BMIとメタボリックシンドローム
健康支援と社会保障制度 / 健康増進・疾病予防
解説
肥満は糖尿病・高血圧・脂質異常症・心血管疾患のリスクを高める重要な健康問題であり、看護師国家試験では肥満度の指標であるBMIの計算と、内臓脂肪型肥満を中心としたメタボリックシンドロームの診断基準が繰り返し出題されています。数値の暗記だけでなく、計算式の意味や測定方法の根拠まで理解しておくことが得点につながります。
BMIの定義と計算方法
BMIはBody Mass Indexの略で、日本語では体格指数と呼ばれます。成人の肥満度を判定する世界共通の指標で、体重(kg)を身長(m)の2乗で割って算出します。ここで注意したいのは、身長をセンチメートルではなくメートルに換算してから計算する点です。例えば身長170cmなら1.70mとして、1.70×1.70=2.89で割ります。
計算例として身長170cm・体重70kgの場合は、70÷(1.70×1.70)=70÷2.89=24.22…となり、小数点以下を四捨五入すると24となります。身長160cm・体重60kgの場合は、60÷(1.60×1.60)=60÷2.56=23.4375…となり、小数点第2位を四捨五入すると23.4となります。国試の計算問題では四捨五入する桁が指定されるので、その指示に正確に従う必要があります。
日本肥満学会のBMI判定基準
日本肥満学会では、BMI18.5未満を低体重(やせ)、18.5以上25未満を普通体重、25以上を肥満と分類しています。肥満はさらに、25以上30未満が肥満1度、30以上35未満が肥満2度、35以上40未満が肥満3度、40以上が肥満4度と段階分けされます。日本人を含むアジア人は欧米人より低いBMIで生活習慣病を発症しやすいため、世界保健機関(WHO)が肥満の基準としている30より低い25が肥満の境目に設定されています。
また標準体重は、身長(m)の2乗に22をかけて算出します。BMI22前後が最も病気にかかりにくい体重と報告されているためです。なおBMIは筋肉量と脂肪量を区別できないため、筋肉量の多いアスリートでは過大評価される、内臓脂肪と皮下脂肪の区別ができないなどの限界があります。
メタボリックシンドロームの診断基準
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満を基盤として高血糖・脂質異常・血圧高値が重なり、動脈硬化性疾患のリスクが著しく高まった状態を指します。2005年に日本の8学会合同で診断基準が策定されました。
診断ではまず必須項目としてウエスト周囲径(腹囲)を測定します。立位・呼気時に臍(へそ)の高さで測定し、男性85cm以上・女性90cm以上が該当します。この値は腹部CTで測定した内臓脂肪面積100cm²に相当するように設定されています。日本基準は男性より女性の方が大きい数値という珍しい構造ですが、これは女性の方が皮下脂肪が多く、同じ内臓脂肪量でも腹囲がより大きくなるためです。
追加項目と診断の流れ
腹囲が基準以上であることに加えて、次の3つの項目のうち2項目以上に該当するとメタボリックシンドロームと診断されます。1つ目は脂質異常で、中性脂肪150mg/dL以上またはHDLコレステロール40mg/dL未満が該当します。2つ目は血圧高値で、収縮期130mmHg以上または拡張期85mmHg以上が該当します。3つ目は空腹時血糖110mg/dL以上の高血糖です。
内臓脂肪の蓄積を評価する方法には、腹部CTによる内臓脂肪面積の直接測定と、腹囲による間接測定があります。健診の現場ではまず腹囲でスクリーニングし、必要に応じて腹部CTで精査する流れが一般的です。なおBMIや一般的な血液検査では内臓脂肪量そのものを推定することはできません。
保健指導と生活改善
メタボリックシンドロームの概念は、40〜74歳を対象とした**特定健康診査(メタボ健診)**と特定保健指導の根拠となっています。介入の中心は食事療法と運動療法で、エネルギー制限と減塩、週150分以上の有酸素運動を組み合わせ、3〜6か月で体重5%減を目標にすると、腹囲・血圧・脂質・血糖の多くが改善することが知られています。
まとめ
BMIは体重(kg)÷身長(m)の2乗で計算され、日本肥満学会では25以上を肥満と判定します。計算問題では身長の単位変換と四捨五入の桁に注意することが重要です。メタボリックシンドロームの日本の診断基準では、ウエスト周囲径が男性85cm以上・女性90cm以上で内臓脂肪蓄積と判定し、これに脂質・血圧・血糖の異常が2項目以上加わると診断されます。内臓脂肪の評価には腹部CTと腹囲が用いられる点、特定健診の対象が40〜74歳である点とあわせて整理しておきましょう。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
BMIは体重(kg)を身長()の2乗で割って算出する。
- 2.
日本肥満学会の基準ではBMI以上を肥満と判定する。
- 3.
身長170cm・体重70kgの成人のBMIは小数点以下を四捨五入するとである。
- 4.
メタボリックシンドロームの日本基準で必須項目となる男性のウエスト周囲径はcm以上である。
- 5.
メタボリックシンドロームの日本基準で女性のウエスト周囲径はcm以上である。
- 6.
腹囲は内臓脂肪面積cm²に相当する値として設定されている。
- 7.
メタボリックシンドロームの追加項目では空腹時血糖mg/dL以上が高血糖の基準となる。
- 8.
内臓脂肪面積を直接計測できる画像検査は腹部である。
- 9.
特定健康診査(メタボ健診)の対象年齢は40〜歳である。
