レビー小体型認知症の入院時看護
老年看護学 / 認知症ケア
解説
今回はレビー小体型認知症の特徴と入院時看護について解説します。レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症に次いで多い変性性認知症で、大脳皮質や脳幹にレビー小体(αシヌクレインを主成分とする異常封入体)が蓄積することで発症します。記憶障害よりも幻視や運動症状が前景に立つことが多く、入院という環境変化により症状が一気に悪化しやすいため、看護師は疾患の特徴を踏まえた援助を行う必要があります。
レビー小体型認知症の三大症状
レビー小体型認知症の中核症状は三つあります。一つ目は認知機能の変動で、しっかり会話できる時間帯と、ぼんやりして話が通じない時間帯が日内・日差で大きく変動します。二つ目は繰り返す具体的な幻視で、子ども・動物・虫・小人など、ありありとした映像として見えるのが特徴です。本人にとっては実在するように見えており、強い恐怖や混乱を伴うこともあります。三つ目はパーキンソニズムで、筋強剛、小刻み歩行、すり足歩行、姿勢反射障害、無動、仮面様顔貌などが現れ、転倒・骨折のリスクが非常に高くなります。
その他の特徴的な症状
中核症状に加え、レム睡眠行動異常症として夢に合わせて大声を出したり手足を激しく動かす症状がみられます。自律神経症状として起立性低血圧、便秘、失神、発汗異常も高頻度で生じます。さらに抗精神病薬への過敏性があり、幻視を抑えるために定型抗精神病薬を投与すると、強い錐体外路症状や意識障害、悪性症候群を起こしやすいため慎重投与が原則です。
幻視への対応の基本
幻視への対応の原則は、否定しない・安心させる・環境を整える、の三つです。「そんなものは見えませんよ」と否定すると本人は理解されない不安からかえって混乱します。「一緒に見に行きましょう」「もう大丈夫ですよ」と受容的に関わるバリデーションの姿勢が基本となります。例えば輸液ラインを虫と訴えて大声を出す場合は、輸液ラインを衣類やタオルで覆って視界から外すなどの環境調整を優先し、治療を中止したり幻視そのものを否定したりはしません。照明を明るくして影をつくらない、模様の多いカーテンや布団カバーを避ける、ベッド周囲の物を最小限にすることで、幻視の誘因を減らすことができます。
転倒予防と入院時の環境調整
パーキンソニズムに伴うすり足歩行・小刻み歩行・姿勢反射障害は転倒の最大要因です。ベッドは低床にし、ベッド柵やナースコールの位置を本人が認識できるよう配置します。起立性低血圧があるため、離床時はベッド上座位を経てゆっくり立ち上がるよう介助します。認知機能の変動から、調子の良い時間帯にリハビリや清潔ケアを集中させると効果的です。
退院に向けた家族指導
退院前日は環境が再び変化するため不安が強まり、症状が一時的に悪化することがあります。家族には、幻視を否定せず受け止める姿勢、転倒予防のための住環境整備、抗精神病薬の安易な使用を避けること、そして自律神経症状への対応を具体的に説明し、在宅でも安心して生活できるよう支援することが重要です。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
レビー小体型認知症で大脳皮質や脳幹に蓄積する異常封入体をという。
- 2.
レビー小体型認知症の中核症状は、認知機能の変動、パーキンソニズム、そして繰り返す具体的なである。
- 3.
レビー小体型認知症の幻視として子どもや動物、などが具体的に見えることが多い。
- 4.
レビー小体型認知症では夢に合わせて大声を出したり体を動かすがみられる。
- 5.
レビー小体型認知症では起立性低血圧や便秘などの症状を高頻度に伴う。
- 6.
レビー小体型認知症はに対する過敏性があり錐体外路症状を起こしやすいため慎重投与が必要である。
- 7.
輸液ラインを虫と訴えて大声を出す患者には、ラインを衣類やタオルで覆い視界から外すなどのを行う。
- 8.
幻視を訴える患者に対しては否定せず受け入れて関わるの姿勢が基本となる。
- 9.
レビー小体型認知症のパーキンソニズムでは小刻み歩行や歩行がみられ、転倒・骨折のリスクが高い。
