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小児の看護技術

小児看護学 / 小児看護技術・救急・トリアージ

解説

小児の看護技術とは、成人と異なる発達段階・身体的特徴・心理社会的特性をもつ子どもに対して、安全かつ効果的にケアを提供するための技術です。今回は小児看護に欠かせない基本姿勢、痛みの評価、疼痛緩和、PCA、採尿バッグ、与薬、プレパレーションについて解説します。

小児看護の基本姿勢

小児看護では、子どもの発達段階に応じたケアと、家族を一つの単位として支える家族中心のケアが基本となります。子どもは自分の状況をうまく言葉で表現できないため、看護師は表情・行動・バイタルサインから多面的に状態を捉える必要があります。また、処置に伴う恐怖や不安を最小限にするため、事前の心理的準備であるプレパレーションや、処置中の気そらしであるディストラクションを積極的に活用します。転倒・転落、誤嚥、誤薬などの安全管理も成人以上に厳重に行います。

乳幼児の微細運動の発達

乳幼児期の微細運動(手指運動)は、握る→つまむ→道具を使うという順序で段階的に獲得されていきます。最も早く獲得されるのは手のひら全体で物を握る動作で、生後3〜4か月ごろにはガラガラを握ることができるようになります。続いて生後9〜10か月ごろには母指と示指を使って小さな物をつまむ(ピンチ動作)ことが可能となり、1歳半〜2歳ごろにはスプーンやクレヨンなど道具を使う動作へと発展していきます。看護師は微細運動の発達段階を把握し、月齢に応じた玩具の提供や誤飲予防の指導を行います。

発達段階に応じた痛みの評価

小児の痛みは発達段階によって表現が異なるため、評価ツールを使い分けます。新生児にはNIPSやPIPPなど、表情・啼泣・四肢の動きから評価する行動指標を用います。乳幼児には顔・脚・活動性・啼泣・なだめやすさの5項目で評価するFLACCスケールが適しています。3歳ごろからは自己申告が可能になるため、6段階の表情で痛みを選ぶWong-Bakerフェイススケールが有効です。学童期以上では数値で表現するNRSや、線上に示すVASを使用します。

非薬物的疼痛緩和

薬物療法と並行して、非薬物的な疼痛緩和も重要です。新生児には母乳やショ糖水の経口投与が採血時などの処置痛に有効とされています。乳幼児・学童期には遊び・絵本・タブレット動画などによるディストラクション、抱っこ、音楽、リラクセーション、そして処置前のプレパレーションが用いられます。

PCAの仕組みと小児への応用

PCA(患者自己調節鎮痛法)とは、患者自身がボタンを押して鎮痛薬の追加投与(ボーラス)を行える方法です。ベースの持続投与に加え、痛みが出始めたときに早めにボタンを押すことで効果的に痛みをコントロールできます。過量投与を防ぐため、一定時間内に追加投与できないロックアウトタイムが設定されています。小児では本人の認知機能を見極め、自己管理が難しい場合は看護師管理のNCAや家族管理に切り替えます。

採尿バッグの正しい使用

排尿が自立していない乳幼児の一般尿採取には採尿バッグを用います。貼付前に陰部を清拭・乾燥させ、接着不良を防ぎます。男児では陰茎全体を採尿口の中に完全に入れ、開口部の下縁を陰茎の根元に密着させます。女児では大陰唇の外側を覆うように貼付します。袋に少量の空気を入れておくと尿が逆流しにくくなります。排尿確認後は速やかに取り外し、皮膚をぬるま湯で清拭します。なお細菌検査用の中間尿は汚染リスクが高いため、清浄な容器やカテーテル採尿を検討します。

乳児への与薬

散剤はごく少量の湯冷ましでペースト状に練り、頬の内側や上顎に塗りつけてから白湯を飲ませます。服薬直後は口腔内に残った薬を湯冷ましで洗い流します。シロップ剤は容器ごと振って計量し、スポイトで頬の内側にゆっくり流し込みます。授乳のタイミングは服薬と前後にずらします。ミルクに混ぜることは禁忌で、ミルク嫌いの原因となります。またはちみつは1歳未満で乳児ボツリヌス症のリスクがあるため禁忌です。ジュースなど酸味のある飲料は苦味を増す薬もあるため、混合可否は薬剤師に相談します。

プレパレーション

プレパレーションは、処置前に発達段階に合わせた具体的な説明を行い、子どもの心理的準備を促すケアです。学童期はピアジェの具体的操作期にあたるため、実際の器具や人形を見せながら説明すると理解が進みます。子どもに嘘をつかず、痛みがある場合は「少しチクッとする」と正直に伝えることが信頼関係の基盤となります。

まとめ

小児の看護技術は、発達段階の理解を土台に、痛みの評価・緩和、安全な与薬、適切な検体採取、そして心理的支援を統合して実践するものです。家族中心のケアとプレパレーションを基本姿勢とし、禁忌や安全域に留意して根拠あるケアを提供しましょう。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    新生児の痛みの評価にはやPIPPが用いられる。

  2. 2.

    乳幼児の痛みの評価で、顔・脚・活動性・啼泣・なだめやすさの5項目で評価するスケールをスケールという。

  3. 3.

    3歳ごろから自己申告が可能になり、表情で痛みを選ぶスケールをフェイススケールという。

  4. 4.

    患者自身がボタンを押して鎮痛薬を追加投与する方法をといい、過量投与を防ぐためにが設定されている。

  5. 5.

    採尿バッグの貼付で、男児では陰茎全体を採尿口の中に入れ、女児ではの外側を覆うように貼付する。

  6. 6.

    乳児への散剤は少量の湯冷ましでペースト状にし、や上顎に塗りつけて白湯を飲ませる。

  7. 7.

    乳児への与薬で、ミルクに混ぜることはであり、はちみつは1歳未満でのリスクがあるため使用しない。

  8. 8.

    処置前に発達段階に応じた説明を行い、子どもの心理的準備を促すケアをという。

  9. 9.

    新生児の処置痛緩和には、非薬物的な方法としてやショ糖水の経口投与が有効である。

  10. 10.

    乳幼児の微細運動は→つまむ→道具を使う、の順で発達し、生後3〜4か月ごろにはガラガラを握ることができるようになる。

  11. 11.

    母指と示指で小さな物をつまむ動作は生後9〜10か月ごろに獲得される。

小児の看護技術」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。