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すくみ足が出てきたDLBのAさん 看護師は何につなぐ?

看護師国家試験 第115午前102(状況設定問題)

国試問題にチャレンジ

115午前102

状況設定

Aさん(75歳、男性)は妻(70歳)と2人で暮らしている。日中は本を読んで過ごすことが多い。2か月前からAさんは、椅子から立ち上がる時にバランスを崩すことや「寝室に女の子がいる」と言うことがあった。また、就寝後、夜間に大きな声で「おーい」と叫んで手を振る行動が継続してみられるようになった。心配になった妻がAさんと病院を受診し、初期のLewy〈レビー〉小体型認知症と診断された。Aさんは要介護認定の申請をし、要支援1と認定された。

診断から4か月後、病院受診時にAさんは、外来看護師に「最近、歩こうとすると足が前に出ないことがありますが、地域の行事に参加して、いろいろな人と交流しながら、妻との生活を続けたいです。今できていることを維持するために、運動が効果的と聞きました。何か方法はありますか」と話した。 外来看護師の助言として最も適切なのはどれか。

  1. 1.「毎日、散歩に行きましょう」
  2. 2.「家の中で運動できるサービスがありますよ」
  3. 3.「次回の受診時に医師に相談してみましょう」
  4. 4.「介護予防通所リハビリテーションが利用できますよ」

対話形式の解説

博士博士
今日はレビー小体型認知症のAさん、診断から4か月後の外来場面じゃ。歩こうとすると足が前に出ない、と訴えておられる。学生くん、これは何という症状か分かるかね?
サクラサクラ
はい、パーキンソニズムの一つで「すくみ足(freezing of gait)」だと思います。DLBではパーキンソン症状が中核症状の一つでしたよね。
博士博士
その通り。DLBの中核症状は、認知機能の変動、繰り返す具体的な幻視、パーキンソニズム、そしてレム睡眠行動障害の4つ。Aさんは「寝室に女の子がいる」という幻視、「おーい」と叫ぶ夜間行動=RBD、立ち上がり時のバランス崩しと今回のすくみ足、と典型的に揃っておるな。
サクラサクラ
なるほど、本当に教科書通りの症状ですね。それでAさんは「運動して今できていることを維持したい」「地域の行事で交流したい」と希望されているんですね。
博士博士
そう、ここがポイントじゃ。Aさんは要支援1の認定を受けておる。看護師としては、本人の希望と要介護度に合った社会資源を具体的に提案する役割がある。選択肢を一つずつ見ていこう。まず1の「毎日散歩」はどう思う?
サクラサクラ
運動としては良さそうですが…すくみ足があるので転倒リスクが心配です。それに、ただ散歩するだけでは「交流したい」という希望には応えられません。
博士博士
鋭いな。DLBはアルツハイマー型に比べて転倒・骨折のリスクが特に高い。専門職の見守りや評価のある環境のほうが安全じゃ。では2の「家の中で運動できるサービス」はどうじゃ?
サクラサクラ
サービス名が曖昧で具体性に欠けますし、「家の中で」だと地域交流の希望と矛盾してしまいますね。
博士博士
うむ。3の「次回受診時に医師に相談」は?
サクラサクラ
すくみ足は医師にも報告すべき症状ですが、運動方法の相談に対して「医師に聞いて」と返すのは、看護師として社会資源の情報提供という役割を果たしていないと思います。
博士博士
その通り。よって正解は4の「介護予防通所リハビリテーション」じゃ。要支援1・2の方が利用できる予防給付サービスで、医師の指示のもと理学療法士・作業療法士・看護師が運動器機能向上のプログラムを提供する。さらに他の利用者との交流の場にもなる。Aさんの2つの希望、「身体機能維持」と「人との交流」の両方に応えられる最適解じゃ。
サクラサクラ
通所リハと通所介護の違いも気になります。
博士博士
良い質問じゃ。通所リハ(デイケア)は医療機関や老健で医師の指示下にリハビリ中心、通所介護(デイサービス)は生活機能維持と社会交流中心、と覚えるとよい。本問はリハ目的が明確なので通所リハが正解になる。
サクラサクラ
すくみ足には何か工夫もあるんですか?
博士博士
視覚的キュー(床のテープや目標物)や聴覚的キュー(メトロノームや号令)でリズムを与えると一歩が出やすくなる。リハ専門職が個別に評価・指導してくれるのも通所リハの強みじゃな。
サクラサクラ
本人の希望、要介護度、症状、それぞれを総合してサービスを選ぶ視点がよく分かりました。看護師は「つなぐ役割」が大切なんですね。

POINT

要支援1で運動機能維持と社会交流のニーズがあるDLB患者には、専門職の関与と他者交流が得られる介護予防通所リハビリテーションをつなぐことが、看護師の助言として最も適切である。

解答・解説

正解は4です

問題文:診断から4か月後、病院受診時にAさんは、外来看護師に「最近、歩こうとすると足が前に出ないことがありますが、地域の行事に参加して、いろいろな人と交流しながら、妻との生活を続けたいです。今できていることを維持するために、運動が効果的と聞きました。何か方法はありますか」と話した。 外来看護師の助言として最も適切なのはどれか。

解説:正解は4「介護予防通所リハビリテーションが利用できますよ」です。 Aさんはレビー小体型認知症(DLB)の初期で、要支援1の認定を受けている75歳男性です。診断から4か月が経過し、歩行開始時に足が前に出にくい「すくみ足(freezing of gait)」と思われるパーキンソニズム症状が出現しています。一方で、本人は「地域の行事に参加して、いろいろな人と交流しながら、妻との生活を続けたい」「今できていることを維持するために運動が効果的と聞いた」と、明確な生活目標と運動意欲を語っています。 看護師の助言として求められるのは、(1) 本人の希望(地域交流・在宅生活の継続)に沿うこと、(2) DLBに伴う転倒リスクや認知機能低下を踏まえ専門職の評価・見守りのある運動環境を選ぶこと、(3) 要支援1で実際に利用できる介護保険サービスを具体的に提案すること、の3点です。 介護予防通所リハビリテーション(介護予防デイケア)は要支援1・2の認定者が利用できる予防給付サービスで、医師の指示のもと、理学療法士・作業療法士・看護師等が個別の運動器機能向上・口腔機能向上・認知機能維持のプログラムを提供します。さらに他の利用者との交流の場にもなり、Aさんの「交流したい」というニーズと「身体機能を維持したい」というニーズの両方に応えられます。したがって4が最も適切です。

選択肢考察

  1. ×1.  「毎日、散歩に行きましょう」

    運動習慣としての散歩自体は推奨されますが、Aさんはすでに「歩こうとすると足が前に出ない」というすくみ足を自覚しており、レビー小体型認知症ではパーキンソニズムによる転倒リスクが高い状態です。一律に毎日の散歩を勧めるのは安全管理が不十分で、また「いろいろな人と交流したい」という本人の希望にも十分応えられません。専門職による評価・見守りのある運動環境を整えるほうが優先されます。

  2. ×2.  「家の中で運動できるサービスがありますよ」

    サービス名を明示せず曖昧で、看護師の助言としては具体性に欠けます。また「家の中で」と限定する点が、Aさんの「地域の行事に参加していろいろな人と交流したい」という社会参加の希望に反します。在宅生活の継続支援は重要ですが、外出による交流機会を奪わない選択肢を提示すべきです。

  3. ×3.  「次回の受診時に医師に相談してみましょう」

    すくみ足の出現は医師への報告が必要な情報ですが、それは別途行えばよく、運動方法の相談に対して「医師に聞いてください」と返すのは看護師の役割放棄になります。看護師は社会資源・介護保険サービスに関する具体的な情報提供を行い、必要に応じて多職種に橋渡しする立場にあります。

  4. 4.  「介護予防通所リハビリテーションが利用できますよ」

    要支援1の認定を受けたAさんが利用できる介護予防サービスで、理学療法士・作業療法士等によるリハビリと他者交流の両方が得られます。すくみ足など運動機能低下の評価・改善、転倒予防、認知機能維持に加え、「地域行事に参加して交流したい」「今できていることを維持したい」という本人の希望と完全に合致するため、最も適切な助言です。

【レビー小体型認知症(DLB)の中核症状】(1) 認知機能の変動、(2) 繰り返し出現する具体的な幻視、(3) パーキンソニズム(無動・筋強剛・振戦・姿勢反射障害・すくみ足)、(4) レム睡眠行動障害(RBD:夜間に大声で叫ぶ・手足を動かす)。Aさんは(2)〜(4)が揃っており典型例。 【すくみ足への対応】視覚的キュー(床のテープ、足元の目標)、聴覚的キュー(メトロノーム、号令)、リズム運動などが有効。リハ専門職による個別評価が望ましい。 【介護保険の予防給付】要支援1・2が対象。介護予防通所リハ(デイケア)、介護予防通所介護(デイサービス)、介護予防訪問看護、介護予防福祉用具貸与など。市町村の地域支援事業による「介護予防・日常生活支援総合事業」もある。 【通所リハと通所介護の違い】通所リハは医療機関・老健等で医師の指示下に行うリハビリ中心、通所介護は生活機能維持・社会交流中心。本問はリハビリ目的が明確なので通所リハが妥当。

要支援1で運動機能維持と社会交流のニーズがあるDLB患者には、専門職の関与と他者交流が得られる介護予防通所リハビリテーションをつなぐことが、看護師の助言として最も適切である。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。