くも膜下出血と動脈瘤
成人看護学 / 脳・神経
解説
くも膜下出血とは、くも膜と軟膜の間にあるくも膜下腔へ出血が及ぶ病態であり、非外傷性のものでは脳動脈瘤の破裂が原因の約**80〜85%**を占めます。動脈瘤は脳底部のウィリス動脈輪の分岐部に好発し、前交通動脈、内頸動脈-後交通動脈分岐部、中大脳動脈分岐部が代表的な部位です。今回はくも膜下出血と動脈瘤について解説します。
症状と意識評価
発症の特徴は突発完成する激しい頭痛で、患者はしばしば『ハンマーで殴られたような頭痛』と表現します。悪心嘔吐、項部硬直、意識障害、発汗を伴うことが多く、髄膜刺激症状が認められます。
JCS(ジャパン・コーマ・スケール)
JCSはⅠ桁(覚醒)、Ⅱ桁(刺激で覚醒)、Ⅲ桁(刺激でも覚醒しない)の3群に分かれ、それぞれ3段階で評価します。Ⅱ-10は呼びかけにより容易に開眼する状態、Ⅱ-20は大声や身体を揺さぶることで開眼、Ⅱ-30は痛み刺激と呼びかけでようやく開眼する状態です。
GCS(Glasgow Coma Scale)
GCSはE(開眼)、V(最良言語反応)、**M(最良運動反応)**の3要素から構成され、合計15点満点で評価します。
重症度評価と急性期治療
重症度はHunt and Hess分類やWFNS分類で評価します。原則として発症72時間以内の早期に根治術を行い、術式には開頭クリッピング術と血管内治療であるコイル塞栓術があります。再出血予防のため、鎮静・鎮痛を確保し、収縮期血圧140〜160mmHg以下に管理、安静の保持や排便コントロール、刺激を避ける環境調整が重要です。
三大合併症
再出血
発症24時間以内に最も多く、致死率が高い合併症です。再出血率は20〜30%とされ、厳重な血圧管理が必須です。
脳血管攣縮
発症4〜14日に出現し、遅発性脳虚血の原因となります。バレー徴候の出現や意識レベルの低下で疑います。破裂動脈瘤周囲のくも膜下腔に貯留した血液分解産物が血管壁を刺激することで生じ、経頭蓋ドップラーや脳血管造影で評価します。予防・治療にはfasudilやニカルジピンの投与、従来は3H療法(hypervolemia, hypertension, hemodilution)が行われていましたが、近年は正常血液量維持+血圧維持療法が主流です。
正常圧水頭症(NPH)
亜急性〜慢性期、数週〜数か月後に出現する合併症で、三徴は①歩行障害(小刻み・すり足・開脚)、②認知機能障害、③尿失禁です。診断はMRIで脳室拡大とDESH所見を確認し、髄液排除試験(タップテスト)で症状改善を確認します。治療はVPシャントやLPシャントなどのシャント術を行います。書字保持が小字症となるパーキンソン病との鑑別がポイントです。
看護のポイント
急性期は意識・瞳孔・対光反射・運動麻痺を経時的に観察し、瞳孔不同や対光反射消失は脳ヘルニア徴候として緊急対応が必要です。血圧上昇+徐脈のクッシング現象にも注意します。排便・咳嗽・いきみを避ける指導と安静度の遵守を徹底し、術後早期の頭痛は創部痛や髄膜刺激症状の可能性を考え、十分な鎮痛で血圧上昇による再出血を予防します。
脳槽ドレーンの排液は淡血性→淡黄色→無色透明と推移するのが正常で、急な濃赤色化は再出血、混濁は感染を疑います。退院後も家族からの「歩き方が変」「物忘れが目立つ」といった訴えはNPHを疑い、受診を勧めます。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
くも膜下出血の非外傷性の最多原因はであり、全体の約80〜85%を占める。
- 2.
脳動脈瘤の好発部位はウィリス動脈輪の分岐部であり、特に前交通動脈、内頸動脈-後交通動脈分岐部、が代表的である。
- 3.
くも膜下出血の典型的な頭痛は突発完成する激しい頭痛で、で殴られたような頭痛と表現される。
- 4.
JCSのⅡ-は大声や身体を揺さぶると開眼する状態を示す。
- 5.
GCSは開眼、最良言語反応、最良運動反応の3要素で評価され、点満点である。
- 6.
くも膜下出血の三大合併症は、再出血、、正常圧水頭症である。
- 7.
脳血管攣縮は発症日に出現し、遅発性脳虚血の原因となる。
- 8.
正常圧水頭症の三徴は、歩行障害、認知機能障害、である。
- 9.
正常圧水頭症の診断にはMRIで脳室拡大とDESH所見を確認し、髄液排除試験であるで症状改善を確認する。
- 10.
脳槽ドレーンの排液は淡血性→淡黄色→無色透明と推移するのが正常で、急な濃赤色化はを疑う。
