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CKDの病態と生活管理

成人看護学 / 腎・泌尿器

解説

今回はCKD(慢性腎臓病)の病態と生活管理について解説します。 CKDは進行すると透析が必要になるだけでなく、心血管疾患のリスクを大きく高める疾患であり、看護師として早期からの管理指導が求められます。

腎臓の構造と機能

腎臓は左右一対の臓器で、内部にはネフロンと呼ばれる構造単位が約100万個あります。ネフロンは糸球体と尿細管から成り、血液をろ過して尿を生成します。 腎臓の役割は大きく二つに分けられます。一つ目は糸球体でのろ過機能で、老廃物の排泄、水分・電解質バランス、酸塩基平衡の調節を担います。二つ目は内分泌機能で、赤血球産生を促すエリスロポエチン、骨代謝に関与する活性型ビタミンD、血圧調節に関わるレニンを産生・分泌します。これらの機能が低下すると、全身に多彩な症状が現れます。

CKDの定義と重症度分類

CKD(慢性腎臓病)とは、原因疾患を問わず、蛋白尿などの腎障害の所見、またはGFR(糸球体ろ過量)が60mL/分/1.73㎡未満の状態が3か月以上持続するものをいいます。GFRは腎機能の指標であり、CKDの診断と重症度評価の基本となります。 重症度はGFR区分(G1〜G5)と蛋白尿区分(A1〜A3)を組み合わせたヒートマップで評価します。GFRはG1が90以上、G2が60〜89、G3aが45〜59、G3bが30〜44、G4が15〜29、G5が15未満と区分され、G5は末期腎不全に相当し透析導入が検討される段階です。

高血圧と腎硬化症

高血圧とCKDは互いに悪化させ合う関係にあります。長期の高血圧が続くと、糸球体に流入する輸入細動脈に動脈硬化が生じ、糸球体への血流が減少してろ過機能が低下します。この状態を腎硬化症といいます。 一方、CKDで腎機能が低下するとナトリウム・水分が貯留し、さらにレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAA系)が亢進して血圧が上昇します。この悪循環を断つことが治療の鍵となります。

CKDの五大合併症

CKDの進行に伴い、高血圧、腎性貧血、CKD-MBD(骨ミネラル代謝異常)、心血管疾患、電解質異常・代謝性アシドーシスの五つの合併症が出現します。

腎性貧血

腎臓でのエリスロポエチン産生が低下することで赤血球の産生量が減り、正球性正色素性貧血を呈します。これを腎性貧血といいます。治療には**ESA製剤(赤血球造血刺激因子製剤)**と鉄剤を用い、ヘモグロビンの目標値はおおむね11〜13g/dLとされます。

CKD-MBD(骨ミネラル代謝異常)

GFRの低下によりリン排泄が減少し高リン血症となります。これに伴い活性型ビタミンD産生が低下して血中カルシウムが低下し、副甲状腺ホルモン(PTH)とFGF23が代償的に上昇します。この状態が続くと二次性副甲状腺機能亢進症となり、骨吸収亢進による線維性骨炎や無形成骨症、さらに血管石灰化を引き起こします。治療にはリン吸着薬(炭酸カルシウム、セベラマー、炭酸ランタンなど)、活性型ビタミンD製剤、カルシウム受容体作動薬(シナカルセトなど)と食事中のリン制限を組み合わせます。

心血管疾患

CKDは心血管疾患(CVD)の独立した危険因子であり、透析患者のCVDリスクは一般人口の10倍以上に達します。CKDの管理は同時に心血管疾患予防でもある点を押さえておきましょう。

電解質異常と代謝性アシドーシス

慢性腎不全の典型的な電解質パターンは「高K・高P・低Ca・低Na(希釈性)・代謝性アシドーシス」と覚えます。特に高カリウム血症は致死的不整脈の原因となり、カリウム吸着薬の内服、GI(グルコース・インスリン)療法、緊急時には透析導入が行われます。

CKDの管理目標と薬物療法

CKDの血圧管理目標は、蛋白尿陽性例では130/80mmHg未満です。降圧薬の第一選択はACE阻害薬またはARBで、糸球体内圧を下げて尿蛋白を減らし、腎保護作用を発揮します。

食事療法

食事療法はCKD管理の中核です。 減塩は全ステージで共通の指導であり、1日3g以上6g未満を目標とします。たんぱく質制限はステージ3から開始し、G3aでは0.8〜1.0g/kg/日、G3b以降では0.6〜0.8g/kg/日が目安です。エネルギーは25〜35kcal/kg/日を確保し、低栄養を防ぎます。カリウム制限はステージ3b以降、リン制限はステージ5前後で導入されます。 ただし高齢者では過度な制限がサルコペニアや低栄養を招くため、画一的な制限は避け、ステージ2や高齢者では減塩を中心に指導します。生活面では禁煙、適度な飲酒、血糖・脂質管理も重要です。

まとめ

CKDはGFR60未満または腎障害が3か月以上続く状態であり、G1〜G5と蛋白尿区分で重症度を評価します。腎機能低下に伴い、高血圧・腎性貧血・CKD-MBD・心血管疾患・電解質異常という五大合併症が出現します。腎性貧血はエリスロポエチン低下による正球性正色素性貧血で、ESA製剤と鉄剤で治療します。CKD-MBDでは高P・低Ca・PTH上昇の連鎖が骨や血管石灰化を引き起こします。血圧管理目標は130/80未満、第一選択はACE阻害薬・ARBです。食事療法では全ステージで減塩、ステージ3からたんぱく質制限、3b以降でカリウム制限を行い、高齢者では低栄養に配慮することが看護のポイントです。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    CKD(慢性腎臓病)は、腎障害の所見またはが60mL/分/1.73㎡未満の状態が3か月以上持続するものと定義される。

  2. 2.

    腎臓は赤血球産生を促すを産生しており、CKDではその低下により正球性正色素性貧血が生じる。

  3. 3.

    腎性貧血の治療には、赤血球造血を刺激すると鉄剤が用いられる。

  4. 4.

    CKDで腎機能が低下するとリン排泄が減少し血症をきたし、活性型ビタミンD低下・低Ca血症を介して副甲状腺ホルモンが上昇する二次性副甲状腺機能亢進症が生じる。

  5. 5.

    長期の高血圧により輸入細動脈の動脈硬化が進行し、糸球体血流が減少してろ過機能が低下する病態をという。

  6. 6.

    CKDで蛋白尿が陽性の場合、降圧目標はmmHg未満とされ、第一選択薬はACE阻害薬またはARBである。

  7. 7.

    CKDの食事療法では全ステージ共通でが指導され、1日3g以上6g未満が目安となる。

  8. 8.

    たんぱく質制限はCKDステージから開始され、G3b以降では0.6〜0.8g/kg/日が目安となる。

  9. 9.

    慢性腎不全の典型的な電解質異常パターンは「高K・高P・低Ca・低Na・」と覚える。

  10. 10.

    CKD-MBDの治療では、消化管でのリン吸収を抑える(炭酸カルシウム・セベラマー・炭酸ランタンなど)が用いられる。

CKDの病態と生活管理」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。