診療情報と個人情報保護
看護の統合と実践 / 医療安全と職業安全
解説
今回は診療情報と個人情報保護について解説します。診療情報は患者の病歴・検査結果・治療経過などを記した極めて秘匿性の高い個人情報であり、医療従事者には守秘義務があります。一方で、医療の質向上や公衆衛生の確保のため、適切な情報共有や行政への届出も求められます。看護師は患者の権利を守りつつ、法令に基づいた情報の取り扱いを理解する必要があります。
個人情報保護法と第三者提供
個人情報保護法では、本人の同意なく個人情報を第三者に提供することは原則禁止されています。しかし例外として、本人同意が不要となる4類型が定められています。すなわち、(1)法令に基づく場合、(2)人の生命・身体・財産の保護に必要で本人同意の取得が困難な場合、(3)公衆衛生の向上や児童の健全育成に特に必要で本人同意が困難な場合、(4)国や地方公共団体の事務遂行への協力が必要な場合の4つです。これらに該当する場合は、本人の同意を得ずに情報提供が認められます。
感染症法に基づく届出
感染症法第12条では、医師が一類から五類感染症の一部、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症の患者を診断した場合、最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出る義務があります。一類から四類および新型インフルエンザ等感染症は直ちに全数届出が必要で、五類の一部は7日以内に届け出ます。届出項目には氏名、年齢、性別、症状、診断年月日などが含まれ、本人の同意は不要です。二類感染症には結核、ジフテリア、SARS、MERS、鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)、急性灰白髄炎(ポリオ)などがあります。また児童虐待防止法や食品衛生法に基づく通告・届出も、本人同意なく行うことができます。
セカンドオピニオン
セカンドオピニオンとは、現在の主治医以外の専門医に診断や治療方針について意見を求める制度で、患者の自己決定を支援するものです。厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」に明記されており、医師は患者の求めに応じて診療情報提供書(紹介状)や必要な検査資料を提供する責務があります。治療方針の相談が目的であり、転院を前提とするものではありません。
電子カルテと診療録の保存
電子カルテはネットワークを介して多職種が同時に情報を閲覧・記録できるため、チーム医療の推進に寄与します。電子カルテには真正性・見読性・保存性の3原則が求められ、改ざん防止や長期にわたる閲覧可能性が確保されなければなりません。導入により業務効率化や情報共有、データの二次利用が進む一方、初期費用、停電時のダウン、サイバー攻撃などの課題もあります。診療録の法定保存期間は完結の日から5年ですが、医療安全や医学研究の観点から長期保存する施設が多くあります。
まとめ
診療情報は厳格に保護される個人情報であり、第三者提供には原則として本人同意が必要です。ただし感染症法による届出など法令に基づく場合は同意なく情報提供が認められます。セカンドオピニオンでは情報提供書の交付が、電子カルテでは真正性・見読性・保存性の確保が求められます。これらの基本ルールを正しく理解し、患者の権利と公益のバランスを意識した看護実践につなげましょう。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
個人情報保護法において、本人の同意なく第三者へ個人情報を提供できる例外の一つに、「に基づく場合」がある。
- 2.
感染症法第12条では、医師は患者を診断した場合、最寄りのを経由して都道府県知事に届け出る義務がある。
- 3.
一類から四類感染症および新型インフルエンザ等感染症は、診断後全数届出が必要である。
- 4.
結核、ジフテリア、SARS、MERS、鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)、急性灰白髄炎は、感染症法上感染症に分類される。
- 5.
現在の主治医以外の専門医に診断や治療方針の意見を求める制度をという。
- 6.
セカンドオピニオンの際、医師は患者に対し(紹介状)と必要な検査資料を提供する責務がある。
- 7.
電子カルテに求められる3原則は、真正性・・保存性である。
- 8.
電子カルテにより多職種が同時に情報を閲覧・記録できるため、の推進に寄与する。
- 9.
診療録の法定保存期間は、完結の日から年である。
- 10.
児童虐待防止法に基づく通告は、本人の同意がである。
