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オピオイドの剤形と副作用

成人看護学 / がん・緩和・終末期

解説

今回はオピオイドの剤形と副作用について解説します。オピオイドとは、ケシから抽出されるアヘンに含まれるモルヒネをはじめとする麻薬性鎮痛薬の総称で、強力な鎮痛作用をもつためがん性疼痛や慢性疼痛の管理に欠かせない薬剤群です。看護師は剤形の特徴、代表的な副作用、そして副作用への対応を正確に押さえておく必要があります。

オピオイドの基礎

オピオイドは中枢神経や末梢のオピオイド受容体(μ受容体、κ受容体、δ受容体)に結合して鎮痛作用を発揮します。鎮痛の主役はμ受容体で、ここに結合すると痛みの伝達が抑えられる一方、後述する眠気や呼吸抑制、便秘などの副作用も同じμ受容体を介して生じます。代表的なオピオイドにはモルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、コデイン、トラマドール、メサドンなどがあります。

がん性疼痛ではWHO方式三段階除痛ラダーに基づき、痛みの強さに応じて非オピオイド鎮痛薬から弱オピオイド、強オピオイドへと段階的に薬剤を選択します。鎮痛効果の評価にはNRS(Numerical Rating Scale)などの主観的スケールを用います。

オピオイドの剤形

オピオイドは患者の病態や経口摂取の可否に応じてさまざまな剤形が用意されています。経口できる患者には内服薬(速放性製剤と徐放性製剤)が中心となり、嘔気や嚥下障害で内服が難しい場合は坐剤、注射剤、貼付剤などが選択されます。なかでも国家試験で問われやすいのが、貼付剤として使用できるオピオイドの種類です。

貼付剤として用いられるオピオイド

経皮吸収型製剤、いわゆる貼付剤として使用される代表的なオピオイドはフェンタニルです。デュロテップMTパッチ(3日ごと貼り替え)やフェントステープ(1日ごと貼り替え)として製品化されており、経口摂取が困難な患者や安定した鎮痛が必要な慢性疼痛・がん性疼痛の持続管理に広く用いられています。モルヒネやオキシコドンは内服・注射・坐剤はありますが、貼付剤としては製品化されていない点を区別して覚えておきましょう。

フェンタニル貼付剤の重要な注意点は、発熱や入浴、電気毛布、温罨法などで皮膚温が上がると薬物の経皮吸収量が増加し、過量投与による呼吸抑制を起こす危険があることです。そのため貼付部位への温罨法は禁忌で、入浴時の湯温や貼付部位の管理にも配慮が必要です。突出痛にはモルヒネやオキシコドンの速放性製剤など、別途レスキュー薬を併用して対応します。

オピオイドの副作用

オピオイドはμ受容体を介して鎮痛効果を発揮しますが、同時に複数の副作用を高頻度に生じます。モルヒネに代表されるオピオイドの三大副作用便秘・悪心嘔吐・眠気で、その他に呼吸抑制、せん妄、排尿障害、掻痒感、口渇などがみられます。これらの副作用は耐性形成の有無により対応が異なるため、看護師は性質を整理して理解しておく必要があります。

便秘

モルヒネの副作用としてもっとも問われやすいのが便秘です。オピオイドは消化管にも分布するμ受容体を刺激して腸管運動を抑制するため、患者の約80〜90%という高頻度で便秘を生じます。さらに便秘は耐性が形成されにくく、投与中ずっと持続するのが特徴です。このため、モルヒネをはじめとするオピオイド開始時から緩下薬を予防的に併用するのが緩和ケアの標準対応となります。掻痒感も便秘と同様に耐性がつきにくく、継続的な対策が必要です。

悪心嘔吐と眠気

悪心嘔吐と眠気はオピオイド開始初期に高頻度でみられますが、数日から1週間ほどで耐性が形成され自然に軽快します。悪心嘔吐に対しては制吐薬を併用し、眠気に対しては転倒予防や生活への影響を観察しながら経過をみます。

呼吸抑制

呼吸抑制は過量投与時に生命を脅かす重篤な副作用です。呼吸回数の低下、SpO2低下、意識レベル低下などの徴候を観察し、必要に応じてオピオイド拮抗薬であるナロキソンを投与して呼吸を回復させます。前述のとおりフェンタニル貼付剤では加温による吸収量増加で呼吸抑制が起こりうるため、温熱の管理が重要です。

まとめ

オピオイドはμ受容体を介して鎮痛作用を発揮する強力な麻薬性鎮痛薬で、内服・注射・坐剤に加え、フェンタニルは貼付剤としてがん性疼痛・慢性疼痛の持続管理に用いられます。フェンタニル貼付剤は加温で吸収量が増えるため温罨法は禁忌です。モルヒネに代表されるオピオイドの三大副作用は便秘・悪心嘔吐・眠気で、悪心嘔吐と眠気は数日から1週間で耐性が形成されますが、便秘は耐性がつきにくく持続するため緩下薬の予防的併用が原則となります。呼吸抑制への拮抗薬はナロキソンであり、これらの剤形と副作用の関係を整理して国試に臨みましょう。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    オピオイドが鎮痛作用と主要な副作用をともに発揮する中心的なオピオイド受容体は受容体である。

  2. 2.

    オピオイドのうち経皮吸収型製剤(貼付剤)として用いられる代表的な薬剤はである。

  3. 3.

    フェンタニル貼付剤は発熱や入浴、電気毛布などで皮膚温が上昇すると吸収量が増加し過量投与となるため、貼付部位へのは禁忌である。

  4. 4.

    モルヒネの副作用のうち、患者の約80〜90%に生じ耐性が形成されにくいため緩下薬の予防的併用が原則となるのはである。

  5. 5.

    モルヒネに代表されるオピオイドの三大副作用は、便秘・悪心嘔吐・である。

  6. 6.

    オピオイドの副作用のうち悪心嘔吐と眠気は数日から1週間でが形成され軽快するが、便秘は持続するため継続的な対策が必要である。

  7. 7.

    オピオイドによる呼吸抑制に対して用いられる拮抗薬はである。

  8. 8.

    がん性疼痛の薬物療法では、痛みの強さに応じて段階的に鎮痛薬を選択するWHO方式に基づいて治療を行う。

オピオイドの剤形と副作用」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。