StudyNurse

家族も「第二の患者」—トータルペインで考える4つの苦痛

看護師国家試験 第114回 午前 第50問 / 成人看護学 / 終末期看護

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第50問

がん患者の家族における社会的苦痛はどれか。

  1. 1.「患者にはどのがん治療が適切なのか」
  2. 2.「なぜ自分の家族はがんに罹患したのか」
  3. 3.「患者のがん治療を代わることはできないのか」
  4. 4.「治療の期間が長くなり、出費が続くと自分の生活はどうなるのか」

対話形式の解説

博士 博士

今日はがん患者の家族の苦痛について学ぶぞ。学生君、トータルペインって聞いたことあるかな?

アユム アユム

全人的苦痛、ですよね?身体・精神・社会・スピリチュアルの4つでしたっけ?

博士 博士

その通り。シシリー・ソンダースがホスピスケアの中で提唱した枠組みじゃ。患者だけでなく家族にも同じ4側面から苦痛が及ぶ。

アユム アユム

家族って「第二の患者」と呼ばれるって聞きました。

博士 博士

そうじゃ。患者と同等、時にそれ以上のストレスを抱える。それを4分類でアセスメントするのが看護のスタートになる。

アユム アユム

問題4の「治療が長引いて出費が続く」というのは、どの苦痛になりますか?

博士 博士

これは社会的苦痛じゃ。お金・仕事・役割・人間関係が社会的苦痛のキーワード。

アユム アユム

治療費の負担って具体的にどれくらいかかるんですか?

博士 博士

がん治療は数十万から数百万円単位で続くこともある。さらに患者本人や家族が休職・離職すれば収入も減る。だから家計が一気に逼迫するのじゃ。

アユム アユム

じゃあ問題1の「どの治療が適切なのか」は?

博士 博士

治療選択への迷いや判断責任への不安は精神的苦痛に分類される。最善を選べているかという心理的負担じゃな。

アユム アユム

問題2の「なぜ自分の家族が」は?

博士 博士

これは罹患の意味や運命への問いかけ、つまりスピリチュアルペイン。生きる意味や存在に関わる根源的な問いじゃ。

アユム アユム

問題3の「代わってあげたい」は?

博士 博士

無力感や罪悪感を伴う精神的苦痛、自己の存在意義に関わるスピリチュアルペインの側面も含む。社会的苦痛ではない。

アユム アユム

看護師としては、社会的苦痛にどう関わればいいんですか?

博士 博士

経済問題なら高額療養費制度、傷病手当金、介護休業制度、医療費控除といった制度を紹介する。MSW(医療ソーシャルワーカー)やがん相談支援センターへつなぐのも重要じゃ。

アユム アユム

がん相談支援センターって、誰でも使えるんですか?

博士 博士

全国のがん診療連携拠点病院に設置されており、その病院の患者でなくても無料で相談できる。家族だけでも利用可能じゃ。

アユム アユム

4つの苦痛は独立しているんですか?

博士 博士

いや、互いに絡み合っておる。経済不安が抑うつを呼び、抑うつが「なぜ自分が」というスピリチュアルペインに繋がる。だから統合的に見る視点が大切じゃ。

アユム アユム

看護師は家族にも目を配って、適切な制度や相談窓口に橋渡しをするんですね。

POINT

トータルペイン(全人的苦痛)は、シシリー・ソンダースが提唱した身体的・精神的・社会的・スピリチュアルの4側面から苦痛を捉える枠組みで、がん患者本人だけでなく「第二の患者」と呼ばれる家族にも適用されます。社会的苦痛は経済問題、就労、役割変化、人間関係といった生活基盤に関わる苦痛を指し、「治療費の継続による生活不安」はこれに該当します。看護師はトータルペインの4分類でアセスメントし、社会的苦痛には高額療養費制度・傷病手当金・介護休業制度などの社会資源を、医療ソーシャルワーカーやがん相談支援センターと連携して提供します。4側面の苦痛は相互に影響し合うため、統合的な視点で患者・家族双方を支える看護実践が求められます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:がん患者の家族における社会的苦痛はどれか。

解説:正解は 4 です。シシリー・ソンダースが提唱したトータルペイン(全人的苦痛)の概念は、がん患者が抱える苦痛を①身体的苦痛(疼痛、倦怠感など)、②精神的苦痛(不安、抑うつ、怒りなど)、③社会的苦痛(経済問題、仕事・役割の喪失、人間関係の変化)、④スピリチュアルペイン(生きる意味への問いや存在の苦悩)の4側面から捉える枠組みで、家族(第二の患者)にも同様に適用されます。「治療が長引いて出費が続き、自分の生活はどうなるのか」は、治療費負担、収入減、介護離職、家計破綻の不安などを含む経済・生活基盤の問題であり、社会的苦痛に分類されます。

選択肢考察

  1. × 1.  「患者にはどのがん治療が適切なのか」

    治療選択への迷いや判断への不安は、精神的苦痛(不安・葛藤)に該当する。最善の選択ができているかという心理的負担を表す。

  2. × 2.  「なぜ自分の家族はがんに罹患したのか」

    「なぜ自分たちが」という問いは、罹患の意味や運命への問いかけであり、生きる意味や存在に関わるスピリチュアルペインに分類される。

  3. × 3.  「患者のがん治療を代わることはできないのか」

    代わってあげたいという思いは無力感や罪悪感を伴う精神的苦痛、あるいは自己の存在意義に関わるスピリチュアルペインの側面を含む。

  4. 4.  「治療の期間が長くなり、出費が続くと自分の生活はどうなるのか」

    治療費負担、収入減、家計破綻、介護離職などの経済的・生活基盤に関わる問題で、社会的苦痛に該当する。「お金・仕事・役割・人間関係」がキーワード。

がん患者の家族は「第二の患者」と呼ばれ、患者と同等以上のストレスを抱えることが知られている。社会的苦痛の代表例には①経済的問題(治療費・医療費・介護費・収入減)、②就労問題(介護離職、休職、職場での配慮不足)、③家庭内役割の変化(家事・育児・介護の再分配)、④人間関係の変化(地域からの孤立、人付き合いの制限)などがある。日本では高額療養費制度、傷病手当金、介護休業制度、医療ソーシャルワーカー(MSW)による相談支援、がん相談支援センターなどが社会的苦痛の緩和に活用される。看護師はトータルペインの4側面を統合的にアセスメントし、必要時にMSWやがん相談支援センターへつなぐ役割を担う。

トータルペイン(全人的苦痛)の4分類のうち、経済・仕事・役割・人間関係に関わる「社会的苦痛」を、がん患者家族の発言から識別できるかを問う問題。