法制定年の比較
健康支援と社会保障制度 / 医療保険・社会保障制度
解説
法制定年の比較とは、看護に関連する各種法律がいつ作られたかを時系列で整理し、社会的背景と結びつけて理解する学習領域です。今回は法制定年の比較について解説します。
法律の制定段階
法律には制定(成立)、公布、施行という三つの段階があり、それぞれ時期が異なる点に注意が必要です。国試では制定年を問われることが多く、社会的背景とセットで覚えることが攻略の鍵となります。
子ども・家族関連法の流れ
戦後まもなく制定された児童福祉法は1947年、続いて優生保護法が1948年に制定され、1996年に母体保護法へと改称されました。少子化が深刻化するなかで2003年に次世代育成支援対策推進法、2012年に子ども・子育て支援法が制定されました。2022年にはこども基本法が制定され、2023年にこども家庭庁が発足しています。
医療的ケア児支援法
医療技術の進歩により、人工呼吸器管理や経管栄養、喀痰吸引など日常的に医療的ケアを必要とする小児が増加しました。保育や教育の場での受け入れ体制整備と家族の負担軽減が課題となり、2021年に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が公布、同年9月に施行されました。国・地方公共団体・保育所・学校等の責務が明文化され、医療的ケア児支援センターの設置が定められた点が重要です。
依存症対策関連法
アルコール、ギャンブル、薬物といった依存症は本人だけでなく家族や社会全体に深刻な影響を及ぼします。2013年にアルコール健康障害対策基本法が制定され、依存症対策の枠組みが整えられました。この法律はアルコール健康障害の発生・進行・再発の防止と、本人および家族への支援を国・地方公共団体の責務として明確化したものです。ただし、20歳未満の者の飲酒禁止そのものを定めているのは本法ではなく、未成年者飲酒禁止法が根拠である点に注意してください。2016年に成立したIR整備推進法を契機として、2018年にはギャンブル等依存症対策基本法が制定されました。この法律は予防・診療・相談支援・回復支援を国の責務として明確化したもので、近年制定された法律のなかでも特に新しい部類に入ります。
法律の内容と根拠法の整理
年代だけでなく、各法律が実際に「何を定めているか」「紛らわしい事項の根拠法は別に存在しないか」を整理しておくことが、国試で確実に得点するためのポイントです。
障害者虐待防止法
2011年に制定された障害者虐待防止法(正式名称:障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律)は、障害者に対する虐待を発見した者に対し、速やかに市町村への通報を行うことを義務づけています。通報先が市町村である点は、児童虐待防止法(児童相談所・市町村)や高齢者虐待防止法(市町村)と合わせて整理しておくと混同を避けられます。
母子保健法と助産施設入所
1965年に制定された母子保健法は、母性ならびに乳児および幼児の健康保持・増進を目的とし、母子健康手帳の交付、妊産婦・乳幼児健康診査、低出生体重児の届出、未熟児への訪問指導などを定めています。一方で、経済的理由により入院助産を受けられない妊産婦を助産施設に入所させる仕組みは、母子保健法ではなく児童福祉法を根拠としている点に注意が必要です。母子保健法と児童福祉法は対象が重なりやすいため、所管事項を切り分けて覚えましょう。
アルコール健康障害対策基本法と未成年者飲酒禁止法
前述のとおり、2013年制定のアルコール健康障害対策基本法はアルコール健康障害対策全般の枠組み法であり、具体的な飲酒年齢制限は規定していません。20歳未満の者の飲酒を禁止しているのは1922年制定の未成年者飲酒禁止法であり、販売者・保護者にも責任が及ぶ点が特徴です。「飲酒禁止年齢=アルコール健康障害対策基本法」と誤答しないよう、根拠法の区別をしっかり押さえておきましょう。
まとめ
法制定年の学習では、児童福祉法1947年、母子保健法1965年、母体保護法への改称1996年、次世代育成支援対策推進法2003年、障害者虐待防止法2011年、子ども・子育て支援法2012年、アルコール健康障害対策基本法2013年、ギャンブル等依存症対策基本法2018年、医療的ケア児支援法2021年、こども基本法2022年という流れを押さえます。あわせて、障害者虐待発見時の通報先は市町村、助産施設入所の根拠は児童福祉法、20歳未満飲酒禁止の根拠は未成年者飲酒禁止法、といった「内容と根拠法のずれ」も整理しておくと、国試で問われる新しい法律や年代比較の問題に正確に答えられるようになります。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
児童福祉法が制定されたのはである。
- 2.
優生保護法が母体保護法へ改称されたのはである。
- 3.
次世代育成支援対策推進法が制定されたのはである。
- 4.
子ども・子育て支援法が制定されたのはである。
- 5.
アルコール健康障害対策基本法が制定されたのはである。
- 6.
ギャンブル等依存症対策基本法が制定されたのはである。
- 7.
医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が公布・施行されたのはである。
- 8.
こども基本法が制定されたのはである。
- 9.
障害者虐待防止法において、障害者虐待を発見した者が通報する義務を負う相手先はである。
- 10.
経済的理由で入院助産を受けられない妊産婦を助産施設に入所させる規定の根拠法は、母子保健法ではなくである。
- 11.
20歳未満の者の飲酒を禁止している法律は、アルコール健康障害対策基本法ではなくである。
