嚥下評価と食形態
基礎看護学 / 食事・嚥下・排泄援助
解説
今回は嚥下評価と食形態について解説します。嚥下とは食物を口に入れてから胃へ送り込むまでの一連の動作のことで、この機能に障害があると誤嚥や窒息、誤嚥性肺炎の原因となります。看護師は嚥下機能を正確に評価し、患者に適した食形態を選択することで安全な経口摂取を支援します。
嚥下の5期
嚥下運動は通常、5つの段階に分けて理解します。まず食物を見て認識する先行期、口腔内で咀嚼し食塊を形成する準備期、食塊を舌で咽頭へ送り込む口腔期、咽頭から食道入口部へ嚥下反射により送る咽頭期、食道の蠕動運動で胃まで運ぶ食道期の5期です。このうち誤嚥が起こりやすいのは咽頭期であり、嚥下評価ではこの段階を中心に観察します。
嚥下機能のスクリーニング検査
ベッドサイドで行える嚥下評価には複数の方法があります。**反復唾液嚥下テスト(RSST)**は30秒間に空嚥下を何回できるかを観察し、3回未満を異常と判定します。**改訂水飲みテスト(MWST)**は冷水3mLを注射器で口腔底(舌下)に注ぎ、嚥下させた後にさらに空嚥下を2回追加させて、嚥下の有無・むせ・呼吸状態・湿性嗄声を5段階で評価する検査で、咽頭期の評価に用いられます。少量の冷水を用いるため、誤嚥リスクが高い患者にも比較的安全に実施できます。窪田の水飲みテストは30mLの常温水を一気に飲ませて評価する方法で、MWSTより負荷が高くなります。フードテストはプリン状の食物約4gを使用し、食塊形成と嚥下を評価します。精密検査としては、造影剤入りの食品を嚥下する様子をX線透視で観察する嚥下造影検査(VF)や、内視鏡で咽頭を直接観察する嚥下内視鏡検査(VE)があります。
食形態の段階と誤嚥しやすい食品
日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2021では、食事を段階0〜4に区分しています。訓練の開始には、密度が均一で変形しやすく、口腔・咽頭をまとまって通過する食品が適しており、その代表がゼリー(コード0j)です。ゼリーは口腔内で形状を保ち、咽頭通過時にスライス状に移動するため誤嚥しにくく、嚥下訓練の第一段階として選択されます。一方で誤嚥を起こしやすい食品の特徴として、サラサラした液体(水・お茶など咽頭への落下速度が速い)、パサパサした食品、ベタつく食品、繊維質の野菜、液体と固体が混在する二相性食品があります。水分を摂取する際にはとろみ剤(キサンタンガム系など)を加えて粘度を上げ、薄い・中間・濃いの3段階で調整します。
看護のポイント
食事介助時には30度仰臥位で頸部前屈位をとり、一口量を少なめに調整し、嚥下を確認してから次の一口を進めます。咳やむせを伴わない不顕性誤嚥は高齢者で誤嚥性肺炎の主因となるため、SpO2モニタリングや頸部聴診を併用して総合的に観察することが重要です。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
嚥下の5期のうち、嚥下反射により食塊を咽頭から食道入口部へ送る時期をという。
- 2.
30秒間に空嚥下を何回できるかを評価し、3回未満を異常とするスクリーニング検査をという。
- 3.
改訂水飲みテスト(MWST)で用いる冷水の量はmLである。
- 4.
改訂水飲みテストでは冷水を口腔内のに注いで嚥下させる。
- 5.
嚥下障害患者の食事開始時に最も適した食形態はである。
- 6.
誤嚥を防ぐため、水分にはを付けて粘度を上げる。
- 7.
嚥下調整食の段階分類を示した日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類をという。
- 8.
咳やむせを伴わず、高齢者の誤嚥性肺炎の主因となる誤嚥をという。
