SLEの病態と看護
成人看護学 / 血液・免疫・膠原病
解説
全身性エリテマトーデス〈SLE:systemic lupus erythematosus〉とは、自己の細胞や核成分を異物と認識して抗体が産生され、できた免疫複合体が全身の臓器に沈着して炎症を起こす自己免疫疾患です。今回はSLEの病態と看護について解説します。
SLEの病態と疫学
SLEは20〜40歳代の女性に好発し、男女比はおよそ1対9と圧倒的に女性に多い疾患です。発症には複数のHLAアレルなどの遺伝的素因に加え、紫外線・感染・ホルモン・ストレスといった環境因子が関与すると考えられています。
免疫学的には、自己抗体と抗原が結合した免疫複合体が血管壁や組織に沈着して補体を活性化し、炎症を引き起こすⅢ型アレルギー(免疫複合体型)が中心的な機序です。代表的な自己抗体には、ほぼ全例で陽性となる抗核抗体(ANA)、SLEに特異性の高い抗ds-DNA抗体や抗Sm抗体、血栓症と関連する抗リン脂質抗体などがあります。
主な症状と合併症
全身症状として発熱・倦怠感・関節痛がみられ、皮膚症状では両頬から鼻背にかけて生じる蝶形紅斑、円板状皮疹、口腔潰瘍、脱毛、光線過敏が特徴的です。寒冷刺激で手指が白色から紫色に変化するレイノー現象もしばしば伴います。
臓器障害のうち予後を左右する重要な合併症がループス腎炎で、約半数に出現し、放置するとネフローゼ症候群から腎不全に進行します。血清クレアチニン値の上昇や蛋白尿の出現を見逃さないことが大切です。中枢神経が障害されるCNSループスではけいれん・意識障害・精神症状をきたし、ループス腎炎とともに生命予後を規定します。
血液学的異常としては白血球減少、血小板減少のほか、赤血球膜に対する自己抗体が産生されて起こる自己免疫性溶血性貧血があり、診断には直接Coombs試験陽性が決め手となります。
治療と副作用
治療の中心は副腎皮質ステロイドで、活動期には高用量のプレドニゾロンやステロイドパルス療法を行い、寛解導入後に漸減します。重症例ではシクロホスファミドやミコフェノール酸モフェチル、ヒドロキシクロロキン、ベリムマブなどの免疫抑制薬・生物学的製剤を併用します。
ステロイドの副作用は多彩で、満月様顔貌(ムーンフェイス)・中心性肥満・水牛様肩などの外見変化、易感染性、糖尿病、骨粗鬆症、消化性潰瘍、白内障、不眠や抑うつなどのステロイド精神病、副腎機能抑制が代表的です。自己判断での中断は副腎不全を招くため厳禁で、医師の指示通り漸減することを徹底指導します。満月様顔貌は減量に伴い改善する可逆的変化であることを伝え、ボディイメージの変容に伴う心理的苦悩に寄り添う姿勢が求められます。
看護と生活指導
SLEの増悪因子は紫外線、寒冷、感染、ストレス、手術、妊娠・出産、一部の薬剤です。退院指導では、日焼け止め・長袖・帽子による徹底した紫外線対策、手袋やマフラーで身体を冷やさない保温、手洗いやマスク着用による感染予防、十分な睡眠とストレス管理を伝えます。妊娠は寛解が6か月以上維持されてから計画することが推奨されます。
SLEは慢性疾患であり、現在では早期治療によって5年生存率は95%以上に向上しています。長期ステロイド使用下での日和見感染が主な死因となるため、感染管理と服薬アドヒアランスの維持が看護の要となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
SLEは自己抗体と抗原による免疫複合体が組織に沈着して炎症を起こす型アレルギーが病態の中心である。
- 2.
SLEでほぼ全例陽性となる代表的な自己抗体はである。
- 3.
SLEの皮膚症状で、両頬から鼻背にかけて出現する特徴的な紅斑をという。
- 4.
SLEに合併し、生命予後を左右する代表的な腎病変はである。
- 5.
SLEで赤血球膜に対する自己抗体が産生されて起こる貧血をといい、直接Coombs試験が陽性となる。
- 6.
SLE治療の中心となる薬剤はであり、自己中断は副腎不全を招くため禁忌である。
- 7.
ステロイドの副作用のうち、顔面や頸部に脂肪が再分布して生じる可逆的な外見変化を(ムーンフェイス)という。
- 8.
SLEの最大の増悪因子であり、退院指導で長袖・日焼け止め・帽子による対策が必要な環境因子はである。
- 9.
SLEでは寒冷刺激で末梢血管が収縮し悪化するため、退院後は身体をように指導する。
