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心血管薬の作用(狭心症・心停止)

成人看護学 / 循環器系

解説

心血管薬とは、心臓と血管に作用して虚血や不整脈、心停止などを治療する薬剤の総称です。今回は狭心症治療薬と心停止時に用いる薬剤について解説します。

狭心症治療薬の基本

狭心症は、冠動脈の狭窄や攣縮によって心筋への酸素供給が需要に追いつかなくなり、胸痛を生じる疾患です。治療の原則は、冠動脈を拡張して酸素供給を増やすことと、心臓の仕事量を減らして酸素需要を減らすことの両面からアプローチすることにあります。

硝酸薬(ニトログリセリン)

硝酸薬は血管平滑筋内で**一酸化窒素(NO)**を遊離し、cGMPを上昇させて血管を拡張します。冠動脈の拡張で酸素供給を増やすと同時に、静脈系を拡張して心臓に戻る血液量(前負荷)を減らし、心筋酸素需要を低下させます。

ニトログリセリンは肝臓での初回通過効果が極めて強く、内服では効果がありません。そのため発作時には舌下錠または舌下スプレー(バッカル錠)として口腔粘膜から直接吸収させます。効果発現は数十秒から1〜2分と速やかです。

投与時は血管拡張による血圧低下と起立性低血圧に注意し、転倒予防のため座位または臥位で使用します。効果が不十分なときは5分ごとに合計3回まで追加投与でき、それでも改善しない場合は急性冠症候群を疑い直ちに救急要請します。勃起不全治療薬(PDE5阻害薬:シルデナフィルなど)との併用は重篤な血圧低下を招くため禁忌です。光や湿気に弱いため、遮光密閉容器で保管し使用期限にも注意します。

β遮断薬

β遮断薬は心筋のβ1受容体を遮断して心拍数と心収縮力を低下させ、心筋酸素消費量を減らします。狭心症のほか、心不全(少量から漸増することで長期予後を改善)、不整脈、高血圧にも用いられます。気管支のβ2受容体も遮断するため、気管支喘息では原則禁忌です。また急に中止すると反跳性に狭心症発作や頻脈などの離脱症状を起こすため、漸減が必要です。

カルシウム拮抗薬と抗血小板薬

カルシウム拮抗薬は冠動脈の攣縮を抑える作用があり、冠攣縮性(異型)狭心症の第一選択薬です。降圧薬としても広く使われます。抗血小板薬であるアスピリンやクロピドグレルは血小板凝集を抑制し、冠動脈内の血栓形成を予防します。経皮的冠動脈形成術(PCI)後にはこれら2剤を併用するDAPTが行われます。

心停止と薬物療法

心停止時の心電図波形は4種類に分けられ、対応が異なります。**心室細動(VF)無脈性心室頻拍(無脈性VT)**は電気ショック(除細動)の適応であり、無脈性電気活動(PEA)と心静止(asystole)はショック非適応で胸骨圧迫と薬剤投与が中心となります。

AHAの心停止アルゴリズムでは、まずCPR(胸骨圧迫+人工呼吸)を直ちに開始し、可及的速やかにアドレナリン1mgを静脈内投与して、その後3〜5分ごとに反復します。アドレナリンはすべての心停止波形で第一選択薬で、α作用による血管収縮で冠灌流圧と脳灌流圧を維持します。

自己心拍再開(ROSC)後はドパミンやノルアドレナリンで血圧を維持し、神経学的予後の改善を目的に目標体温管理(TTM)も検討されます。

まとめ

狭心症治療では硝酸薬・β遮断薬・カルシウム拮抗薬・抗血小板薬を病態に応じて使い分け、ニトログリセリン舌下錠の使用法と禁忌の理解は必須です。心停止ではショック適応波形(VF・無脈性VT)の判別とアドレナリン投与のタイミングを押さえ、迅速なCPRと薬物療法を組み合わせて救命につなげます。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    ニトログリセリンは血管平滑筋内でを遊離し、血管を拡張させる。

  2. 2.

    ニトログリセリンは肝臓でのが強いため、内服では無効であり舌下錠として用いる。

  3. 3.

    ニトログリセリン舌下錠は血圧低下を起こすため、で使用する。

  4. 4.

    ニトログリセリンは勃起不全治療薬であるとの併用は重篤な低血圧を招くため禁忌である。

  5. 5.

    β遮断薬は気管支のβ2受容体も遮断するため、では原則禁忌である。

  6. 6.

    冠攣縮性(異型)狭心症の第一選択薬はである。

  7. 7.

    心停止波形のうち、電気ショックの適応となるのは心室細動(VF)とである。

  8. 8.

    心停止時に第一選択として静脈内投与され、3〜5分ごとに反復投与される薬剤はであり、1回量はである。

  9. 9.

    自己心拍再開(ROSC)後の神経学的予後改善のため、が検討される。

心血管薬の作用(狭心症・心停止)」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。