関節可動域・徒手筋力テスト
基礎看護学 / 体位・移動・活動
解説
関節可動域・徒手筋力テストとは、運動機能を客観的に評価するための基本的な検査法のことです。今回は、関節可動域(ROM)と徒手筋力テスト(MMT)の意義・方法、そして肩関節や前腕の運動について解説します。
運動機能評価の総論
運動機能の評価では、「関節がどれだけ動くか」と「筋がどれだけ力を出せるか」を分けて測定することが基本です。前者を評価するのが関節可動域(ROM)、後者を評価するのが**徒手筋力テスト(MMT)**です。両者を組み合わせることで、関節拘縮によるものか、筋力低下によるものかを区別でき、リハビリテーション計画や神経筋疾患の経過観察に活用されます。
徒手筋力テスト(MMT)
徒手筋力テスト(Manual Muscle Testing;MMT)は、検者が手で抵抗を加えながら患者に関節運動を行わせ、筋力を0〜5の6段階で評価する標準的検査です。特別な器具を必要とせず、ベッドサイドで簡便に行えます。
判定基準は、5が正常(Normal)で強い抵抗に抗して全可動域を動かせる状態、4が良好(Good)で中程度の抵抗に抗せる状態、3が可(Fair)で重力に抗して全可動域を動かせるが抵抗には抗せない状態、2が不可(Poor)で重力を除けば動かせる状態、1が痕跡(Trace)で筋収縮は触知できるが関節運動は起こらない状態、0がゼロ(Zero)で筋収縮も認められない状態です。
臨床上特に重要なのは**3(Fair)**で、「重力に抗して動かせるか」の境界を示します。MMT3以上が日常生活動作(ADL)自立の一つの目安とされます。
関節可動域(ROM)
関節可動域(Range Of Motion;ROM)は、関節を動かすことができる範囲のことです。日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会の基準に従い、ゴニオメーター(角度計)を用いて測定します。測定では、関節ごとに定められた基本軸と移動軸を正確に合わせることが重要です。また、体幹側屈や反り返りなどの代償動作が入ると正確な値が得られないため、これを抑制する配慮も必要です。
前腕の回旋運動
前腕の回旋は、橈骨が尺骨を中心に回旋することで生じます。**回外(supination)**は手掌を上向きにする動作で、スープをすくう動きに例えられます。**回内(pronation)**は手掌を下向きにする動作で、ドアノブを回す動きに例えられます。参考可動域は回外90度、回内90度です。
肩関節の運動と参考可動域
肩関節は、肩甲上腕関節・肩鎖関節・胸鎖関節・肩甲胸郭関節の4関節からなる複合体であり、人体で最も可動性の大きい関節です。日本整形外科学会基準による参考可動域は、屈曲180度、伸展50度、外転180度、内転0度、外旋60度、内旋80度です。
肩関節屈曲の測定では、基本肢位として立位または座位で上肢を体側に垂らし、基本軸を体幹(肩峰を通る矢状面上の垂直線)、移動軸を上腕骨として、前方へ挙上した角度を測ります。屈曲が120度を超えると、肩甲上腕関節だけでは動かせず、肩甲骨の上方回旋が加わります。この上腕骨と肩甲骨の協調運動を肩甲上腕リズムといいます。
内旋・外旋は上腕骨自体の回旋運動で、日常動作と結びつけて覚えると理解しやすくなります。背中で手を組む結帯動作は内旋、髪を結う結髪動作は外旋に相当します。
股関節の内旋・外旋
股関節の内旋・外旋は、大腿骨の長軸を中心とした回旋運動で、測定肢位の取り方が独特です。股関節および膝関節をいずれも90度屈曲した座位で、下腿を指標として評価します。この肢位から下腿が内側(正中線側)へ動けば股関節外旋、外側へ動けば股関節内旋となります。下腿の動く向きと股関節の回旋方向が逆になる点に注意が必要で、国試でも頻出のポイントです。参考可動域は内旋45度、外旋45度です。
まとめ
ROMは関節の動く範囲、MMTは筋力を評価する検査であり、いずれも運動機能評価の基本です。MMTは0〜5の6段階で評価し、3が重力に抗せるかの境界となります。ROMはゴニオメーターで基本軸と移動軸を正確に合わせて測定します。前腕の回外・回内は各90度、肩関節屈曲・外転は180度が参考可動域であり、結帯動作は内旋、結髪動作は外旋であることをしっかり押さえておきましょう。股関節の内外旋は股膝90度屈曲位で下腿の動く向きから判定する点も忘れずに覚えておきましょう。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
徒手筋力テスト(MMT)は筋力をの6段階で評価する。
- 2.
MMTで「重力に抗して全可動域を動かせるが抵抗には抗せない」状態は(Fair)である。
- 3.
関節可動域(ROM)の測定には(角度計)を用いる。
- 4.
前腕の回旋運動のうち、手掌を上向きにする動作を、手掌を下向きにする動作をという。
- 5.
肩関節屈曲の参考可動域は度であり、外転も同じく度である。
- 6.
肩関節屈曲の測定では、基本軸を、移動軸をとする。
- 7.
肩関節の屈曲が120度を超えると肩甲骨の上方回旋が加わる協調運動をという。
- 8.
背中で手を組む結帯動作は肩関節の、髪を結う結髪動作は肩関節のに相当する。
- 9.
股関節と膝関節をいずれも90度屈曲した肢位で、下腿が外側へ動く運動は股関節のである。
- 10.
股関節と膝関節をいずれも90度屈曲した肢位で、下腿が内側へ動く運動は股関節のである。
