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法律と内容の正しい組合せ―虐待防止法の「通報先」を押さえよう

看護師国家試験 第115午前31

国試問題にチャレンジ

115午前31

法律とその内容の組合せで正しいのはどれか。

  1. 1.児童福祉法----医療的ケア児が在籍する学校への看護師の配置
  2. 2.母子保健法----経済的に困窮した妊産婦の助産施設入所
  3. 3.アルコール健康障害対策基本法----20歳未満の飲酒の禁止
  4. 4.障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)----市町村への通報義務

対話形式の解説

博士博士
今日は法律と制度内容の組合せ問題じゃ。看護師国試では毎年のように出題される頻出テーマじゃよ。
サクラサクラ
法律名と内容を一致させる問題、いつも似たような名前で混乱します…。
博士博士
そうじゃのう。コツは「その制度を実際に動かしている根拠法はどれか」を考えることじゃ。まず選択肢4、障害者虐待防止法と市町村への通報義務、これが正解じゃ。
サクラサクラ
障害者虐待を見つけたら市町村に通報するんですね。なぜ市町村なんですか?
博士博士
市町村は住民にいちばん身近な行政単位で、福祉サービスの実施主体でもあるからじゃ。市町村は通報を受けて安全確認や立入調査を行い、必要なら一時保護につなげる。児童虐待防止法も高齢者虐待防止法も、通報先は基本的に市町村(または児童相談所)になっておる。
サクラサクラ
虐待防止系は「市町村」で揃えて覚えるとよさそうですね。じゃあ選択肢1の児童福祉法と学校への看護師配置はどうですか?
博士博士
惜しいんじゃが不正解じゃ。医療的ケア児が通う学校への看護師配置を直接根拠づけているのは、令和3年に成立した「医療的ケア児支援法」じゃ。児童福祉法は保育所や児童相談所など児童福祉全般を定める法で、学校配置を直接書いているわけではないのじゃよ。
サクラサクラ
新しい法律ができていたんですね…。
博士博士
医療的ケア児支援法は国と地方公共団体に支援の責務を定めた重要な法律で、近年の国試でも出題が増えておる。覚えておくとよい。
サクラサクラ
選択肢2の母子保健法と助産施設入所はどうでしょう?
博士博士
これも引っかけじゃ。経済的に困窮した妊産婦が助産施設に入所する制度は「児童福祉法第22条」に基づくものなんじゃ。母子保健法は母子健康手帳の交付や妊産婦・乳幼児の健康診査、保健指導などを定める法じゃ。
サクラサクラ
母子の保健と福祉で法律が分かれているんですね。
博士博士
そうじゃ。「保健指導・健診=母子保健法」「助産施設・養育医療=児童福祉法」と整理するとよいぞ。
サクラサクラ
選択肢3のアルコール健康障害対策基本法と20歳未満の飲酒禁止は?
博士博士
これも別の法律じゃ。20歳未満の飲酒を禁じているのは「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」、いわゆる旧・未成年者飲酒禁止法じゃな。アルコール健康障害対策基本法は依存症などへの総合的対策の基本理念や、国・自治体の責務を定めた法律で、年齢制限そのものは規定しておらん。
サクラサクラ
「基本法」とつく法律は理念や枠組みを定めるもの、というイメージですね。
博士博士
いい整理じゃ。基本法系はがん対策基本法や自殺対策基本法など、特定領域の総合対策の基本方針を示すのが特徴じゃよ。
サクラサクラ
通報義務の話に戻りますが、虐待を発見したら必ず通報しないといけないんですか?
博士博士
障害者虐待防止法では、生命や身体に重大な危険が生じている場合は誰でも通報義務がある。それ以外でも発見者は速やかに通報する努力義務が課されておる。守秘義務よりも通報義務が優先されるという点も大事じゃ。
サクラサクラ
看護師にとっても重要な知識ですね。日常の業務で気付いた虐待を見過ごさないためにも。
博士博士
その通り。とくに在宅看護や訪問看護では、養護者による虐待のサインに気付ける立場にあるからのう。組合せ問題は丸暗記ではなく、制度の目的と窓口で整理して覚えるとよいぞ。

POINT

保健・福祉に関する4つの法律と、その内容の組合せを問う出題。似た領域の別法律(児童福祉法と医療的ケア児支援法、母子保健法と児童福祉法の助産施設、アルコール健康障害対策基本法と旧未成年者飲酒禁止法)との混同を避けられるかがカギ。

解答・解説

正解は4です

問題文:法律とその内容の組合せで正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)」は、障害者に対する虐待を発見した者に通報義務を課しており、その通報先として市町村(市町村障害者虐待防止センター)を明確に位置づけている。養護者・障害者福祉施設従事者等・使用者による虐待のいずれにおいても、発見者は速やかに市町村に通報する義務がある(生命または身体に重大な危険が生じている場合は誰でも通報義務、それ以外でも通報努力義務)。

選択肢考察

  1. ×1.  児童福祉法----医療的ケア児が在籍する学校への看護師の配置

    学校への看護師(医療的ケア看護職員)配置を直接規定しているのは、2021年に成立した「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)」と学校教育法施行規則である。児童福祉法は児童の保育・福祉一般を定める法で、学校への看護師配置を直接の内容としているわけではない。

  2. ×2.  母子保健法----経済的に困窮した妊産婦の助産施設入所

    経済的理由で入院助産を受けられない妊産婦を助産施設に入所させる措置は「児童福祉法」第22条に基づくものであり、母子保健法ではない。母子保健法は妊産婦・乳幼児への保健指導、健康診査、母子健康手帳の交付などを規定している。

  3. ×3.  アルコール健康障害対策基本法----20歳未満の飲酒の禁止

    20歳未満の者の飲酒を禁止しているのは「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律(旧・未成年者飲酒禁止法)」である。アルコール健康障害対策基本法は、アルコール依存症などの健康障害に対する国・自治体の総合的な対策の基本理念や枠組みを定めた法律であり、年齢制限そのものは規定していない。

  4. 4.  障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)----市町村への通報義務

    障害者虐待防止法は、養護者・障害者福祉施設従事者等・使用者による虐待を発見した者に対し、市町村への通報義務を定めている。市町村は通報を受けて事実確認や安全確認、保護のための立入調査などを行う。市町村が一次対応の窓口となる点がポイント。

虐待防止に関する3つの法律(児童虐待防止法・高齢者虐待防止法・障害者虐待防止法)はいずれも通報先を市町村としている点で共通しており、国試では混同しやすい論点である。配偶者からの暴力(DV防止法)の場合は配偶者暴力相談支援センターや警察が中心となる点と区別したい。なお、学校・幼稚園・病院・保育所等で発見された障害者虐待についても、子どもや高齢者と同様に管理者や職員が通報義務を負う。法律問題は「制度の内容そのもの」と「どの法律に書かれているか」の両方を押さえる必要があり、似た制度との混同を狙う出題が多い。

保健・福祉に関する4つの法律と、その内容の組合せを問う出題。似た領域の別法律(児童福祉法と医療的ケア児支援法、母子保健法と児童福祉法の助産施設、アルコール健康障害対策基本法と旧未成年者飲酒禁止法)との混同を避けられるかがカギ。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。