廃用症候群の予防
成人看護学 / 成人看護総論・その他
解説
廃用症候群とは、長期の安静臥床や活動性低下によって生じる心身の機能低下の総称(disuse syndrome)です。大川弥生医師は「生活が不活発なことが原因で起こる、心身の機能の全般的低下」と定義しており、運動器のみならず多臓器にわたって症状が現れます。
廃用症候群の主な症状
運動器・循環器の変化
運動器では筋萎縮が顕著で、安静臥床1週間で筋力は10〜15%、3〜5週間で約50%低下します。関節拘縮や、骨形成低下と骨吸収亢進によるカルシウム溶出を背景とした骨粗鬆症も生じます。循環器では起立性低血圧、心機能低下、深部静脈血栓症(DVT)が問題となります。
呼吸器・消化器・泌尿器・皮膚・精神
呼吸器では沈下性肺炎、誤嚥性肺炎、肺活量低下が起こり、消化器では食欲不振や便秘がみられます。泌尿器では尿路感染、尿失禁、結石、皮膚では褥瘡、精神面では抑うつ、認知機能低下、せん妄が出現します。
廃用症候群の予防
予防の基本
予防の柱は早期離床です。「動かないことから動くことへ」を合言葉に、過度の安静はもはや薬ではなく害と考えます。安静臥床1日の影響は回復に3日かかるとされ、特に高齢者は1週間の臥床で10〜15%の筋力低下が生じ、進行が速いため予防の重要性が高いです。
具体的な予防方法
ギプス固定中など関節を動かせない時の第一選択は**等尺性運動(アイソメトリック運動)で、筋の長さを一定に保ったまま力を発揮し筋力低下を防ぎます。拘縮予防には関節可動域訓練(ROM訓練)**が有効です。座位・立位・歩行へと段階的に進め、褥瘡予防として2時間ごとの体位変換を行います。DVT予防には弾性ストッキングを併用し、蛋白質を含む適切な栄養管理も欠かせません。
ICUにおける予防
ICUではABCDEバンドル(Awakening、Breathing、Coordination、Delirium monitoring、Early mobility)が用いられ、早期離床と覚醒・呼吸管理、せん妄評価を一体的に行います。
看護のポイント
看護では「することのある」生活設計を支援し、患者が役割をもてるよう関わることが大切です。家族との交流維持や、災害時の避難所においても生活不活発病の予防は重要な看護課題となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
廃用症候群とは、長期の安静臥床や活動性低下により生じる心身の機能低下の総称であり、英語ではという。
- 2.
安静臥床により筋力は1週間で10〜15%低下し、3〜5週間で約%低下する。
- 3.
廃用症候群予防の鉄則はであり、「動かないことから動くことへ」が合言葉である。
- 4.
ギプス固定中など関節を動かせないときに行う、筋の長さを一定に保ったまま力を発揮する運動を(アイソメトリック運動)という。
- 5.
関節拘縮の予防には(ROM訓練)が有効である。
- 6.
褥瘡予防のための体位変換は時間ごとに行うのが原則である。
- 7.
深部静脈血栓症の英語略語はであり、予防には弾性ストッキングの併用が有効である。
- 8.
ICUにおける廃用症候群予防の包括的ケアをといい、覚醒・呼吸・協調・せん妄評価・早期離床から成る。
- 9.
長期臥床により呼吸器系で生じる肺炎で、分泌物が背側に貯留して起こるものをという。
- 10.
廃用症候群による骨粗鬆症は、骨形成低下と骨吸収亢進により(Ca)が溶出することで生じる。
