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将来推計人口と死亡統計

健康支援と社会保障制度 / 公衆衛生・人口統計

解説

将来推計人口とは、現在の出生率や死亡率などの人口動態を基に、将来の人口規模や年齢構成を推計したものです。今回は、日本の将来推計人口と死亡統計について解説します。看護を学ぶうえで、人口動態は地域包括ケアや在宅看取りなど医療政策の根幹に直結する重要な基礎知識です。

人口統計の出典と種類

日本の人口に関する公式統計には、大きく分けて三つがあります。総務省統計局が毎年公表する「人口推計」は、国勢調査の結果を基に最新の人口を推定したものです。厚生労働省が毎年公表する「人口動態統計」は、出生・死亡・婚姻・離婚・死産といった届出に基づく統計で、その年の出生数や死亡数、死因順位などを示します。そして国立社会保障・人口問題研究所が原則5年ごとに公表する「日本の将来推計人口」は、長期的な人口の見通しを示すものです。看護師国家試験では出典と内容の組み合わせがよく問われます。

日本の将来推計人口

国立社会保障・人口問題研究所が公表した平成29年(2017年)推計によると、日本の総人口は長期的な減少過程に入っています。日本の人口は2008年の約1億2,808万人をピークに減少へ転じ、2053年には1億人を割り込み2065年には約8,808万人になると見込まれています(出生中位推計)。同時に高齢化も進行し、65歳以上人口の割合を示す**高齢化率は2065年に約38.4%**まで上昇すると推計されています。背景には、合計特殊出生率の低迷(2022年は1.26)と平均寿命の延伸があり、少子高齢化が急速に進む構造があります。

さらに、最新の令和5年(2023年)推計では、人口減少のペースがやや緩やかになる一方で、長期的な減少傾向は続くと見込まれています。出生中位・死亡中位の仮定では、2060年の総人口は約9,600万人まで減少すると推計されており、2070年には約8,700万人になると見込まれています。高齢化率は2070年に約38.7%に達するとされ、少子高齢化と人口減少が今後も継続することが示されています。

死亡数の動向

人口動態統計によると、日本の死亡数は昭和50年代後半から増加傾向が続いています。平成15年(2003年)に100万人を超え、平成28年(2016年)以降は130万人台で推移し、令和元年(2019年)の死亡数は約138万人でした。近年はさらに増加し140万人台に達しています。一方で出生数は減少を続け、2022年には80万人を割り込みました。出生数から死亡数を引いた自然増減はマイナス幅が拡大し、日本は人口の自然減が常態化しています。死亡数増加の主因は高齢者人口の増加で、ピークは2040年前後と推計されています。

主な死亡率の指標と定義

母子保健や公衆衛生の分野でよく用いられる死亡率には、対象や分母・分子が異なるいくつかの指標があり、定義の違いが国家試験で繰り返し問われます。いずれも人口動態統計をもとに算出されます。

乳児死亡率は、生後1年未満(0歳)の乳児の死亡率を表す指標で、その年の**乳児死亡数 ÷ 出生数 × 1,000(出生1,000対)**で算出します。地域の母子保健や生活水準を反映する重要な指標です。

新生児死亡率は、生後4週(28日)未満の新生児の死亡率を表す指標で、**新生児死亡数 ÷ 出生数 × 1,000(出生1,000対)**で算出します。新生児死亡は出産時の医療水準や周産期医療の質を強く反映します。

周産期死亡率は、妊娠満22週以後の死産と生後1週(早期新生児)死亡を合わせた死亡率で、(妊娠満22週以後の死産数 + 早期新生児死亡数)÷(出生数 + 妊娠満22週以後の死産数)× 1,000で算出します。分母に死産数も加える点が特徴で、周産期医療の指標として用いられます。

妊産婦死亡率は、妊娠中または妊娠終了後42日未満の妊産婦死亡の頻度を示す指標で、**妊産婦死亡数 ÷ 出産数(出生数+死産数)× 100,000(出産10万対)**で算出します。母体の安全と産科医療の水準を示す指標として国際比較にも用いられます。日本ではいずれの指標も世界的にきわめて低い水準にあります。

死亡場所と死因

令和3年(2021年)の人口動態統計における死亡場所別の割合は、病院が約65.9%で最多、次いで自宅が約17.2%、介護老人保健施設や老人ホームなど介護関連施設を合計しても病院には及びません。日本では1976年に病院死亡が自宅死亡を上回って以来、病院が長く首位を占めています。しかし高齢者の多くは自宅で最期を迎えたいと希望しており、現実との乖離が課題となっています。そのため地域包括ケアシステムの推進、訪問看護や在宅医療の拡充、看取り加算、**アドバンス・ケア・プランニング(ACP/人生会議)**などの取り組みが進められています。

主要死因の順位は、令和4年頃で1位悪性新生物、2位心疾患、3位老衰、4位脳血管疾患、5位肺炎です。近年、老衰が脳血管疾患を抜いて3位に浮上したことも押さえておきましょう。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    日本の将来推計人口を5年ごとに公表しているのはである。

  2. 2.

    平成29年推計によると、日本の総人口は2053年に人を割り込むと見込まれている。

  3. 3.

    平成29年推計(出生中位)における2065年の日本の総人口は約万人とされている。

  4. 4.

    令和5年(2023年)推計(出生中位・死亡中位)における2060年の日本の総人口は約万人と見込まれている。

  5. 5.

    令和元年(2019年)の死亡数は約万人であった。

  6. 6.

    令和3年(2021年)の死亡場所で最も多いのはである。

  7. 7.

    令和4年頃の死因順位の第1位はである。

  8. 8.

    2022年の出生数は万人を割り込んだ。

  9. 9.

    在宅看取り推進の文脈で、人生の最終段階における医療・ケアについて本人・家族・医療者が話し合うプロセスをという。

  10. 10.

    生後1年未満の死亡数を出生数で割り1,000を掛けて算出する指標をという。

  11. 11.

    生後4週(28日)未満の死亡数を出生数で割り1,000を掛けて算出する指標をという。

  12. 12.

    妊娠満22週以後の死産と早期新生児死亡を合わせた死亡率で、分母に死産数も加えて算出する指標をという。

  13. 13.

    妊娠中または妊娠終了後42日未満の妊産婦死亡数を出産数で割り100,000を掛けて算出する指標をという。

将来推計人口と死亡統計」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。