死因順位と死亡数
健康支援と社会保障制度 / 公衆衛生・人口統計
解説
死因順位とは、ある一定期間に死亡した人々を死因別に集計し、多い順に並べたものをいいます。今回は日本における死因順位と年間死亡数について解説します。
人口動態統計と死因の基本
日本の死因順位や死亡数は、人口動態統計によって毎年公表されています。人口動態統計は、市区町村に提出される出生届・死亡届・婚姻届・離婚届・死産届をもとに、厚生労働省がまとめる国の基幹統計です。死亡数は死亡診断書または死体検案書に記載された原死因をもとに、世界保健機関(WHO)が定めるICD(国際疾病分類)に基づいて分類されます。看護師国家試験では、最新年の死因順位や年間死亡数の概数、歴史的な順位の変遷がよく問われます。
現在の死因順位
近年(令和の時代)の死因順位は、第1位が悪性新生物(がん)、第2位が心疾患、第3位が老衰、第4位が脳血管疾患、第5位が肺炎となっています。悪性新生物は全死亡のおよそ4分の1を占め、令和6年(2024年)の概数では年間約38万人が亡くなっています。心疾患は約23万人で、心筋梗塞や心不全が主な内訳です。老衰は約20万人、脳血管疾患は約11万人、肺炎は約7万人です。なお、2017年の死因分類改訂で誤嚥性肺炎が肺炎から独立した項目として分けられたため、純粋な肺炎の数値は見かけ上低下しました。
死因順位の歴史的変遷
戦後から1970年代までは脳血管疾患が死因の第1位でした。当時は脳出血が中心で、高血圧の管理が不十分だったことが背景にあります。降圧薬の普及や食塩摂取量の減少により脳血管疾患は減少し、入れ替わるように悪性新生物が増加しました。昭和56年(1981年)以降、悪性新生物が死因の第1位となり、現在まで続いています。
心疾患は1985年以降、長らく第2位の座を維持しています。一方、第3位以下は変動が激しく、平成23年(2011年)時点では「1位がん・2位心疾患・3位肺炎・4位脳血管疾患」、平成29年(2017年)は「3位脳血管疾患・4位老衰・5位肺炎」という順でした。2018年に老衰が肺炎を抜いて第3位となり、その後も上昇を続けています。老衰急増の背景には、超高齢化の進展と、明確な疾患を特定せず「老衰死」として診断する慣行の広がりがあります。
年間死亡数の推移と自然減
年間死亡数は年々増加しています。平成26年(2014年)は約127万人でしたが、2020年代には140万人前後となり、今後150万人を超えると推計されています。一方、年間出生数は約70〜80万人台まで減少しており、出生数より死亡数が多い自然減の状態が続いています。これは少子高齢化が進む日本社会の特徴であり、人口減少社会の根拠となるデータです。
悪性新生物の部位別死亡数
悪性新生物の中で、どの臓器のがんで亡くなる人が多いかは性別によって異なります。男性のがん死亡数は多い順に、肺・胃・大腸・肝および肝内胆管・膵臓となっています。女性のがん死亡数(令和4年)は多い順に、大腸・肺・膵臓・乳房・胃です。男女ともに肺がんは上位に位置し、特に男性では第1位です。
ここで注意したいのが、罹患数(新たに診断された人数)と死亡数では順位が異なる点です。女性の罹患数第1位は乳房ですが、死亡数第1位は大腸です。乳がんは早期発見・治療により予後が比較的良好なため、罹患は多くても死亡につながりにくいのです。男性の罹患数第1位は近年前立腺がんですが、死亡数では肺がんが第1位となっています。
主なリスク因子
肺がんの最大のリスク因子は喫煙です。喫煙と関連が深いのは扁平上皮癌と小細胞癌で、いずれも気管支に発生しやすいタイプです。胃がんはヘリコバクター・ピロリ菌感染、肝がんはB型・C型肝炎ウイルス、子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)感染が主なリスク因子となります。生活習慣や感染症の予防が、がん死亡数の抑制に直結します。
まとめ
日本の死因第1位は昭和56年以降、悪性新生物が占め続けています。第2位は心疾患、第3位は2018年以降老衰となり、第4位脳血管疾患、第5位肺炎と続きます。年間死亡数は140万人台に達し、出生数を上回る自然減の時代に入っています。がんの部位別死亡数は男性で肺が第1位、女性で大腸が第1位であり、罹患数とは順位が異なる点も看護師国家試験で頻出のポイントです。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
日本で死因第1位となっているのはである。
- 2.
悪性新生物が死因第1位となったのは昭和年以降である。
- 3.
現在の死因順位で第2位はである。
- 4.
2018年に肺炎を抜いて死因第3位となったのはである。
- 5.
戦後から1970年代まで死因の第1位だったのはである。
- 6.
男性のがん部位別死亡数で第1位はがんである。
- 7.
女性のがん部位別死亡数(令和4年)で第1位はがんである。
- 8.
女性のがん罹患数で第1位はがんである。
- 9.
肺がんの最大のリスク因子はである。
- 10.
出生数より死亡数が多い状態を人口のという。
