StudyNurse

国民健康・栄養調査

健康支援と社会保障制度 / 公衆衛生・人口統計

解説

今回は国民健康・栄養調査について解説します。国試では毎年のように、ここで得られた数値(喫煙率・肥満者割合・運動習慣・睡眠時間など)が出題されます。数字を丸暗記するのではなく、調査の枠組みと「どの世代でどの指標が高い/低いか」という傾向をセットで覚えることが得点のコツです。

国民健康・栄養調査とは

国民健康・栄養調査とは、健康増進法に基づき厚生労働省毎年11月に実施している統計調査です。目的は、国民の身体状況・栄養摂取量・生活習慣を全国規模で把握し、健康日本21などの健康増進施策の基礎資料を得ることにあります。調査は無作為に選ばれた世帯を対象に、身長・体重・血圧・血液検査などの「身体状況調査」、食事内容を記録する「栄養摂取状況調査」、喫煙・飲酒・運動・睡眠などを問う「生活習慣調査」の3本柱で構成されます。看護師国家試験では、必修問題から状況設定問題まで幅広く出題され、特に直近の数値が問われる傾向があります。

肥満とやせの状況

体格の判定にはBMI(body mass index)が用いられます。BMIは体重(kg)÷身長(m)²で算出され、日本肥満学会の基準では18.5未満が低体重(やせ)、18.5以上25未満が普通体重、25以上が肥満と定義されます。WHO基準では30以上を肥満とするため、日本基準はやや厳しい点に注意が必要です。 国民健康・栄養調査において、男性の肥満者の割合は近年30%前後で推移しています。年代別にみると40〜50歳代の男性で最も高く、おおむね3人に1人(約35%)が肥満に該当します。働き盛り世代でデスクワーク中心の業務、外食・飲酒機会の増加、運動不足、ストレスによる過食、基礎代謝の低下といった要因が重なるためです。一方、女性の肥満者割合は20%前後と男性より低く、ピークは60歳代に現れます。男女で肥満のピーク年代が異なる点は国試で狙われやすいポイントです。 反対に、低栄養傾向(BMI18.5未満)の割合は若年層で高く、とくに20歳代女性のやせは母子保健上の課題とされています。40歳以上を対象とした**特定健診・特定保健指導(メタボ健診)**の対象年齢が、男性肥満のピーク年代と重なることも併せて押さえておきましょう。

喫煙の状況

国民健康・栄養調査における習慣的喫煙者とは、たばこを「毎日吸っている」または「時々吸っている」と回答した者のうち、合計100本以上または6か月以上吸っている者を指します。男性の喫煙率は昭和40年代の80%台から長期的に減少を続け、近年は約30%前後にまで低下しています。具体的には平成24年で約34%、平成29年で約29%、令和元年で約27%と推移しています。女性の喫煙率は10%を下回り、おおむね7〜9%で推移しています。年代別では30〜40歳代の男性が他の年代より高い傾向にあります。 減少の背景には、改正健康増進法(2020年全面施行)による受動喫煙防止対策の強化、たばこ税の引き上げ、職場・飲食店での禁煙・分煙の推進などがあります。**健康日本21(第二次)では成人喫煙率を12%**まで下げる目標が掲げられていますが、依然として達成には至っていません。喫煙は虚血性心疾患、脳卒中、COPD、肺がんをはじめとする多くのがん、低出生体重児などと関連する「最大の予防可能な健康リスク因子」とされます。

運動習慣の状況

国民健康・栄養調査における運動習慣のある者とは、1回30分以上の運動を週2回以上、1年以上継続している者と定義されます。この定義は国試頻出ですので、数字を正確に覚えてください。 運動習慣のある者の割合は、男女ともに年齢が上がるほど高くなる傾向があり、近年は70歳以上で最も高くなります。たとえば令和元年では、70歳以上の男性で約43%、女性で約36%と他の年代を明らかに上回りました。反対に最も低いのは30〜40歳代で、仕事や子育てで時間的余裕が乏しい現役世代の課題が示されています。退職後に時間的余裕が生まれ、健康意識も高まる高齢世代で運動習慣が根付きやすいと考えられます。歩数の平均値は成人男性で約6,800歩、女性で約5,800歩であり、健康日本21の目標値(男性9,000歩、女性8,500歩)には届いていません。

睡眠・その他の生活習慣

成人の1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満が最も多く、全体の約3割強を占めます。次いで5〜6時間、7〜8時間の順となり、日本人成人の短時間睡眠傾向が浮かび上がっています。「健康づくりのための睡眠指針」では成人で6〜8時間程度を目安とし、慢性的な睡眠不足の蓄積である「睡眠負債」への注意喚起がなされています。食塩摂取量や野菜摂取量、若年女性のやせも頻出指標で、いずれも健康日本21の目標値とのギャップを意識して学習しましょう。

まとめ

国民健康・栄養調査は健康増進法に基づき厚生労働省が毎年実施する統計調査で、身体状況・栄養摂取・生活習慣の3領域を把握し、健康日本21の基礎資料となります。男性の肥満は40〜50歳代でピークとなり約3人に1人、男性喫煙率は約3割で減少傾向、女性は1割未満です。運動習慣のある者の割合は70歳以上で最も高く、若い世代ほど低くなります。BMI25以上が肥満、運動習慣は「1回30分以上・週2回以上・1年以上継続」という定義を確実に押さえ、直近の数値と年代別の傾向をセットで覚えることが国試攻略の鍵です。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    国民健康・栄養調査はに基づき、厚生労働省が毎年実施する統計調査である。

  2. 2.

    国民健康・栄養調査において、BMIがkg/m²以上の者を肥満と定義する(日本肥満学会基準)。

  3. 3.

    近年の国民健康・栄養調査では、男性の肥満者の割合が最も高い年代はであり、約3人に1人が肥満に該当する。

  4. 4.

    国民健康・栄養調査における運動習慣のある者とは、1回分以上の運動を週回以上、年以上継続している者をいう。

  5. 5.

    近年の国民健康・栄養調査では、男女ともに運動習慣のある者の割合が最も高い年齢階級はである。

  6. 6.

    令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査における20歳以上男性の習慣的喫煙者の割合は、選択肢の中ではおよそ%に最も近い。

  7. 7.

    令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査における20歳以上女性の習慣的喫煙者の割合は、約%である。

  8. 8.

    健康日本21(第二次)における成人の喫煙率の目標値は%である。

  9. 9.

    平成29年の国民健康・栄養調査によると、成人の1日の平均睡眠時間で最も割合が高いのはの層である。

国民健康・栄養調査」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。