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電解質異常と心電図変化

疾病の成り立ちと回復の促進 / 検査と症候

解説

電解質異常とは、体液中のカリウム(K)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)などのイオン濃度が正常範囲から逸脱した状態を指します。今回は電解質異常と心電図変化について解説します。電解質は心筋細胞の活動電位と再分極に直接関与するため、その濃度の乱れは特徴的な心電図変化として現れ、ときに致死性不整脈を引き起こします。

カリウムの基準値と役割

カリウムの基準値は3.5〜5.0 mEq/Lで、細胞内液に最も多く存在する陽イオンです。細胞内外のカリウム濃度勾配は心筋細胞の静止膜電位を決定するため、わずかな血中濃度の変化でも心電図に大きな影響を及ぼします。なお、赤血球内のカリウム濃度は血漿の約25〜30倍と極めて高く、この性質は採血時のピットフォールにもつながります。

高カリウム血症と心電図変化

高カリウム血症は血清Kが5.5 mEq/Lを超えた状態で、原因には腎不全、副腎不全、アシドーシス、横紋筋融解、組織壊死、輸血、そしてACE阻害薬・ARB・カリウム保持性利尿薬・スピロノラクトンなどの薬剤が挙げられます。心電図変化は進行に伴って段階的に出現します。最初に現れる初期所見がテント状T波で、先鋭で増高したT波が特徴です。続いてPQ時間の延長、P波の平低化から消失、さらにQRS幅の延長が起こり、最終的にはサインカーブ様波形を経て心室細動・心停止に至ります。治療は心筋膜を安定化させるカルシウム製剤の静注、グルコース・インスリン療法(GI療法)やβ刺激薬・重炭酸ナトリウムによる細胞内シフト、陽イオン交換樹脂(ケイキサレート)による体外排出、重症例では血液透析が選択されます。

低カリウム血症と心電図変化

低カリウム血症は血清Kが3.5 mEq/L未満の状態で、ループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬、嘔吐・下痢による消化液喪失、原発性アルドステロン症などが原因となります。心電図ではU波の出現が特徴的で、T波の平低化、ST低下、QT延長を伴います。低K血症も心室性不整脈のリスクを高めるため注意が必要です。

カルシウム・マグネシウム・ナトリウム異常

カルシウム異常では、高Ca血症でQT短縮がみられ、悪性腫瘍や副甲状腺機能亢進症が原因となります。低Ca血症ではQT延長に加えてテタニー、Trousseau徴候、Chvostek徴候が出現します。低マグネシウム血症もQT延長と不整脈リスク上昇をきたします。ナトリウム異常では、高Na血症で脱水、低Na血症でSIADHなどによる意識障害がみられます。

採血時の溶血による偽性高K血症

採血時に細い針の使用、強い陰圧、激しい混和などで赤血球膜が破壊されると、細胞内成分が血漿中に漏出します。これが溶血であり、血漿は暗赤色を呈します。赤血球内Kが血漿の25〜30倍と高いため、溶血によって血漿K値は実際より高く測定されてしまいます。これを偽性高カリウム血症と呼びます。同様にLDH、AST、鉄、NSEも赤血球内に多いため高値化します。臨床像と検査値が乖離する場合は再採血を検討します。

看護のポイント

電解質異常が疑われる患者では、心電図モニターによる持続観察、不整脈の早期発見、意識レベル、筋力低下、テタニーの有無、検査値の経時的変化を統合的に評価することが重要です。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    血清カリウムの基準値は mEq/Lである。

  2. 2.

    高カリウム血症で最も初期に出現する心電図変化はである。

  3. 3.

    高カリウム血症が進行すると、P波消失、QRS幅延長を経て最終的に・心停止に至る。

  4. 4.

    低カリウム血症で特徴的に出現する心電図波形はである。

  5. 5.

    高カルシウム血症では心電図上がみられる。

  6. 6.

    低カルシウム血症で口唇周囲のしびれや手指のけいれんを呈する状態をという。

  7. 7.

    採血時に赤血球膜が破壊され細胞内成分が血漿中に漏出する現象をという。

  8. 8.

    溶血により赤血球内から漏出して血漿中で高値化し、偽性高値を示す代表的な電解質はである。

  9. 9.

    高カリウム血症の治療で心筋膜を安定化させる目的で静注される薬剤はである。

電解質異常と心電図変化」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。