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炎症の病態と細胞反応

人体の構造・機能 / 免疫・血液・感染

解説

今回は炎症の病態と細胞反応について解説します。

炎症とは

炎症とは、細菌やウイルスなどの病原体、外傷、熱、化学物質などの有害刺激に対して、それを排除し損傷組織を修復しようとする生体防御反応のことです。経過の長さによって、数時間から数週間続く急性炎症と、数週間から数年にわたって持続する慢性炎症に分けられます。両者で主役となる細胞や組織反応が異なるため、対比して理解することが重要です。

炎症の5徴候

炎症が起こっている部位には、古代ローマのケルススが提唱した4徴候、すなわち発赤・熱感・腫脹・疼痛が現れます。これに後にガレノスが加えた機能障害を合わせて、炎症の5徴候と呼びます。発赤と熱感は血管の拡張による血流増加、腫脹は血管透過性の亢進による浸出液の貯留、疼痛は化学伝達物質や腫脹による神経刺激で生じます。機能障害はその結果として、部位の動きや働きが制限されることをいいます。膿瘍や壊疽、浮腫は炎症に伴う病態ですが、5徴候そのものには含まれない点に注意が必要です。

急性炎症の血管反応と細胞反応

急性炎症は血管の反応から始まります。まず血管拡張により局所の血流が増え、発赤と熱感の原因となります。続いて血管透過性の亢進により血漿成分が血管外へ漏れ出し、浸出液として組織に貯留して腫脹をもたらします。 血流が緩やかになると、白血球が血管壁の内皮側に寄る辺縁化が起こります。白血球はセレクチンやインテグリンを介して血管内皮細胞に接着し、血管壁を通り抜けて組織内へ移動します。この現象を**血管外遊走(ダイアペデーシス)**といいます。組織内では走化性因子に誘導されて炎症の場へ集まり、貪食・殺菌を行います。

急性炎症の中心細胞は好中球

急性炎症、特に細菌感染による化膿性炎症で最初に血管外へ遊走し、炎症の中心となる細胞が好中球です。好中球は白血球の中で最も数が多く、白血球全体の50〜70%を占めます。活性酸素やリソソーム酵素で細菌を殺菌しますが、自身も短時間で死滅し、その死骸と崩壊組織、滲出液が混じったものが膿となります。「化膿性=好中球」は国試頻出のキーワードです。

慢性炎症と肉芽組織

慢性炎症は炎症の原因が取り除かれず長期化した状態で、浸潤する細胞は急性炎症と異なり、リンパ球・形質細胞・マクロファージといった単核球が主役となります。形質細胞はB細胞が抗原刺激を受けて最終分化した抗体産生細胞で、長期的な免疫応答の場でよく観察されます。マクロファージは貪食を行うとともに、サイトカインを放出して周囲の細胞反応を調節します。 慢性炎症では組織の破壊と修復が同時に進行し、毛細血管の新生と線維芽細胞の増殖によって肉芽組織が形成され、やがて線維化(瘢痕化)へと向かいます。結核やサルコイドーシスでは、類上皮細胞とラングハンス巨細胞からなる特徴的な肉芽腫を形成します。

まとめ

炎症は有害刺激に対する生体防御反応で、発赤・熱感・腫脹・疼痛・機能障害の5徴候を示します。急性炎症では血管拡張と血管透過性亢進による浸出が起こり、好中球が中心となって細菌を貪食・殺菌し、化膿性炎症では膿を形成します。慢性炎症ではリンパ球・形質細胞・マクロファージが浸潤し、肉芽組織の形成と線維化が同時に進行します。急性は好中球、慢性は単核球という対比を確実に押さえましょう。

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  1. 1.

    炎症の4徴候は発赤・熱感・疼痛とであり、これに機能障害を加えたものを5徴候という。

  2. 2.

    炎症の5徴候のうち、ガレノスが4徴候に追加したものはである。

  3. 3.

    急性炎症では血管が拡張し、血漿成分が血管外に漏れ出すが起こることで腫脹が生じる。

  4. 4.

    白血球が血管内皮に接着し、血管壁を通り抜けて組織内へ移動する現象をという。

  5. 5.

    急性の化膿性炎症で最初に血管外に遊走し、炎症の中心となる細胞はである。

  6. 6.

    好中球は白血球の中で最も数が多く、白血球全体の約%を占める。

  7. 7.

    慢性炎症で浸潤の中心となる細胞は、リンパ球・マクロファージと、抗体を産生するである。

  8. 8.

    慢性炎症では、毛細血管の新生と線維芽細胞の増殖によってが形成され、やがて線維化へと進行する。

  9. 9.

    結核やサルコイドーシスでみられる、類上皮細胞やラングハンス巨細胞からなる特徴的な慢性炎症の病変をという。

炎症の病態と細胞反応」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。