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在宅転倒予防と住環境整備

地域・在宅看護論 / 在宅生活支援・その他

解説

今回は在宅転倒予防と住環境整備について解説します。 高齢者は加齢に伴う筋力低下・バランス機能の低下・視力低下・反応速度の鈍化により転倒しやすくなります。在宅では転倒が骨折・寝たきり・要介護度の悪化に直結するため、住環境を整え事故を予防することが看護の重要な役割となります。

高齢者の家庭内事故が起こりやすい場所

高齢者の家庭内事故の発生場所として上位を占めるのは居室・階段に次いで浴室・台所です。とくに浴室は床が濡れて滑りやすいうえ、衣服の着脱や浴槽の出入りで姿勢が大きく変化するため、転倒や溺水の危険が高い場所です。深い浴槽は跨ぐ動作で一時的に片脚立位となり、筋力低下のある高齢者ではバランスを崩しやすく、家屋環境のなかで転倒リスクがもっとも高い場所のひとつとされます。さらに冬場は脱衣所と浴室・湯船の温度差で血圧が急変動するヒートショックが加わり、浴室内死亡事故の大きな要因となります。

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)

在宅療養者の生活能力を評価する尺度に、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)があります。J(生活自立)、A(準寝たきり・屋内生活はおおむね自立だが外出には介助)、B(寝たきり・屋内生活に介助を要するが座位は保てる)、C(寝たきりで全介助)の4区分に分けられ、BとCはさらに1と2に細分されます。B-1は座位保持が可能で車椅子へ自力で移乗でき、食事や排泄をベッドから離れて行える状態を指します。B-2は車椅子移乗に介助を要する状態、C-1は自力で寝返り可能、C-2は寝返りも全介助です。退院支援ではこの判定を踏まえ、残存能力を活かしつつ生活動線上の課題に応じた福祉用具を選定することが基本となります。

歩行補助具の選び方

歩行補助具は身体機能と生活環境に合わせて使い分けます。T字杖は片手で握る軽度のバランス補助具で、軽度の歩行不安に用います。多点杖は脚が複数あり立位安定性が不十分な人に向きます。松葉杖は患側に体重をかけられない免荷が必要な場合に使います。歩行器は両手で支える必要があり、屋内での近距離歩行に適します。歩行車(車輪付き歩行器)は屋外で両手を使ってバランスを取りながら歩きたい人に向き、シルバーカーよりも支持性が高い点が特徴です。椅子付きタイプは疲労時に座って休めるため、長距離の散歩にも適しています。要支援・要介護の認定を受けていれば介護保険の福祉用具貸与でレンタルが可能です。

介護保険による住宅改修

要支援1から要介護5までの認定を受けた在宅利用者は、介護保険の住宅改修費を利用できます。支給限度基準額は生涯20万円まで、自己負担は1〜3割です。要介護度が3段階以上重くなった場合や転居時はリセットされます。改修着工前の事前申請が必須で、着工後の申請は認められません。 対象となる工事は次の6項目に限定されます。手すりの取り付け、段差の解消、滑り防止や車椅子対応のための床材の変更、開き戸から引き戸等への扉の取り替え、和式から洋式便器等への取り替え、これらに付帯する工事の6つです。車椅子利用者では段差解消と引き戸化が移動の自立と安全性を大きく高めます。廊下幅は車椅子の旋回を考慮して幅員を確保し、玄関アプローチのスロープ勾配は1/12以下が推奨されます。また、福祉用具貸与(車椅子・特殊寝台・床ずれ防止用具・歩行器・手すりなど13種目)や特定福祉用具販売(入浴・排泄関連の5種目)と組み合わせて環境整備を進めます。

まとめ

在宅転倒予防では、家庭内事故の高リスク場所である浴室・階段・居室の環境を整えることが基本です。障害高齢者の日常生活自立度を評価し、残存能力に合わせて手すり・スロープ・歩行車・シャワーチェアなどの福祉用具を選定します。介護保険の住宅改修費は20万円を限度に、手すり設置・段差解消・床材変更・引き戸化・洋式便器化・付帯工事の6項目が対象で、必ず事前申請が必要であることを押さえておきましょう。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    筋力低下のある在宅高齢者の家屋環境のうち、跨ぐ動作で片脚立位となり、濡れて滑りやすく転倒・溺水のリスクが最も高い場所はである。

  2. 2.

    冬場に脱衣所と浴室・湯船の温度差で血圧が急変動し、浴室内事故の原因となる現象をという。

  3. 3.

    障害高齢者の日常生活自立度で、屋内生活に介助を要するが座位は保て、車椅子に自力で移乗できる状態をという。

  4. 4.

    室内では家具につかまって歩けるが、屋外散歩で両手支持と休憩機能が必要な高齢者に最も適した歩行補助具はである。

  5. 5.

    介護保険の住宅改修費の支給限度基準額は、生涯までである。

  6. 6.

    介護保険の住宅改修の対象6項目のうち、開き戸から変更する扉の取り替えで代表的なものはへの取り替えである。

  7. 7.

    介護保険の住宅改修では、和式便器から等への取り替えが対象となる。

  8. 8.

    介護保険の住宅改修費は工事のが必須であり、着工後の申請は認められない。

在宅転倒予防と住環境整備」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。