がん検診と眼底検査
成人看護学 / 成人看護総論・その他
解説
今回は、がん検診と眼底検査について解説します。日本では生活習慣病やがんによる死亡が大きな課題となっており、早期発見のための健康診断・検診の制度と方法を理解することは、看護師として保健指導を行ううえで欠かせません。本稿では、市町村による対策型がん検診の内容と、糖尿病・高血圧症で重要となる眼底検査の意義をあわせて整理します。
眼底検査の意義と適応疾患
眼底検査とは、瞳孔を通して光を入れ、網膜・視神経乳頭・網膜血管・黄斑部を直接観察する検査です。眼底は、生体において細動脈を非侵襲的に直接観察できる唯一の部位であり、全身の血管病変を推定する手がかりになります。とくに重要な適応疾患は糖尿病と高血圧症です。糖尿病では高血糖が持続することで網膜の毛細血管が障害され、糖尿病網膜症を生じます。糖尿病網膜症は単純網膜症、前増殖網膜症、増殖網膜症の三段階で進行し、わが国の中途失明原因の上位を占めます。高血圧症では網膜細動脈に硬化性変化が現れ、Scheie分類やKeith-Wagener-Barker分類のⅠ〜Ⅳ度で全身動脈硬化の程度を評価します。このほか緑内障、加齢黄斑変性、脳腫瘍によるうっ血乳頭なども眼底所見が診断の手がかりとなります。
眼底検査の方法と看護
眼底検査には、無散瞳眼底カメラによる撮影と、散瞳薬を点眼したうえでの直像鏡・倒像鏡による検査があります。散瞳薬を使用すると数時間にわたりまぶしさや近方視力の低下が続くため、検査後の自動車運転は禁忌です。来院時の交通手段を事前に確認し、検査後はサングラスの着用を勧めることが看護のポイントになります。
市町村による対策型がん検診
健康増進法に基づき、市町村は住民を対象に対策型がん検診を実施しています。対象となるのは胃がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん、大腸がんの五大がんで、人間ドックなどの任意型検診とは区別されます。大腸がん検診は40歳以上を対象に年1回行われ、検査項目は問診と免疫学的便潜血検査2日法です。陽性者には全大腸内視鏡検査による精密検査が勧められます。胃がん検診は50歳以上で原則2年に1回実施されます。
乳がん検診とマンモグラフィ
乳がんは日本人女性の罹患率第1位で、生涯およそ9人に1人が罹患し、好発年齢は40歳代後半から60歳代です。早期発見により5年生存率は90%以上に達します。検診の中心はマンモグラフィで、頭尾方向(CC)と内外斜位方向(MLO)の二方向から撮影します。撮影時はデオドラントやパウダーが石灰化像と紛らわしくなるため使用を避け、月経前は乳房緊満や疼痛が強いため月経開始後1週間程度の予約が望ましいとされます。妊娠中または妊娠の可能性がある場合は原則禁忌です。若年者の高濃度乳腺では病変が描出されにくく、超音波検査が併用されます。
乳房の自己検診
乳がんは体表に近いため自己検診で早期発見が可能です。鏡の前で左右差・皮膚のひきつれ・えくぼ徴候・乳頭陥凹・分泌物の有無を視診し、続いて立位および仰臥位で指の腹を用いて触診します。仰臥位では肩の下に枕を入れ、腋窩や鎖骨上下のリンパ節領域まで触れることが大切です。皮膚のくぼみはクーパー靱帯への浸潤を示唆します。しこり、血性乳頭分泌、腋窩リンパ節腫大、オレンジピール様の皮膚変化がみられた場合は速やかな受診を指導します。
まとめ
がん検診と眼底検査は、いずれも症状が乏しい段階で病変を見つけ出すための重要な手段です。市町村が実施する対策型がん検診の対象年齢・間隔・検査項目を整理し、乳がんの自己検診やマンモグラフィの注意点も理解しておきましょう。眼底検査は糖尿病・高血圧症の合併症評価に不可欠で、散瞳薬使用後の生活指導まで看護師の役割として押さえることが、国試対策と臨床の双方で求められます。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
眼底検査は、全身で唯一を非侵襲的に直接観察できる検査である。
- 2.
眼底検査が必要な代表的な二大疾患は、糖尿病とである。
- 3.
糖尿病網膜症は、単純網膜症、前増殖網膜症、の三段階で進行する。
- 4.
散瞳薬使用後の眼底検査後は、数時間まぶしさや近方視力低下が続くためが禁忌である。
- 5.
市町村が実施する対策型大腸がん検診は40歳以上を対象に年1回行われ、検査項目は問診とである。
- 6.
マンモグラフィは頭尾方向(CC)との二方向から撮影する。
- 7.
マンモグラフィは妊娠中または妊娠可能性のある女性に対しては原則である。
- 8.
乳房の自己検診で観察される、皮膚のひきつれによるくぼみをといい、クーパー靱帯への浸潤を示唆する。
- 9.
乳がんは日本人女性の罹患率第位であり、好発年齢は40歳代後半から60歳代である。
