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小児一次救命処置(BLS)

小児看護学 / 小児看護技術・救急・トリアージ

解説

今回は小児一次救命処置(BLS)について解説します。BLSとは、Basic Life Support(一次救命処置)の略で、心停止や呼吸停止に陥った傷病者に対し、医療機器や薬剤を用いずに胸骨圧迫・人工呼吸・AED(自動体外式除細動器)の使用によって救命を試みる一連の手技を指します。小児は成人と心停止の原因や身体的特徴が異なるため、年齢区分に応じた手技を理解することが看護師国家試験で重要となります。

小児BLSにおける年齢区分

小児BLSでは、おおむね1歳未満を乳児1歳から思春期前(おおよそ中学生未満)を小児(幼児)として区別します。思春期以降は成人BLSと同じ手順を用います。成人の心停止は心原性が多いのに対し、小児の心停止は呼吸障害や窒息に起因する低酸素性のものが多く、人工呼吸の重要性が成人よりも高いことが特徴です。

反応の確認と応援要請

まず周囲の安全を確認し、傷病者の反応をみます。乳児では首を強く揺すると頸髄損傷の危険があるため、足底を軽く叩いて泣く・顔をしかめる・手足を動かすなどの反応を確認します。幼児・小児では肩を軽く叩いて声をかけます。反応がなければ大声で応援を呼び、119番通報とAEDの手配を依頼します。救助者が1人で目撃のない心停止の場合は、まず約2分間のCPR(心肺蘇生)を行ってから通報する点も小児BLSの特徴です。

呼吸と脈拍の確認

気道確保のうえ、呼吸の有無を10秒以内で確認します。脈拍の触知部位は年齢で異なり、乳児は上腕動脈小児・成人は頸動脈で確認します。普段どおりの呼吸がない、または脈拍が確認できない場合は直ちに胸骨圧迫を開始します。

胸骨圧迫の方法

胸骨圧迫は脳と心臓への血流を維持する最重要手技です。圧迫部位はいずれも胸骨の下半分で、深さは胸の厚さの約3分の1を目安とします。具体的には乳児で約4cm、小児で約5cm沈み込ませます。テンポは小児・乳児ともに1分間に100〜120回で、成人と同じ速度です。圧迫解除時には胸郭を完全に戻し、中断は最小限にとどめます。

圧迫手技は年齢で異なります。乳児では救助者が1人の場合に二指圧迫法(2本指法)、2人以上では**両母指圧迫法(胸郭包み込み両母指法)**を用います。小児では片手または両手の手掌基部で圧迫します。

胸骨圧迫と人工呼吸の比

胸骨圧迫と人工呼吸の比率は救助者の人数で変わります。救助者1人の場合は成人・小児・乳児いずれも30対2で行いますが、救助者が2人以上で小児・乳児を蘇生する場合は15対2となります。これは小児の心停止が低酸素性であることが多く、より頻回な換気が必要なためです。人工呼吸は乳児では口と鼻を同時に覆って吹き込み、小児では口対口で行います。

AEDの使用

AEDは未就学児(おおむね6歳未満)には小児用パッドまたは小児用モードを優先して使用します。小児用パッドがない場合は、成人用パッドで代用可能ですが、パッド同士が触れないよう胸部前後に貼付するなど工夫します。学童期以降は成人用パッドを用います。電気ショック後は直ちに胸骨圧迫を再開し、2分ごとに心電図解析と圧迫を繰り返します。

まとめ

小児BLSでは、乳児と小児で手技が異なる点を整理しておくことが重要です。胸骨圧迫の速さは年齢を問わず1分間に100〜120回、深さは胸の厚さの約3分の1、乳児では二指法、小児では片手または両手の手掌基部で行います。脈拍触知は乳児では上腕動脈、小児・成人では頸動脈です。圧迫と換気の比は救助者1人で30対2、2人以上の小児・乳児で15対2となります。小児の心停止は低酸素性が多いため、人工呼吸を含めた質の高いCPRを継続することが救命の鍵となります。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    小児・乳児に対するBLSでは、胸骨圧迫の速さは1分間に回を目安とする。

  2. 2.

    胸骨圧迫の深さは胸の厚さの約であり、乳児で約4cm、小児で約cmを目安とする。

  3. 3.

    脈拍を触知する部位は、乳児では、小児・成人ではで確認する。

  4. 4.

    乳児の反応を確認する際は、頸髄損傷を避けるためを軽く叩いて反応をみる。

  5. 5.

    胸骨圧迫と人工呼吸の比は、救助者1人の場合は、救助者が2人以上の小児・乳児ではで行う。

  6. 6.

    乳児に対する胸骨圧迫は、救助者が1人のときには、2人以上のときには両母指圧迫法を用いる。

  7. 7.

    胸骨圧迫の部位は乳児・小児ともにである。

  8. 8.

    未就学児にAEDを使用する場合は、(または小児用モード)を優先して用いるが、なければ成人用での代用も可能である。

小児一次救命処置(BLS)」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。