健康日本21と健康増進法
健康支援と社会保障制度 / 健康増進・疾病予防
解説
今回は健康日本21と健康増進法について解説します。国民の健康づくりは長年にわたって国の重要施策として進められてきました。その中心となる法律が健康増進法であり、その下で展開される国民運動が健康日本21です。両者は車の両輪のような関係にあり、国試でも頻出のテーマとなっています。
健康増進法
健康増進法とは、国民の健康増進を総合的に推進するために制定された法律で、2002年に制定、2003年に施行されました。この法律の目的は、急速な高齢化の進展や疾病構造の変化に対応し、国民の健康増進の総合的な推進を図るとともに、栄養改善その他の国民の健康増進を図るための措置を講じることにあります。
健康増進法の主な施策
健康増進法に基づく主な施策には、国が定める基本方針としての健康日本21、毎年実施される国民健康・栄養調査、特定給食施設への栄養士・管理栄養士の配置基準、健康診査等指針、受動喫煙防止対策、そして市町村による健康増進事業(健康診査・保健指導)があります。これらは国民の健康水準を高めるための具体的な仕組みとして位置づけられています。
受動喫煙防止対策
受動喫煙防止対策は健康増進法の重要な柱の一つです。2018年の改正により内容が大きく強化され、2020年4月から全面施行されました。改正のポイントは、学校・病院・行政機関などの第一種施設に加え、飲食店を含む多くの施設で原則屋内禁煙が義務化されたことです。これにより、望まない受動喫煙を防止するための法的枠組みが整備されました。
健康日本21の歩み
健康づくり対策は、第1次国民健康づくり対策(昭和53年〜)、第2次国民健康づくり対策であるアクティブ80ヘルスプラン(昭和63年〜)を経て、第3次にあたる**健康日本21(第一次)**が平成12年に開始されました。その後、**健康日本21(第二次)が2013年度から2022年度まで実施され、現在は2024年度から健康日本21(第三次)**が開始されています。健康日本21は健康増進法に基づく国民健康づくり運動として位置づけられ、生活習慣病の予防と健康寿命の延伸を目指す中核的な政策です。
健康日本21(第二次)の構造
健康日本21(第二次)は5分野53項目の目標を設定したことが特徴です。5分野とは、①健康寿命の延伸と健康格差の縮小、②生活習慣病の発症予防と重症化予防、③社会生活を営むために必要な機能の維持・向上、④健康を支え守るための社会環境の整備、⑤栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康に関する生活習慣および社会環境の改善、の5つです。筆頭目標は健康寿命の延伸と健康格差の縮小であり、これが第二次の最大の特徴となっています。
食塩摂取量の目標
生活習慣の改善で特に重要なのが食塩摂取量です。健康日本21(第二次)では1日8gを目標とし、第三次では7gへと引き下げられました。食塩に関する基準は複数存在し混同しやすいため整理しておきます。日本人の食事摂取基準2020年版では男性7.5g未満・女性6.5g未満、高血圧治療ガイドラインでは高血圧患者は6g未満、WHO推奨は5g未満です。それぞれ対象や目的が異なるため、数字とセットで覚えておく必要があります。
糖尿病に関する目標
健康日本21(第二次)では糖尿病分野で6つの目標項目が設定されました。すなわち、合併症である糖尿病腎症による新規透析導入患者数の減少、治療継続者の割合の増加、血糖コントロール指標としてHbA1c8.4%以上の者の割合の減少、糖尿病有病者の増加抑制、メタボリックシンドローム該当者・予備群の減少、特定健康診査・特定保健指導の実施率の向上です。とりわけ重要なのが糖尿病腎症で、日本における透析導入原因疾患の第1位であり、新規透析導入患者数の減少が筆頭目標として掲げられています。
関連調査と基準
国民健康・栄養調査は健康増進法に基づき毎年実施される調査で、国民の身体状況、栄養素等摂取量、生活習慣の状況を明らかにし、健康増進施策の基礎資料となっています。また、特定給食施設、すなわち継続的に1回100食以上または1日250食以上を提供する施設には、栄養士または管理栄養士の配置基準が定められています。これらも健康増進法に基づく仕組みであり、国試で問われやすい知識です。
健康日本21(第三次)の基本方針
2024年度から開始された健康日本21(第三次)では、①健康寿命の延伸と健康格差の縮小、②個人の行動と健康状態の改善、③社会環境の質の向上、④ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり、の4つが基本方針として掲げられています。ライフコースアプローチとは、胎児期から高齢期までを連続した過程として捉え、ライフステージごとの健康課題に対応していこうという考え方です。少子高齢化が進む中での新たな視点として注目されます。
まとめ
健康増進法は2002年に制定された国民の健康増進を総合的に推進する法律であり、健康日本21の策定根拠、国民健康・栄養調査の実施、受動喫煙防止対策(2018年改正で原則屋内禁煙)などを定めています。健康日本21(第二次)は2013〜2022年度に5分野53項目で展開され、筆頭目標は健康寿命の延伸と健康格差の縮小、食塩摂取目標は1日8g、糖尿病腎症による新規透析導入患者数の減少が重要項目でした。2024年度からは第三次が始まり、ライフコースアプローチが新たに加わっています。法律名・制定年・目標値・分野構成を正確に押さえることが国試対策の要となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
国民の健康増進を総合的に推進することを目的として2002年に制定された法律をという。
- 2.
健康増進法に基づき、毎年実施される国民の身体状況・栄養素等摂取量・生活習慣に関する調査をという。
- 3.
健康増進法は2018年に改正され、2020年から多くの施設でが義務化されるなど、受動喫煙防止対策が強化された。
- 4.
2013年度から2022年度まで実施された健康日本21(第二次)の筆頭目標は、健康寿命の延伸とである。
- 5.
健康日本21(第二次)における食塩摂取量の目標値は1日であった。
- 6.
健康日本21(第二次)の糖尿病分野では、合併症である糖尿病腎症によるの減少が目標として掲げられた。
- 7.
日本における慢性透析療法の導入原因疾患の第1位はである。
- 8.
2024年度から開始された健康日本21(第三次)では、胎児期から高齢期までを連続した過程として捉えるが基本方針に加えられた。
- 9.
昭和63年から開始された第2次国民健康づくり対策はと呼ばれた。
