小児の骨折と整形外科
小児看護学 / 小児神経・運動器・発達障害
解説
小児の骨折と整形外科疾患は、成人とは異なる小児特有の骨の性質や成長への影響を踏まえた理解が必要です。今回は小児の骨折の特徴と代表的な整形外科的治療における看護について解説します。
小児の骨の特徴と骨折パターン
小児の骨は成人と比べて骨皮質が薄く、有機質であるコラーゲンの割合が高いため弾力性に富んでいます。また骨膜が厚くて強靭であり、骨癒合能力が高く自家矯正力も旺盛であることが特徴です。これらの解剖学的・生理学的特徴により、外力が加わっても骨が完全に折れず、一部が連続性を保ったまま変形する若木骨折(greenstick fracture)や、骨皮質が圧迫されて膨隆する隆起骨折(torus fracture)といった不全骨折が多くみられます。骨癒合が早く偽関節になりにくい反面、回旋変形や骨端部の変形は自家矯正されにくいため整復時には注意が必要です。
小児特有の損傷として、成長軟骨板(骨端線)を含むSalter-Harris分類があり、I型からV型まで5つに分類されます。III型からV型では成長障害を残す可能性があります。
上腕骨顆上骨折と介達牽引
上腕骨顆上骨折は3〜8歳の小児に好発する肘関節付近の骨折で、転倒時に手をついた際の外力が肘に伝わって起こります。治療では介達牽引が行われることが多く、これは皮膚に弾性包帯やスポンジを巻いて牽引力を加える方法で、整復位の保持と疼痛軽減に用いられます。
この骨折で最も注意すべき合併症がフォルクマン拘縮です。これは前腕屈筋群の虚血性壊死により鷲手変形を残す永続的な後遺症で、コンパートメント症候群の一種です。早期発見のためには5P徴候、すなわちPain(疼痛)、Pallor(蒼白)、Pulselessness(脈拍消失)、Paresthesia(感覚異常)、Paralysis(運動麻痺)の観察が重要です。弾性包帯は締め付けによる循環障害や神経障害、皮膚損傷のリスクがあるため、1日1回以上は巻き直して皮膚と末梢循環を観察します。
ギプス固定後の看護と日常生活指導
先天性内反足などの整形外科手術後にはギプス固定が行われます。ギプス固定後は静脈還流が低下し下肢の浮腫や疼痛が起きやすいため、患肢を心臓より高く挙上することが重要です。観察項目は前述の5Pに加え、皮膚色、冷感、しびれ、かゆみなどを確認します。強い疼痛や指先の蒼白を訴えた場合はコンパートメント症候群を疑い、速やかに医師へ報告します。
学童期の小児には発達段階に応じて、絵やパンフレットを用いて本人にも分かりやすい言葉で説明し、家族にも同様に指導することが大切です。
まとめ
小児の骨は弾力性に富み骨膜が厚く修復力が高いため、若木骨折などの不全骨折が多く自家矯正力も旺盛です。上腕骨顆上骨折では介達牽引中のフォルクマン拘縮予防のため5P観察と弾性包帯の巻き直しが、ギプス固定後では患肢挙上と循環観察が重要となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
小児の骨折で、骨が完全に折れず一部が連続性を保ったまま変形するものをという。
- 2.
小児の成長軟骨板(骨端線)を含む損傷の分類をという。
- 3.
3〜8歳の小児に好発し、転倒時に手をついて起こる肘関節付近の骨折をという。
- 4.
上腕骨顆上骨折の合併症で、前腕屈筋群の虚血性壊死により鷲手変形を残す永続的後遺症をという。
- 5.
末梢循環・神経障害の観察項目で、Pain・Pallor・Pulselessness・Paresthesia・Paralysisを徴候という。
- 6.
皮膚に弾性包帯やスポンジを巻いて牽引力を加える方法をという。
- 7.
ギプス固定後は静脈還流低下による浮腫を防ぐため、患肢を心臓より挙上する。
- 8.
小児の骨は成人と比べて骨皮質が薄く、有機質であるの割合が高いため弾力性に富む。
