二分脊椎と自己導尿
小児看護学 / 小児神経・運動器・発達障害
解説
二分脊椎とは、胎生期に脊椎の後方部分が完全に閉じずに残る先天奇形であり、神経管閉鎖障害の代表的な疾患です。今回は二分脊椎の病態と、合併する神経因性膀胱に対する間欠的自己導尿、そして患児・家族への看護支援について解説します。
二分脊椎の病態と予防
二分脊椎は、脊髄や髄膜が脊椎の欠損部から脱出するかどうかで分類されます。脊髄組織が脱出する脊髄髄膜瘤が最も重症で、髄膜のみが脱出する髄膜瘤、外見上は異常がみられない潜在性二分脊椎があります。
障害の程度は損傷部位より下位の神経に現れ、下肢の運動麻痺・感覚障害、足部変形、そして膀胱直腸障害(神経因性膀胱・神経因性直腸)を生じます。合併症としてキアリII型奇形や水頭症を伴うことが多く、水頭症に対しては脳室腹腔シャント術が行われます。成長に伴い脊髄が引き伸ばされて症状が悪化するテザードコード症候群にも注意が必要です。
予防としては、妊娠前から妊娠初期にかけての葉酸摂取が重要で、モノグルタミン酸型として1日400μgの摂取が推奨されています。
間欠的自己導尿(CIC)の意義
神経因性膀胱では尿が十分に排出されず、残尿の増加・尿失禁・尿路感染・水腎症・腎機能低下を招きます。これを予防する標準治療が間欠的自己導尿(CIC:Clean Intermittent Catheterization)です。1日数回、定時にカテーテルを尿道から挿入して膀胱内の尿を完全に排出します。
在宅や学校で行う場合は、滅菌操作ではなく清潔的(clean)操作が一般的で、流水での手洗いと素手で実施します。繰り返し使用するカテーテルは使用後に洗浄し、乾燥した状態で清潔に保管します。
自己導尿の手技のポイント
陰部の清拭は清潔部位から不潔部位への方向で行います。男児は尿道口から外側に向かって、女児は恥骨側から肛門側へ向かって拭きます。
カテーテルを挿入し、尿が流出し始めた位置がカテーテル先端が膀胱に到達した目安です。そこでカテーテルを保持・固定し、それ以上深く挿入しないことで膀胱壁の損傷や再汚染を防ぎます。尿の流出が完全に止まるまで待ってから抜去することで残尿を最小限にします。
自立支援とスモールステップ法
自己導尿は、(1)手洗いと物品準備、(2)衣服の上げ下げと体位調整、(3)陰部清拭、(4)カテーテル挿入、(5)排尿確認と抜去、(6)片付けと記録、という工程に分けられます。子どもの発達段階に合わせて、できる工程から少しずつ任せていくスモールステップ法で進めます。
エリクソンの発達課題では、幼児後期は「自主性 対 罪悪感」、学童期は「勤勉性 対 劣等感」、思春期は「同一性 対 同一性拡散」とされ、成功体験を積み重ねることが自尊感情の育成につながります。
学校生活への支援とトランジションケア
2021年に成立した医療的ケア児支援法により、学校でも導尿などの医療的ケアを受けながら学べる体制が整えられています。プライバシーの確保できる保健室や個室トイレを利用し、養護教諭や担任、看護師、支援員との連携が欠かせません。
思春期には自立心と羞恥心が強くなり、医療的ケアの管理が後回しになりがちです。頭ごなしに指示するのではなく、本人から学校での実施状況を聞き取り、必要な支援を一緒に考える姿勢が求められます。小児医療から成人医療へつなぐトランジションケアとして、本人主体の意思決定支援を行います。
尿路感染の早期発見
導尿が不十分で残尿が増えると、細菌が増殖し尿路感染を起こします。さらに膀胱尿管逆流から腎盂腎炎、腎機能障害へと悪循環に陥るため、尿混濁・尿沈渣異常・発熱などの所見を早期に発見し、導尿手技と回数を見直すことが重要です。
まとめ
二分脊椎は神経管閉鎖障害により下肢麻痺と膀胱直腸障害を生じる先天疾患で、間欠的自己導尿により腎機能を守ることが生涯にわたる課題となります。看護師は発達段階に応じた言葉で手技を伝え、スモールステップ法で自立を支え、学校や成人医療への移行を見据えた継続的な支援を行うことが大切です。
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二分脊椎は、胎生期の脊椎閉鎖不全による先天奇形であり、の代表的疾患である。
- 2.
二分脊椎の予防として、妊娠前から妊娠初期にかけてモノグルタミン酸型のを1日μg摂取することが推奨されている。
- 3.
二分脊椎では損傷部位より下位の神経が障害され、下肢麻痺と障害を生じる。合併症としてがみられ、脳室腹腔シャント術が行われる。
- 4.
神経因性膀胱に対する標準治療は(CIC)であり、在宅や学校では滅菌操作ではなく的操作で行う。
- 5.
陰部の清拭は清潔部位から不潔部位へ行い、女児では側から側へ向かって拭く。
- 6.
カテーテル挿入時、尿が流出し始めた位置で保持・固定するのは、それ以上挿入することによる損傷を防ぐためである。
- 7.
自己導尿の自立支援では、できる工程から段階的に任せる法を用い、成功体験を積み重ねて自尊感情を育てる。エリクソンの発達課題で学童期は「 対 劣等感」とされる。
- 8.
学校での医療的ケアを支える法律として、2021年に成立したがある。
- 9.
小児医療から成人医療への移行支援をといい、思春期では本人主体の意思決定支援が重要である。
- 10.
導尿が不十分で残尿が増えると細菌が増殖し、から膀胱尿管逆流、腎盂腎炎へと進行し腎機能障害を招く悪循環に陥る。
