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放射線治療中の苦痛と恐怖への看護介入

看護師国家試験 第113回 午後 第119問 / 成人看護学 / がん看護

国試問題にチャレンジ

113回 午後 第119問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(72歳、男性)は、妻と2人暮らしで子どもはいない。定年後は2人で旅行するのが趣味であった。Aさんは、1か月前から残尿感や夜間頻尿が気になり病院を受診した結果、前立腺癌(prostate cancer)と診断され根治的前立腺摘出手術を受けた。退院後は、手術後の補助療法として、外来で放射線の外照射療法を行うことになっている。 Aさんの放射線療法が開始され初回の照射を終えた。放射線外来の看護師は、終了後にAさんへ声をかけた。Aさんは「ベッドは硬いし、最後まで同じ姿勢でいることがとても苦痛です。大きな音がするので恐怖も感じます」と訴えた。 このときの看護師の説明で正しいのはどれか。

  1. 1.「次回から照射中は傍に付き添います」
  2. 2.「治療体位をとるための固定具を工夫してみます」
  3. 3.「照射時間を短くできるよう主治医に相談してみます」
  4. 4.「照射中に体位変換ができるよう放射線技師に相談します」

対話形式の解説

博士 博士

前の問題と同じAさんの続きじゃ。初回照射後に『ベッドは硬いし、姿勢が苦痛、大きな音も怖い』と訴えておるぞ。

サクラ サクラ

これはつらそうですね…どんな対応が適切なんでしょう。

博士 博士

放射線治療の大原則を思い出してごらん。ミリ単位の精度で標的に線量を集中させるため、計画通りの体位を毎回再現することが欠かせぬ。

サクラ サクラ

ということは、体位を途中で変えるのはダメですよね。選択肢4は不適切ですね。

博士 博士

その通り。体位がズレると標的を外し、正常組織に誤照射してしまう。治療の根幹が崩れるぞ。

サクラ サクラ

選択肢1の『照射中に付き添います』は優しい対応に思えますが…。

博士 博士

スタッフも被曝してしまうから、照射室には居られぬ。操作室からインターホンとカメラで観察するのが原則じゃ。

サクラ サクラ

では選択肢3の『照射時間を短くする』は?

博士 博士

線量と分割回数は治療効果を保つために計画されておる。苦痛を理由に短縮すると治療効果が下がるから、安易に変更できぬ。

サクラ サクラ

残るは選択肢2の『固定具を工夫する』ですね。

博士 博士

うむ、正解じゃ。熱可塑性シェルやバキュームバッグ、膝下クッションなど、患者に合わせた補助具を使えば位置再現性を守ったまま苦痛を軽くできる。

サクラ サクラ

大きな音についてはどうしますか?

博士 博士

リニアックの駆動音じゃ。事前に音を説明したり、音楽を流したり、ブザーやマイクで意思疎通できることを伝えると恐怖が和らぐぞ。

サクラ サクラ

苦痛を聴いて終わりではなく、具体的に調整する姿勢が大事なんですね。

POINT

本問は放射線外部照射の三原則、すなわち『同一体位の再現性』『スタッフの被曝防止』『計画線量の遵守』を踏まえた実践的看護介入を問うものです。正解は選択肢2で、固定具やクッションを個別に工夫することは治療精度を保ちながら苦痛を軽減できる唯一現実的な方法です。付き添いや時間短縮、体位変換はいずれも治療の根幹や安全を損なう選択肢で不適切です。音や閉塞感への恐怖には事前説明・音楽・コミュニケーション手段の確保で対応し、患者が安心して治療を継続できるよう支援することが看護師の役割となります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(72歳、男性)は、妻と2人暮らしで子どもはいない。定年後は2人で旅行するのが趣味であった。Aさんは、1か月前から残尿感や夜間頻尿が気になり病院を受診した結果、前立腺癌(prostate cancer)と診断され根治的前立腺摘出手術を受けた。退院後は、手術後の補助療法として、外来で放射線の外照射療法を行うことになっている。 Aさんの放射線療法が開始され初回の照射を終えた。放射線外来の看護師は、終了後にAさんへ声をかけた。Aさんは「ベッドは硬いし、最後まで同じ姿勢でいることがとても苦痛です。大きな音がするので恐怖も感じます」と訴えた。 このときの看護師の説明で正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。放射線外部照射では標的臓器にミリ単位の精度で線量を集中させる必要があり、そのために計画時と毎回の照射時で同一の体位を厳密に再現しなければなりません。照射中は被曝防止のためスタッフが同室に付き添うことはできず、また治療時間や体位そのものを治療計画から逸脱させることも基本的にできません。そこで現実的かつ適切な対応が『治療体位をとるための固定具(シェル・バキュームバッグ・クッションなど)の工夫』で、患者個々の体型や苦痛部位に合わせた補助具を用いることで、位置精度を保ちつつ苦痛と不安を軽減できます。

選択肢考察

  1. × 1.  「次回から照射中は傍に付き添います」

    外部照射中はスタッフの被曝を避けるため、照射室に残ることはできません。操作室からのインターホンとカメラで観察・会話するのが通常であり、傍に付き添う提案は実現不可能です。

  2. 2.  「治療体位をとるための固定具を工夫してみます」

    固定具やクッションを患者に合わせて調整することで、位置再現性を損なわずに体圧を分散し、苦痛を軽減できます。治療精度と快適性を両立させる看護師・技師の標準的介入です。

  3. × 3.  「照射時間を短くできるよう主治医に相談してみます」

    照射時間は計画された処方線量とビームモニタ単位で決まっており、苦痛を理由に短縮すると治療効果が低下します。線量・分割回数は安易に変更できるものではありません。

  4. × 4.  「照射中に体位変換ができるよう放射線技師に相談します」

    照射中の体位変動は標的からのズレを生じ、正常組織への誤照射と標的線量不足を招きます。体位変換の許可は治療の根幹を崩す提案であり不適切です。

放射線治療での体位固定具には、熱可塑性シェル(頭頸部・乳房)、バキュームバッグ(体幹・骨盤)、膝下クッション、手すり付きボードなどがあり、毎回同一姿勢を再現できるよう個別作成されます。大きな音はリニアック(直線加速器)のマグネトロン駆動音やMVイメージング音で、事前にオリエンテーションし、音楽を流すなど環境調整が有効です。不安・閉所恐怖が強い場合はプレパレーション、抗不安薬の検討、コミュニケーション手段(ブザー・マイク)の確認も看護師の重要な役割となります。

放射線外部照射の原則(同一体位の再現性・被曝防止・計画線量の遵守)を踏まえて、患者の苦痛に対し現実的に実施可能な看護介入を選ぶ問題です。