看護の優先順位と多重課題
看護の統合と実践 / 看護管理・組織・チーム医療
解説
今回は看護の優先順位と多重課題について解説します。臨床現場では複数の業務や患者の要望が同時に発生するため、何を先に行うべきかを瞬時に判断する力が求められます。国家試験でも頻出のテーマであり、判断の根拠を整理しておくことが大切です。
優先順位の基本原則
優先順位は緊急度と重要度の2軸で仕分けます。最優先となるのは『生命に直結し、かつ今すぐ介入が必要な業務』です。判断の最上位にはABC評価(Airway気道・Breathing呼吸・Circulation循環)を置き、次いで安全の確保、苦痛の緩和、基本的ニーズの順に対応します。マズローの基本的欲求階層と組み合わせ、『緊急かつ重要』→『重要だが緊急でない』→『緊急だが重要でない』→『どちらでもない』の順序で処理することが原則です。
生命維持装置関連が最優先
人工呼吸器装着患者では、自発呼吸が不十分・消失していたり、回路の外れ、加湿不全、設定ずれ、気管チューブ閉塞などが起きると、数分で致命的低酸素に至ります。したがってアラームは生命維持装置の異常を示す最優先事象です。引き継ぎを終えたらまずベッドサイドへ向かい、換気状態、SpO2、設定値、回路接続、分泌物の有無を順に確認します。視診・聴診と機器表示を突き合わせ、原因の早期発見につなげましょう。
抗がん薬の血管外漏出が最優先となる場面
化学療法薬(抗がん薬)の点滴投与中に刺入部の腫脹や疼痛、発赤、滴下不良などを認めた場合は、血管外漏出が疑われます。抗がん薬は壊死起因性薬剤を含み、漏出すると周囲組織に強い障害を及ぼし、壊死や潰瘍に進展する危険があります。したがって他の依頼や処置よりも優先し、ただちに投与を中止して、ルートはすぐに抜かず残液・薬液の吸引を試みた上で医師へ連絡し、冷罨法や温罨法、ステロイドの局所注射など薬剤特性に応じた対処を行います。発見が遅れるほど組織障害が拡大するため、刺入部の観察と早期対応が最重要です。
多重課題場面の判断
複数の課題が重なる場面では『緊急性・重症度・侵襲性』の3つの視点で優先度を判断します。自分一人で抱え込まず、応援要請や他職種連携を積極的に行いましょう。ナースコール、PHS、声による応援要請など、その場で使える手段を最大限活用することが大切です。
具体例での判断
抗菌薬準備中に「寝衣交換依頼」「飲水希望」「人工呼吸器アラーム」が同時発生した場合、人工呼吸器が最優先です。緊急カテーテル検査が必要な患者と、片麻痺で転倒リスクが高い患者のトイレ依頼が同時にあるときは、その場を離れずに別の看護師を呼びトイレ介助を依頼し、転倒事故を未然に防ぎます。また、抗がん薬を投与中の患者で刺入部の腫脹に気づいた場合は、他の業務に優先して投与を中止し、組織障害の進行を防ぐ対応を行います。
業務の中断・委譲
点滴準備を中断する際は、他者が再開できるよう薬剤を識別できる形で残しておきます。待たせる他患者には待機時間を伝え誠実に対応することで信頼関係を保ちます。身体拘束や薬剤投与は最後の選択肢として検討し、安易に用いてはなりません。
新人看護師の業務優先順位決定
新人は引き継ぎ後に業務を書き出し、緊急度・重要度で並べ替えると整理しやすくなります。時間調整と他職種協力を組み合わせ、無理のないスケジュールを組み立てましょう。
チーム医療
リーダーへの報告、医師との連携、多職種協働は不可欠です。自分で抱え込まず応援を求める姿勢こそが、患者の安全を守る最も確実な方法です。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
優先順位は緊急度との2軸で仕分け、最優先は生命に直結し今すぐ介入が必要な業務である。
- 2.
優先度判断の最上位は評価で、気道・呼吸・循環の順に確認する。
- 3.
人工呼吸器のアラームは生命維持装置の異常を示す事象であり、引き継ぎ後はまずベッドサイドへ向かう。
- 4.
多重課題場面では緊急性・重症度・で優先度を判断する。
- 5.
抗菌薬準備中に寝衣交換依頼、飲水希望、人工呼吸器アラームが同時発生した場合、最優先はである。
- 6.
片麻痺で転倒リスクが高い患者からトイレ依頼を受けた際は、その場を離れず別の看護師を呼びを要請する。
- 7.
点滴準備を中断する際は、他者が再開できるようを識別できる形で残しておく。
- 8.
身体拘束や薬剤投与はの選択肢として検討する。
- 9.
新人看護師は引き継ぎ後に業務を書き出し、と重要度で並べ替えて整理する。
- 10.
優先順位判断ではマズローの階層と組み合わせて考える。
- 11.
化学療法薬(抗がん薬)の点滴投与中に刺入部の腫脹を認めた場合はが疑われ、組織障害(壊死・潰瘍)を防ぐため最優先で対応する。
- 12.
抗がん薬の血管外漏出を発見した際は、ただちに投与をし、医師へ連絡して薬剤特性に応じた対処を行う。
