StudyNurse

股関節の内旋と外旋を「膝の振れ方」で見抜く!90/90肢位の回旋テスト

看護師国家試験 第115午前34

国試問題にチャレンジ

115午前34

臥床して右股関節と右膝関節を90度屈曲位にした図をAに示す。 Aの状態から右下肢を矢印の方向に動かしてBの状態になった。このときの股関節の運動はどれか。

問題画像
  1. 1.外旋
  2. 2.外転
  3. 3.内旋
  4. 4.内転

対話形式の解説

博士博士
今日は股関節の回旋運動を見分ける問題に挑戦じゃ。仰向けに寝て、股関節と膝をどちらも90度に曲げた姿勢を思い浮かべてほしいのじゃ。
サクラサクラ
えっと…太ももが天井に向かって立っていて、すねが前に水平に伸びている形ですよね。
博士博士
その通りじゃ。この姿勢から、すねを体の外側へ振り出すと股関節はどっち向きに動いたことになるか分かるかの?
サクラサクラ
すねが外側に開いたから…外旋ですか?なんとなく「外」って付くほうが合っている気がして。
博士博士
ふむ、ここがみんな引っかかるところじゃ。実は逆で、すねが外側へ振れたときは股関節は「内旋」なのじゃよ。
サクラサクラ
えっ、どうしてですか?イメージと逆で混乱します。
博士博士
ポイントは「何が回っているか」じゃ。回旋運動は大腿骨が長軸まわりにくるりと回る動きでな。股関節と膝を90度に曲げた姿勢では、大腿骨の上端(股関節側)はその場で回るだけで、下端(膝の側)が回転の指示棒になる。膝のお皿が内側を向けば内旋、外側を向けば外旋じゃ。
サクラサクラ
なるほど…膝の向きで見るんですね。じゃあすねが外に振れる=膝が内側を向く、ということですか?
博士博士
その通り!すねの先(足)が外へ動くと、膝のお皿は逆に内側を向くのじゃ。だから股関節は内旋になる。シーソーをイメージすると分かりやすいぞ。
サクラサクラ
あ、本当だ。下が外に振れたら、上は内に向くんですね。手を膝に置いて自分でやってみると分かります。
博士博士
うむ、自分の身体で確かめるのが一番じゃ。ちなみにこの90/90肢位は、整形外科の身体診察でもよく使われる姿勢なんじゃよ。
サクラサクラ
臨床ではどんな場面で使うんですか?
博士博士
例えば変形性股関節症や大腿骨頸部骨折後の患者さんでは、股関節の内旋制限が早い段階から出やすいと言われておる。仰向けでこの姿勢を取らせて、左右でどのくらい内旋・外旋できるかを比べるのじゃ。
サクラサクラ
左右差が分かれば、どちらの股関節に問題があるか判断しやすいんですね。
博士博士
その通り。さらに小児の股関節脱臼のスクリーニング(オルトラニ・バーロウ法)も、股関節と膝を曲げた肢位で行うんじゃよ。回旋と外転の感覚は新生児から高齢者まで応用範囲が広いのじゃ。
サクラサクラ
看護師としても、寝たきりの方の体位変換やリハビリの介助で、無理な回旋をかけないように気をつけないといけませんね。
博士博士
素晴らしい視点じゃ。とくに人工股関節置換術後の患者さんでは、過度な内旋・内転・屈曲の組み合わせで脱臼するリスクがあるから、ポジショニングで外転枕を入れるなどの工夫が必要になる。回旋方向の理解は安全な看護に直結するのじゃよ。
サクラサクラ
今日は「膝が振れる向き」と「股関節の回旋方向」を結びつける感覚がしっかり身につきました!

POINT

股関節90度屈曲位における回旋運動の見分け方を問う問題。「膝(下腿)が外側へ振れる=股関節内旋」「膝(下腿)が内側へ振れる=股関節外旋」という対応関係を、運動軸(水平面・大腿骨長軸まわり)の概念とともに理解できているかが問われます。

解答・解説

正解は3です

問題文:臥床して右股関節と右膝関節を90度屈曲位にした図をAに示す。 Aの状態から右下肢を矢印の方向に動かしてBの状態になった。このときの股関節の運動はどれか。

解説:正解は 3 の「内旋」です。 股関節の回旋運動は、大腿骨が長軸(大腿の中心を縦に貫く軸)を中心に回る動きを指し、大腿前面が内側へ向く向きの回旋を「内旋」、外側へ向く向きの回旋を「外旋」と呼びます。 臥位で股関節と膝関節をともに90度屈曲した姿勢(図A)では、大腿は床に対してほぼ垂直方向に立ち上がり、下腿(脛とつま先)は床と水平方向に突き出した形になります。この姿勢では大腿骨を直接動かすよりも、下腿の振れ方を見るほうが回旋の向きが把握しやすくなります。具体的には、下腿(膝から下)が体の正中線から外側へ振れたとき、大腿骨頭は寛骨臼内で内側方向に回旋しているため、これが股関節の「内旋」にあたります。図Bでは下腿が外側へ振り出されているため、股関節は内旋しているという判断になります。

選択肢考察

  1. ×1.  外旋

    外旋は、大腿前面(あるいは膝のお皿)が外側を向く向きへの回旋運動です。股関節90度屈曲位では、下腿が体の正中線へ近づく(内側へ倒れる)向きに動くと股関節は外旋となるため、本問とは逆方向の動きにあたります。

  2. ×2.  外転

    外転は、下肢全体を正中線から遠ざける(横へ開く)運動で、回旋とはまったく別の動きです。股関節を伸展位で横に開く動作が典型例で、本問のような大腿骨長軸まわりの回転とは方向軸が異なります。

  3. 3.  内旋

    内旋は大腿前面が内側を向く向きへの回旋運動です。股・膝関節を90度屈曲した姿勢では、下腿が正中線から外側へ振れる動きが股関節の内旋に対応します。図Aから図Bの動きはまさにこのパターンであり、本問の正解となります。

  4. ×4.  内転

    内転は、外転とは逆に、下肢全体を正中線に近づける運動です。これも前額面上での開閉運動であり、長軸まわりの回旋運動である内旋・外旋とは区別する必要があります。

股関節の運動は、屈曲・伸展(矢状面)、外転・内転(前額面)、内旋・外旋(水平面)の3軸6方向で整理されます。テストや臨床で回旋運動を評価する際は、本問のように仰臥位で股関節と膝関節をともに90度屈曲する「Thomas肢位に近い90/90肢位」がよく用いられます。この姿勢では下腿が回旋の目印(指示棒)として働くため、わずかな回旋の差や左右差を視覚的に捉えやすくなります。臨床的には、変形性股関節症や大腿骨頸部骨折後では内旋制限が早期から出やすいとされ、整形外科領域のフィジカルアセスメントで頻繁にチェックされるポイントです。なお、立位や伸展位での回旋評価では、つま先や膝蓋骨の向きを指標にすることが多く、姿勢によって観察するランドマークが変わる点も押さえておきましょう。

股関節90度屈曲位における回旋運動の見分け方を問う問題。「膝(下腿)が外側へ振れる=股関節内旋」「膝(下腿)が内側へ振れる=股関節外旋」という対応関係を、運動軸(水平面・大腿骨長軸まわり)の概念とともに理解できているかが問われます。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。