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意識障害評価と気道確保

看護の統合と実践 / 救命救急・急変・その他

解説

今回は意識障害の評価方法と、意識障害患者に対する気道確保について解説します。

意識とは、自分自身と周囲の状況を認識し、外界からの刺激に対して適切に反応できる状態のことをいいます。意識は大脳皮質と脳幹網様体賦活系のはたらきによって保たれており、これらに障害が起こると意識レベルが低下します。意識障害は脳血管障害、頭部外傷、低酸素、代謝性疾患、中毒、ショックなど多様な原因で生じ、生命に直結するため、迅速かつ客観的な評価が不可欠です。

意識障害の評価スケール

意識障害を客観的に評価するために用いられる代表的なスケールが、**ジャパン・コーマ・スケール(JCS)グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)**です。

ジャパン・コーマ・スケール(JCS)

JCSは日本で広く用いられている意識障害評価スケールで、3-3-9度方式とも呼ばれます。覚醒度を基準として大きくⅠ桁・Ⅱ桁・Ⅲ桁の3群に分け、それぞれをさらに3段階に細分する仕組みです。桁が上がるほど、また同じ桁の中でも数字が大きいほど意識障害は重度になります。

Ⅰ桁は「刺激しなくても覚醒している状態」で、Ⅰ-1は意識清明とはいえない状態、Ⅰ-2は見当識障害がある状態、Ⅰ-3は名前や生年月日が言えない状態を指します。Ⅱ桁は「刺激すると覚醒する状態」で、Ⅱ-10は普通の呼びかけで容易に開眼する状態、Ⅱ-20は大きな声や体を揺さぶることで開眼する状態、Ⅱ-30は痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返してようやく開眼する状態です。Ⅲ桁は「刺激しても覚醒しない状態」、すなわち昏睡に相当する最重症群で、Ⅲ-100は痛み刺激に対して払いのけるような動作をする状態、Ⅲ-200は痛み刺激で少し手足を動かしたり顔をしかめる状態、Ⅲ-300は痛み刺激にまったく反応しない状態と定義されています。

付記事項として、不穏状態であればR(restlessness)、失禁があればI(incontinence)、無動無言や自発性喪失があればA(akinetic mutism, apallic state)を数字の後に添えます(例:Ⅲ-100-R)。

グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)

GCSは国際的に標準とされる評価スケールで、開眼(E:4段階)、最良言語反応(V:5段階)、最良運動反応(M:6段階)の3要素をそれぞれ点数化し、合計点で評価します。合計は最高15点(意識清明)から最低3点(深昏睡)で表し、JCSとは逆に点数が小さいほど重症である点に注意が必要です。

意識障害患者への救命救急処置

意識障害がある患者に対する救命処置は、ABCDEアプローチに従って行います。A(Airway:気道)、B(Breathing:呼吸)、C(Circulation:循環)、D(Dysfunction of CNS:中枢神経)、E(Exposure:脱衣と体温管理)の順で評価と介入を進めます。

このうち最も優先されるのは気道確保です。意識障害があると咽頭の筋緊張が低下し、仰臥位では舌根沈下が起こって気道を塞ぎます。また嘔吐物や分泌物、血液などを誤嚥しても咳嗽反射が低下しているため排出できず、気道閉塞から呼吸停止、低酸素脳症へと直結します。したがって、まず気道の開通を確保することが救命の第一歩となります。

気道確保の基本手技には、頭部後屈顎先挙上法下顎挙上法があります。頭部後屈顎先挙上法は片手で前額部を押さえ、もう片方の手で下顎の先を持ち上げて気道を開通させる方法で、簡便で確実です。一方、頸椎損傷が疑われる外傷患者では頸部を動かすと脊髄損傷を悪化させる危険があるため、頸椎を保護したまま下顎の角を前方に押し出す下顎挙上法を選択します。気道が確保された後は呼吸状態を評価し、必要に応じてバッグバルブマスクによる人工呼吸や酸素投与、さらに気管挿管へと進みます。

まとめ

意識障害の評価では、JCSとGCSの2つのスケールを正確に使いこなすことが重要です。JCSは3-3-9度方式で覚醒度を基準に分類し、桁と数字が大きいほど重症となります。Ⅱ桁は刺激により覚醒する状態、Ⅲ桁は刺激しても覚醒しない最重症の昏睡状態を表し、Ⅲ-100は痛み刺激を払いのける動作と定義されることを押さえましょう。意識障害患者の救命処置ではABCDEアプローチに従い、舌根沈下や誤嚥による気道閉塞を防ぐため気道確保を最優先に行うことが鉄則です。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    JCSは覚醒度を基準として3群に分けたうえでさらに3段階に細分する方式で、とも呼ばれる。

  2. 2.

    JCSのⅡ桁はすると覚醒する状態を示し、Ⅱ-10は普通の呼びかけで容易に開眼する状態と定義される。

  3. 3.

    JCSのⅢ桁は刺激しても状態を示し、昏睡に相当する最も重い意識障害を表す。

  4. 4.

    JCSにおいて「刺激しても覚醒せず痛み刺激に対して払いのけるような動作をする」と定義されるのはである。

  5. 5.

    GCSは開眼・言語反応・運動反応の3項目で評価し、合計点が最も低い点が最重症の深昏睡を示す。

  6. 6.

    意識障害患者への救命救急処置で最も優先されるのはである。

  7. 7.

    救命処置の評価順序であるABCDEアプローチのうち、Aはを意味する。

  8. 8.

    意識障害時に仰臥位で気道閉塞を起こす主な原因はである。

  9. 9.

    頸椎損傷が疑われる外傷患者に対する気道確保では、頸部を動かさずに行うが選択される。

意識障害評価と気道確保」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。