StudyNurse

炎症マーカーと創傷治癒

疾病の成り立ちと回復の促進 / 病因・病態

解説

今回は炎症マーカーと創傷治癒について解説します。創傷とは、外力や疾患によって皮膚や軟部組織の連続性が失われた状態をいい、その修復過程と全身の炎症反応を評価する指標を理解することは、術後管理や褥瘡ケアの基本となります。

創傷治癒の4段階

創傷治癒は連続した4つの相を経て進行します。第一に出血凝固期で、受傷直後に血小板と凝固因子が働き止血が成立します。続く炎症期は受傷から3〜5日持続し、好中球とマクロファージが創部に遊走して細菌や壊死組織を貪食し、創を清浄化する段階です。次の増殖期では線維芽細胞が活性化してコラーゲンを産生し、毛細血管が新生して肉芽組織が形成され、創収縮と上皮化が進みます。最後の**成熟期(再構築期)**では数か月から1年以上かけてコラーゲンが再配列され、瘢痕の強度が高まります。

炎症期の特徴

炎症期には毛細血管の透過性が亢進し、蛋白質・白血球・免疫物質を含む血漿成分が血管外へ漏出して、創内に滲出液が貯留します。滲出液には成長因子や免疫細胞が豊富で、創傷治癒を促進する重要な役割を担うため、近年は適度な湿潤環境を保持する湿潤療法が主流となっています。受傷後数時間で好中球が集まり、続いて単球がマクロファージへ分化して創部に浸潤し、貪食作用に加えてサイトカインや成長因子を放出することで増殖期への移行を司令する役割を果たします。炎症の局所徴候として発赤・腫脹・熱感・疼痛・機能障害の五徴がみられます。慢性創傷では炎症期が遷延して増殖期へ移行できず、治癒が遅延します。治癒促進にはタンパク質・亜鉛・ビタミンCなどの栄養、十分な酸素供給、感染制御、湿潤環境の維持が不可欠です。

主な炎症マーカー

代表的な炎症マーカーが**C反応性蛋白質(CRP)**です。肝臓でIL-6の刺激に応じて産生される急性期蛋白で、感染・外傷・手術・膠原病・悪性腫瘍などで組織傷害や炎症が生じると血中濃度が上昇します。半減期は約19時間と短く、炎症開始後6〜12時間で上昇し24〜48時間でピークに達するため、急性炎症の経時的モニタリングに広く用いられます。基準値は0.3mg/dL以下で、細菌感染では10mg/dLを超えることもあります。

CRP以外のマーカー

**赤血球沈降速度(ESR)**はフィブリノゲンや免疫グロブリンの増加を反映しますが、反応が遅く正常化にも時間を要します。白血球数、フェリチン、SAA(血清アミロイドA)も炎症で上昇します。プロカルシトニンは細菌感染に特異性が高く、ウイルス感染ではほとんど上昇しないため、抗菌薬投与の判断や敗血症診断の補助に用いられます。CRPは簡便で鋭敏な反面、特異性は高くないため、発熱・白血球数・培養結果などと総合的に判断する必要があります。

まとめ

創傷治癒は出血凝固期・炎症期・増殖期・成熟期の4段階で進み、炎症期には滲出液貯留とマクロファージの貪食が中心的に起こります。全身の炎症評価ではCRPが最も汎用され、半減期の短さから経時的モニタリングに適していますが、ESRやプロカルシトニンと組み合わせて判断することが臨床的に重要です。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    創傷治癒の第2段階で、好中球やマクロファージが細菌や壊死組織を貪食する時期をという。

  2. 2.

    炎症期に毛細血管透過性が亢進し、創内に貯留する血漿成分由来の液体をという。

  3. 3.

    創部の滲出液を適度に保持して治癒を促進する治療法をという。

  4. 4.

    炎症期に細菌や壊死組織を貪食し、サイトカインを放出して増殖期へつなぐ細胞はである。

  5. 5.

    炎症の五徴は発赤・腫脹・熱感・疼痛とである。

  6. 6.

    肝臓でIL-6の刺激により産生される代表的な急性期蛋白(炎症マーカー)はである。

  7. 7.

    CRPの半減期は約時間で、炎症開始後6〜12時間で上昇する。

  8. 8.

    フィブリノゲンや免疫グロブリンの増加を反映し、反応が遅い炎症マーカーはである。

  9. 9.

    細菌感染に特異性が高く、敗血症診断や抗菌薬投与判断の補助に用いられる炎症マーカーはである。

  10. 10.

    増殖期に活性化し、コラーゲンを産生して肉芽組織を形成する細胞はである。

炎症マーカーと創傷治癒」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。