で約34%、第3位が鼻・副鼻腔疾患となっています。学童期は乳歯から永久歯への生え替わりの時期で、口腔衛生習慣が定着していないとう歯が進行しやすく、間食や砂糖摂取の影響も受けやすいことが背景にあります。近年はう歯が減少する一方、近視傾向の強まりにより裸眼視力1.0未満がう歯を上回る年も出てきており、中学校・高等学校では視力低下が第1位となります。
学童期肥満の評価
学童期の肥満は肥満度で評価し、計算式は(実測体重−標準体重)÷標準体重×100(%)です。肥満度が+20%以上で軽度肥満、+30%以上で中等度肥満、+50%以上で高度肥満と分類されます。なお幼児期では+15%以上を肥満とします。
学童期肥満の特徴と将来リスク
学童期肥満で特に重要なのは、その約70〜80%が成人肥満に移行するという点です。背景には、小児期の肥満が脂肪細胞の「数」そのものが増える細胞増殖型肥満を伴いやすいことがあります。一度増えた脂肪細胞は減りにくいため、成人期に減量しても再増加しやすく難治となります。さらに学童期から高血圧、脂質異常症、2型糖尿病、脂肪肝、動脈硬化といった生活習慣病のリスクが蓄積するため、早期の予防と介入が重要です。
予防と介入
介入の柱は食事、運動、生活リズムの改善です。食事指導では極端な減量ではなく、栄養バランスと食習慣の見直しを優先します。運動習慣の確立、十分な睡眠と規則正しい生活リズム、そして家族ぐるみでの取り組みが効果的です。加えて、肥満はいじめや自尊感情の低下など心理社会的問題を招きやすいため、心理的配慮も欠かせません。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
学校保健の基本を定める法律はである。
- 2.
学校で実施された定期健康診断の結果を集計し、文部科学省が毎年公表している調査をという。
- 3.
平成30年の学校保健統計調査において、小学校(学童期)の被患率で第1位であったのはである。
- 4.
同調査における学童期の被患率第2位はであった。
- 5.
学童期の肥満度は、(実測体重−標準体重)÷標準体重×(%)で算出する。
- 6.
学童期では肥満度+20%以上を軽度肥満、+%以上を中等度肥満、+50%以上を高度肥満とする。
- 7.
学童期肥満は脂肪細胞の数が増える肥満を伴いやすく、成人肥満より難治とされる。
- 8.
学童期肥満の約70〜80%はに移行するとされる。
- 9.
学校で健康診断や保健指導を中心的に担う教員職はである。
