StudyNurse

廃用症候群を防ぐための運動の考え方

看護師国家試験 第107回 午後 第42問 / 成人看護学 / 慢性疾患とリハビリテーション看護

国試問題にチャレンジ

107回 午後 第42問

廃用症侯群( disuse syndrome )を予防する方法で正しいのはどれか。

  1. 1.関節固定後の等張性運動
  2. 2.ギプス固定後からの等尺性運動
  3. 3.下腿の中枢から末梢へのマッサージ
  4. 4.足底板の装着による下腿三頭筋の収縮

対話形式の解説

博士 博士

今日はギプス固定中の患者さんにどう動いてもらうかを考えるぞい。

アユム アユム

関節が動かせないときに筋力低下を防ぐ方法ですよね。

博士 博士

そうじゃ。まず等張性運動と等尺性運動の違いから整理しよう。

アユム アユム

等張性は筋肉が伸び縮みして関節が動く運動ですよね。腕立て伏せやスクワットみたいな。

博士 博士

その通りじゃ。一方で等尺性運動は筋の長さを変えず関節も動かさず力を入れる運動じゃな。

アユム アユム

壁を押すとか、空気椅子みたいなイメージでしょうか。

博士 博士

よい例えじゃ。ギプス固定では関節が動かせんから等張性は無理じゃが、ギプス内で筋肉に力を込めることは可能じゃろ。

アユム アユム

確かに、石膏の中でぎゅっと力を入れるのはできます。これで筋萎縮を防げるんですね。

博士 博士

そういうことじゃ。ちなみにマッサージの方向も試験でよう問われるぞい。

アユム アユム

末梢から中枢に向けて、でしたよね。静脈還流を意識して。

博士 博士

正解じゃ。中枢から末梢に撫でても血液は心臓に戻らんからな。

アユム アユム

足底板についても確認したいのですが。

博士 博士

足底板は尖足予防や衝撃吸収が目的で、装着しただけで下腿三頭筋が勝手に収縮するわけではない。能動的な底屈運動が必要じゃ。

アユム アユム

なるほど、装具の目的と運動効果は分けて考えるんですね。

POINT

廃用症候群の予防では、患者の安静度に応じて可能な運動を選択することが重要です。ギプス固定下では等尺性運動が唯一の筋力維持手段となり、固定解除後に等張性運動へ移行します。マッサージは末梢から中枢への一方向が原則で、足底板は尖足予防装具であり能動運動の代替にはなりません。状況に応じた運動処方を理解しておきましょう。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:廃用症侯群( disuse syndrome )を予防する方法で正しいのはどれか。

解説:正解は2です。ギプス固定中のように関節を動かせない状況では、筋の長さを一定に保ったまま力を発揮する等尺性運動が筋力低下を防ぐ最適な手段となります。

選択肢考察

  1. × 1.  関節固定後の等張性運動

    等張性運動は筋の張力を保ちつつ関節を動かす動的運動であり、関節が固定されている状態では物理的に実施できません。

  2. 2.  ギプス固定後からの等尺性運動

    等尺性運動は関節を動かさず筋の長さを変えずに力を発揮する運動で、ギプス固定下でも行えて筋萎縮の進行を抑制できます。

  3. × 3.  下腿の中枢から末梢へのマッサージ

    静脈還流とリンパ還流を促すためには末梢から中枢方向へマッサージするのが原則で、方向が逆です。

  4. × 4.  足底板の装着による下腿三頭筋の収縮

    足底板は尖足予防や荷重補正のために装着するもので、装着するだけでは腓腹筋やヒラメ筋の能動的収縮は起こりません。

廃用症候群は不動状態が続くことで骨格筋だけでなく骨密度、心肺機能、精神機能にも影響が及びます。高齢者では1週間の臥床で10〜15%の筋力低下が生じるとされ、ギプス固定中はアイソメトリックス、離床可能になれば早期座位・立位へと段階的に進めていきます。弾性ストッキングの併用や関節可動域訓練も有効です。

関節を動かせない局面では等尺性運動が第一選択であり、マッサージは末梢から中枢へ行うのが原則であることを押さえておきましょう。