国民健康・栄養調査を読み解く 成人生活習慣の最新像
看護師国家試験 第109回 午後 第47問 / 成人看護学 / 健康の保持・増進と疾病の予防
国試問題にチャレンジ
平成 29 年( 2017 年)の国民健康・栄養調査における成人の生活習慣の特徴で正しいのはどれか。
- 1.朝食の欠食率は 40 歳代が最も多い。
- 2.運動習慣のある人の割合は 30 歳代が最も多い。
- 3.1 日の平均睡眠時間は 6 時間以上 7 時間未満が最も多い。
- 4.習慣的に喫煙している人の割合は 10 年前に比べて増加している。
対話形式の解説
博士
今日は平成29年の国民健康・栄養調査について学ぶぞ。この調査、どんな目的で実施されておるか説明できるかの?
サクラ
健康増進法に基づいて、国民の身体状況や栄養摂取、生活習慣を把握するためですよね。健康日本21などの施策の基礎資料になります。
博士
正解じゃ。選択肢を1つずつ検討していこう。まず朝食欠食率はどの年代が最多じゃろう?
サクラ
若い世代じゃないですか?20歳代くらい?
博士
その通り。朝食欠食率は男女ともに20歳代が最多。男性20歳代では約30%という高さじゃ。40歳代ではなく20歳代、覚えておくんじゃ。
サクラ
一人暮らしや夜勤の人が多い年代だからでしょうか。
博士
生活リズムの乱れと食環境の両方が影響しておる。次、運動習慣のある人の割合。30歳代が最多という選択肢じゃが…
サクラ
これも違いますよね。運動習慣者って高齢層のほうが多いイメージです。
博士
その通りじゃ。運動習慣者の割合が最も高いのは男性65歳以上、女性70歳以上。逆に30歳代は男性で最低、20歳代は女性で最低じゃ。
サクラ
現役世代は仕事や家事で運動する時間が取れないんですね。
博士
そう、健康日本21でもこの現役世代の運動不足は課題になっておる。では選択肢3の睡眠時間。6〜7時間未満が最多、正しいじゃろうか?
サクラ
日本人は睡眠時間が短いって聞きますよね。6〜7時間なら感覚的にも多そうです。
博士
正解じゃ。平成29年調査では男女ともに『6時間以上7時間未満』が最多で約34%を占める。日本はOECD諸国の中でも睡眠時間が最も短い部類に入る。
サクラ
睡眠負債って言葉も最近聞きます。
博士
その通り。慢性的な睡眠不足が蓄積して心身に悪影響を及ぼす状態じゃ。生活習慣病、認知症、うつ病、免疫低下などと関連しておる。
サクラ
選択肢4の喫煙率はどうですか?増加しているわけはないと思うんですが。
博士
その通り、喫煙率は長期的に減少傾向。平成29年時点で成人男性約29.4%、女性約7.2%。10年前と比べても低下しておる。
サクラ
タバコ規制法や価格上昇、健康被害の周知効果ですね。
博士
そうじゃ。健康増進法改正による受動喫煙対策強化も大きい。健康日本21(第二次)では成人喫煙率12%を目標に掲げておる。
サクラ
こうした国の調査データは、看護師が地域や職場で健康教育をするときの基礎になるんですね。
博士
その通り。数値を覚えるだけでなく、何が健康課題で、どう介入するかまで考えることが大切じゃよ。
POINT
平成29年国民健康・栄養調査によると、成人の1日の平均睡眠時間は男女ともに『6時間以上7時間未満』が最多で全体の約34%を占め、日本人の短時間睡眠傾向が示されています。一方で朝食欠食率は20歳代が最多、運動習慣のある人の割合は高齢層で最多(男性65歳以上、女性70歳以上)、喫煙率は10年前に比べて減少と、年齢層・経年での特徴的な動向が読み取れます。これらのデータは健康日本21や健康づくりのための睡眠指針など、保健施策立案の基礎資料となっており、看護師が保健指導や地域看護を行う際に参照すべき基盤知識です。数字を丸暗記するのではなく、どの年代が何に困っているかを把握し、具体的な介入につなげる視点が重要です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:平成 29 年( 2017 年)の国民健康・栄養調査における成人の生活習慣の特徴で正しいのはどれか。
解説:正解は 3 の1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満が最も多い、である。平成29年国民健康・栄養調査によると、成人の1日の平均睡眠時間は男女ともに『6時間以上7時間未満』の層が最多で、全体の約34%を占めた。次いで5〜6時間、7〜8時間の順。日本人成人の短時間睡眠傾向を反映している。
選択肢考察
-
× 1. 朝食の欠食率は 40 歳代が最も多い。
朝食欠食率は男女ともに20歳代が最多。男性では20歳代で約30%、次いで30歳代と40歳代が高いという順。40歳代が最多ではない。
-
× 2. 運動習慣のある人の割合は 30 歳代が最も多い。
運動習慣者(1回30分以上の運動を週2回以上、1年以上継続)の割合が最も高いのは男女とも高齢層(男性65歳以上、女性70歳以上)。30歳代はむしろ最低水準である。
-
○ 3. 1 日の平均睡眠時間は 6 時間以上 7 時間未満が最も多い。
同調査での睡眠時間分布は6〜7時間未満が男女とも最多(約34%)。日本人の睡眠時間は先進国の中でも短く、睡眠負債が健康課題として注目されている。
-
× 4. 習慣的に喫煙している人の割合は 10 年前に比べて増加している。
喫煙率は長期的に減少傾向にあり、10年前比でも低下している。平成29年時点で成人男性約29.4%、女性約7.2%。タバコ規制強化や価格上昇の影響が大きい。
国民健康・栄養調査は健康増進法に基づき、厚生労働省が毎年実施する。身体状況・栄養摂取状況・生活習慣を全国規模で把握し、健康日本21などの施策の基礎資料となる。睡眠に関しては『健康づくりのための睡眠指針2014』(2024年改訂版あり)で成人6〜8時間程度を目安とし、睡眠負債への注意喚起が示されている。喫煙率は健康日本21(第二次)の目標『成人喫煙率12%』に向けて対策強化中である。
国民健康・栄養調査(平成29年)の成人生活習慣の主要データを押さえる。特に睡眠時間分布・朝食欠食率・運動習慣・喫煙率の年代差と年次推移が頻出。
「健康の保持・増進と疾病の予防」の関連記事
-
マンモグラフィの基本を押さえよう
マンモグラフィの撮影体位・撮影方向・造影剤使用の有無など、検査の基本手順を正しく説明できるかを問う問題です。
113回
-
自己効力感を高める看護支援のツボ
自己効力感の4つの情報源(特に遂行行動の達成と言語的説得)を踏まえ、適切な看護支援を選択できるかを問う設問です…
113回
-
リスク因子と動脈硬化性疾患
生活習慣病の集積が動脈硬化性疾患、特に労作性狭心症の発症リスクを高めることを理解しているかを問う問題です。
110回
-
生活習慣病と肺気腫(COPD)
代表的な生活習慣病を識別できるかが問われており、肺気腫(COPD)と喫煙の関係を押さえることが鍵です。
107回
-
乳癌自己検診の正しいやり方——月1回、月経後、指の腹で
乳癌自己検診の正しい時期・頻度・方法と、視診で観察すべき皮膚所見(えくぼ徴候など)を問う問題。
106回