StudyNurse

患者調査と受療率

健康支援と社会保障制度 / 公衆衛生・人口統計

解説

今回は患者調査と受療率について解説します。患者調査は看護師国家試験で毎回のように問われるテーマであり、外来と入院の受療率の傾向、総患者数の最多疾患、平均在院日数の最長疾患を区別して覚えることが得点の鍵となります。

患者調査とは

患者調査とは、全国の医療施設を利用する患者の傷病状況等を明らかにし、医療行政の基礎資料を得ることを目的に、厚生労働省が3年ごとに実施する基幹統計調査です。調査の対象は層化無作為抽出された病院・一般診療所・歯科診療所で、調査日に受診したすべての患者の傷病・年齢・在院日数などが集計されます。 看護師国家試験で押さえておくべき主要な統計調査は、患者調査・国民生活基礎調査・国民健康・栄養調査・人口動態統計の4つです。患者調査は「医療を受けている患者そのものの状態」を把握する点が特徴で、世帯を対象に有訴者率や通院者率を調べる国民生活基礎調査とは目的が異なります。

受療率の定義

受療率とは、調査日に医療施設で受療した推計患者数を、人口10万人あたりで表した指標です。計算式は「受療率(人口10万対)=推計患者数÷推計人口×100,000」となり、入院受療率と外来受療率に分けて集計されます。看護師国家試験では分母が人口10万人であること、入院と外来を別々に算出することが頻出ポイントです。 受療率と紛らわしい指標として、罹患率有病率があります。罹患率はある期間に新たに発生した患者の割合、有病率はある時点で疾患をもっている人の割合を意味し、両者の関係は「有病率はおおよそ罹患率と平均有病期間の積に等しい」と表現されます。慢性疾患は罹患率が低くても有病期間が長いため有病率が高くなり、急性疾患は罹患率が高くても短期で治癒するため有病率は低くなります。

入院受療率と外来受療率の傾向

受療率は入院と外来で上位疾患が大きく入れ替わるため、セットで覚える必要があります。

入院受療率

入院受療率(人口10万対)で最も高いのは精神及び行動の障害で、次いで循環器系の疾患、損傷・中毒及びその他の外因の影響、新生物の順となります。精神疾患は治療や社会復帰までに長い時間を要するため入院期間が長く、入院受療率を押し上げています。

外来受療率

外来受療率(人口10万対)で最も高いのは消化器系の疾患です。これは、う蝕や歯周病といった歯科疾患が傷病分類上「消化器系の疾患」に含まれており、歯科診療所の受診者数が極めて多いことが主因となります。次いで循環器系の疾患、筋骨格系及び結合組織の疾患の順に高くなります。傷病分類ではなく個別の疾患でみた場合、外来受療率が高い代表は高血圧性疾患で、加齢に伴い有病率が上昇し定期通院と服薬が必要となるため通院患者が多くなります。

総患者数の傾向

総患者数とは、調査日に医療を受けていない者であっても継続的に医療を受けている者を含めて推計した患者数のことです。傷病別の総患者数で最も多いのは高血圧性疾患で、次いで糖尿病、脂質異常症、悪性新生物、心疾患(高血圧性のものを除く)の順となります。高血圧は生活習慣病の代表であり、無症状でも長期にわたって通院・服薬を続ける患者が多いため、総患者数が突出して多くなります。

平均在院日数

平均在院日数とは、入院患者が退院するまでに要した平均日数を表す指標です。傷病分類別の平均在院日数で最も長いのは精神及び行動の障害で、次いで神経系の疾患、循環器系の疾患の順となります。精神疾患は治療と社会復帰支援に時間を要するため長期入院となりやすく、近年は地域移行支援や精神科訪問看護の整備により短縮が図られていますが、依然として他疾患を大きく上回っています。

まとめ

患者調査は厚生労働省が3年ごとに実施する基幹統計で、受療率は人口10万対の推計患者数として算出されます。入院受療率の最多は精神及び行動の障害、外来受療率の最多は傷病分類でみると消化器系の疾患、個別疾患では高血圧性疾患となります。総患者数が最も多い疾患は高血圧性疾患、平均在院日数が最も長いのは精神及び行動の障害です。「外来は消化器、入院は精神、総患者数と高頻度通院は高血圧」とセットで覚えることで、国試の統計問題に確実に対応できます。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    全国の医療施設を利用する患者の傷病状況などを把握するため、厚生労働省が3年ごとに実施する基幹統計調査をという。

  2. 2.

    調査日に医療施設で受療した推計患者数を人口10万人あたりで表した指標をという。

  3. 3.

    受療率は推計患者数を推計人口で除し、を乗じて算出する。

  4. 4.

    平成29年の患者調査で外来受療率(人口10万対)が最も高い傷病分類はであり、歯科疾患がこの分類に含まれることが主な要因である。

  5. 5.

    令和2年の患者調査における外来受療率を疾患別にみると、生活習慣病の代表で定期通院と服薬が必要となるが最も高い。

  6. 6.

    入院受療率(人口10万対)で最も高い傷病分類はである。

  7. 7.

    患者調査における傷病別の総患者数で最も多いのはである。

  8. 8.

    傷病分類別の平均在院日数が最も長いのはであり、神経系の疾患や循環器系の疾患を大きく上回る。

  9. 9.

    ある時点で疾患をもっている人の割合を表す指標をといい、おおよそ罹患率と平均有病期間の積に等しい。

患者調査と受療率」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。