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罨法(温罨法・冷罨法)

基礎看護学 / 清潔・療養環境

解説

今回は罨法(温罨法・冷罨法)について解説します。

罨法とは

罨法とは、身体の一部に温熱または寒冷の刺激を加えて、症状の緩和や安楽の促進をはかる看護技術です。皮膚への物理的刺激を通じて血管の拡張・収縮、神経伝導の調節、筋緊張の変化などを引き起こし、疼痛緩和、解熱、止血、便秘改善、リラクゼーションなど多様な目的で用いられます。罨法は温度による分類で温罨法冷罨法に分けられ、さらに媒体の水分の有無によって湿性罨法乾性罨法に分類されます。

湿性罨法と乾性罨法

湿性罨法とは、水分を含んだ媒体を皮膚に当てる方法で、温湿布・蒸しタオル・温浴・蒸気浴・冷パップなどがあります。水を介するため熱伝導率が高く、短時間で深部まで温熱や冷却の効果が伝わる一方、皮膚が浸軟しやすく長時間使用には不向きです。乾性罨法とは、水分を介さずに熱や冷気を伝える方法で、湯たんぽ・電気あんか・カイロ・電気毛布・氷枕・氷嚢などがあります。皮膚への刺激が穏やかで持続時間が長く、長時間の保温・冷却に適しています。

温罨法

温罨法とは、皮膚に温熱刺激を加える罨法で、表面温度はおよそ40〜45℃が目安となります。温熱刺激は皮膚の感覚受容器を介して副交感神経を優位にし、末梢血管を拡張させて局所の血流を増加させます。また平滑筋や骨格筋の緊張が緩和され、痛覚神経の興奮閾値が上がるため鎮痛・鎮静効果が得られます。腸蠕動が亢進することから、便秘や腹部膨満感の緩和にも有効です。具体的な目的としては、保温、末梢循環の促進、筋緊張の緩和、疼痛緩和、排便促進、入眠促進、月経痛の軽減などが挙げられます。

湯たんぽの使用

湯たんぽは温罨法の代表的な道具です。湯の温度は素材によって異なり、ゴム製は約60℃、プラスチック製は70〜80℃、金属製や陶器製は熱湯(90〜100℃)が目安です。湯はおよそ容量の3分の2まで入れ、空気を抜いて栓をしっかり閉め、漏れがないことを確認します。直接皮膚に触れないようカバーやタオルで包み、足元から10cm以上離して配置します。

温罨法の禁忌と注意点

長時間同一部位に温熱を加え続けると、44℃程度でも組織障害が起こり低温熱傷を生じることがあります。特に知覚低下のある高齢者、糖尿病患者、麻痺のある患者、意識障害のある患者では本人が熱さを訴えられないため厳重な観察が必要です。また急性炎症、出血部位、悪性腫瘍部位、強い浮腫のある部位などは血流増加や炎症の助長を招くため温罨法の禁忌となります。

冷罨法

冷罨法とは、皮膚に寒冷刺激を加える罨法で、氷枕・氷嚢・冷湿布・冷パップなどを用います。寒冷刺激により皮膚血管が収縮し、局所の血流と代謝が低下します。これにより組織の酸素需要が抑えられ、ヒスタミンやプロスタグランジンなどの炎症性メディエーターの活性が低下するため、発赤・腫脹・熱感・疼痛という炎症の四徴候が軽減されます。さらに神経伝導が鈍くなることで鎮痛効果も得られます。主な目的は、炎症の抑制、急性期の疼痛緩和、解熱、止血であり、打撲・捻挫・術後疼痛・発熱時などに適応されます。

氷枕の作り方と使い方

氷枕には角のとれた氷を半分ほど入れ、隙間を埋める程度の水を加えて空気を抜き、栓をしっかり閉めます。使用前には必ず水漏れがないことを確認することが基本中の基本です。直接皮膚に当てず、タオルで包んで使用します。解熱を目的とする場合は、頸部・腋窩・鼠径部など太い動脈が走る部位に当てる方法が効果的です。

冷罨法の禁忌と注意点

冷罨法は閉塞性動脈硬化症やレイノー病などの循環障害、知覚低下部位、寒冷蕁麻疹の既往がある場合には禁忌となります。長時間の使用や強い冷却は凍傷や過度の血管収縮による組織障害を招くため、20〜30分を目安に皮膚状態を観察します。氷を直接ビニール袋に入れて冷凍庫から取り出したまま使用するなど、極端に低温の状態で皮膚に当てるのは避ける必要があります。

まとめ

罨法は温熱または寒冷を用いて症状緩和をはかる看護技術であり、媒体の水分の有無で湿性・乾性に、温度で温・冷に分類されます。温罨法は血管拡張・血流増加・筋緊張緩和・鎮痛鎮静・排便促進をもたらし、ゴム製湯たんぽは約60℃が適温です。冷罨法は血管収縮による炎症抑制・解熱・止血・鎮痛に用いられ、氷枕は使用前の水漏れ確認が基本です。いずれもタオルで包んで皮膚を保護し、知覚低下や意識障害のある患者では低温熱傷や凍傷を防ぐため特に慎重な観察が求められます。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    身体の一部に温熱または寒冷の刺激を加えて症状緩和を図る看護技術をという。

  2. 2.

    罨法のうち、水分を含む媒体を皮膚に当てる方法をといい、冷パップや温湿布、蒸しタオルなどが該当する。

  3. 3.

    湯たんぽや氷枕のように水分を介さずに熱や冷気を伝える罨法をという。

  4. 4.

    ゴム製湯たんぽに入れる湯の温度は約℃が適切である。

  5. 5.

    温罨法では末梢血管が拡張し、が優位となることで筋緊張の緩和や鎮静、排便促進の効果が得られる。

  6. 6.

    温罨法を長時間同一部位に当てると、知覚低下のある患者などでを起こすことがあるため注意が必要である。

  7. 7.

    冷罨法は皮膚血管をさせ、局所の血流と代謝を低下させることで炎症や疼痛を抑制する。

  8. 8.

    炎症の四徴候である発赤・腫脹・熱感・疼痛の軽減を目的とする場合はが適応となる。

  9. 9.

    氷枕を作成する際、使用前に必ず確認すべき最も基本的な事項はがないことである。

  10. 10.

    冷罨法を解熱目的で行う場合、頸部・腋窩・など太い動脈が走る部位を冷却すると効果的である。

罨法(温罨法・冷罨法)」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。