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臨死期の呼吸——チェーン−ストークス呼吸を見分ける

看護師国家試験 第114回 午後 第48問 / 成人看護学 / 終末期看護

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第48問

臨死期にある患者に出現する呼吸の変化で正しいのはどれか。

  1. 1.過呼吸
  2. 2.奇異呼吸
  3. 3.Kussmaul<クスマウル>呼吸
  4. 4.Cheyne−Stokes<チェーン−ストークス>呼吸

対話形式の解説

博士 博士

今日は臨死期の呼吸変化について学ぶぞ。終末期看護では避けて通れぬテーマじゃ。

アユム アユム

人が亡くなる前って呼吸が変わるんですね。

博士 博士

うむ。亡くなる数日前から呼吸様式が変わり、最後は下顎呼吸となって停止する。家族にとっては衝撃的な変化じゃから、看護師の説明と寄り添いが極めて重要なのじゃ。

アユム アユム

選択肢を見ていきましょう。「過呼吸」は?

博士 博士

過呼吸は呼吸数も1回換気量も増えて、過剰換気が続く状態。パニック発作・代謝性アシドーシスの代償・発熱などで起こる。臨死期には起こりにくい。

アユム アユム

「奇異呼吸」は?

博士 博士

奇異呼吸はシーソー呼吸ともいい、吸気で胸が陥没し呼気で膨らむ、正常と逆の動きじゃ。胸部外傷で複数の肋骨が折れたフレイルチェストや、上気道閉塞、横隔膜麻痺で見られる。これも臨死期の典型ではない。

アユム アユム

「Kussmaul呼吸」は?

博士 博士

これは深くて速い規則的な呼吸が続く様式じゃ。糖尿病ケトアシドーシスや尿毒症で、血液の酸を呼吸で吐き出そうとする代償反応として現れる。「アシドーシス=深い大きな呼吸」と覚えておくと良いぞ。

アユム アユム

残るは「Cheyne−Stokes呼吸」ですね。

博士 博士

これが正解。「無呼吸→だんだん深く速くなる→だんだん浅く遅くなる→無呼吸」という周期を30秒から2分くらいで繰り返すのじゃ。

アユム アユム

どうしてそんな呼吸になるんですか?

博士 博士

延髄の呼吸中枢の感受性が低下し、CO2の変動への反応が遅れるためじゃ。心不全(左心不全)や脳血管障害、尿毒症で起こるほか、臨死期にも特徴的に現れる。

アユム アユム

臨死期にはほかに特徴的な呼吸はありますか?

博士 博士

あるぞ。Biot呼吸は不規則な呼吸と無呼吸が交互に来るもので、髄膜炎や脳幹病変で見られる。そして亡くなる直前には下顎呼吸——顎を上下に動かして喘ぐような呼吸——が出現する。

アユム アユム

死前喘鳴も聞いたことがあります。

博士 博士

咽頭や気管に分泌物が溜まり、呼吸でゴロゴロ音がするのが死前喘鳴じゃ。家族は「苦しそう」と心配するが、本人の苦痛のサインではないことが多い。過剰な吸引はかえって苦痛を増すから、体位変換や口腔ケア、抗コリン薬の使用などを検討する。

アユム アユム

家族へのケアも大切ですね。

博士 博士

うむ。臨死期の呼吸変化は「自然な経過」であることを丁寧に説明し、最後の時間を穏やかに過ごせるよう環境を整える。手を握る、声をかける、好きな音楽を流す——どれも大切な看護じゃ。

アユム アユム

終末期の呼吸変化は知識だけでなく、家族支援の視点も求められるんですね。

POINT

臨死期に特徴的な呼吸変化は「Cheyne−Stokes呼吸」で、無呼吸と漸増漸減する呼吸が周期的に繰り返されるのが特徴です。これは延髄呼吸中枢の感受性低下によって生じ、心不全・脳卒中・尿毒症のほか臨死期にも頻出します。過呼吸は不安や代謝性アシドーシスの代償、奇異呼吸はフレイルチェストや上気道閉塞、Kussmaul呼吸は糖尿病性ケトアシドーシスなど、それぞれ異なる病態を反映します。臨死期にはBiot呼吸・下顎呼吸・死前喘鳴も出現し、看護師はこれらを「自然な経過」として家族に説明しつつ、最期の時間を穏やかに過ごせるよう寄り添うことが求められます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:臨死期にある患者に出現する呼吸の変化で正しいのはどれか。

解説:正解は 4 「Cheyne−Stokes<チェーン−ストークス>呼吸」です。Cheyne−Stokes呼吸は、無呼吸→徐々に深く速くなる呼吸→次第に浅く遅くなる呼吸→無呼吸、という周期(30秒〜2分程度)を繰り返す異常呼吸で、延髄の呼吸中枢の感受性低下によって生じます。心不全・脳血管障害・尿毒症などで現れるほか、臨死期(死亡前数日〜数時間)にも特徴的にみられます。

選択肢考察

  1. × 1.  過呼吸

    呼吸数・1回換気量がともに増加し、過剰な換気が続く状態。不安発作・パニック障害・代謝性アシドーシスの代償などで起こる。臨死期には現れにくい。

  2. × 2.  奇異呼吸

    シーソー呼吸とも呼ばれ、吸気時に胸壁が陥没し呼気時に膨らむ、正常と逆の動き。フレイルチェスト(多発肋骨骨折)・上気道閉塞・横隔膜麻痺などで生じる。臨死期に特徴的ではない。

  3. × 3.  Kussmaul<クスマウル>呼吸

    深く大きく規則的な呼吸が続く。糖尿病性ケトアシドーシス・尿毒症など代謝性アシドーシスを呼吸性に代償しようとする結果生じる。臨死期に特徴的な呼吸様式ではない。

  4. 4.  Cheyne−Stokes<チェーン−ストークス>呼吸

    無呼吸と漸増漸減する呼吸が周期的に繰り返される。延髄呼吸中枢の感受性低下が背景で、心不全・脳卒中・尿毒症のほか臨死期に特徴的にみられる。

臨死期に特徴的な呼吸変化はもう一つ重要なものがある——Biot呼吸(不規則な深さと回数の呼吸と無呼吸が交互に出現する)と、下顎呼吸(顎を上下に動かして喘ぐような呼吸で、死の数時間前にみられる)。さらに死前喘鳴(咽頭・気管に貯留した分泌物が呼吸で振動し「ゴロゴロ」と鳴る)もエンドオブライフケアでは頻出。家族には「苦痛のサインではないこと」を説明し、過度な吸引は避ける配慮も大切。チェーン−ストークス呼吸は心不全(特に左心不全)でも頻度が高く、CPAP治療の適応となることがある。

臨死期に出現する特徴的な呼吸様式の知識を問う問題。各異常呼吸(Cheyne−Stokes、Kussmaul、Biot、奇異呼吸)の機序と原因疾患を整理する。