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乳癌自己検診の正しいやり方——月1回、月経後、指の腹で

看護師国家試験 第106回 午前 第53問 / 成人看護学 / 健康の保持・増進と疾病の予防

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第53問

乳癌( breast cancer )の自己検診法の説明で適切なのはどれか。

  1. 1.月経前に行う。
  2. 2.年に1回実施する。
  3. 3.指先を立てて乳房に触る。
  4. 4.乳房の皮膚のくぼみの有無を観察する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は乳癌の自己検診について学ぶぞ。日本人女性の乳癌は罹患率1位で、生涯9人に1人がかかる時代じゃ。

サクラ サクラ

そんなに多いんですね。だからこそセルフチェックが大切なんですね。

博士 博士

そうじゃ。ただし、ただ触ればよいわけではなく、時期・頻度・方法すべてにコツがあるんじゃ。

サクラ サクラ

いつ行うのがよいんですか?

博士 博士

月経終了後4〜7日が推奨される。月経前や月経中はエストロゲンで乳腺が張って痛みもあり、小さなしこりが触れにくいからのう。

サクラ サクラ

閉経後の人はどうするんですか?

博士 博士

毎月決まった日に行うとよい。誕生日の日付を使ったりカレンダーに印を付けたり、習慣化するのがポイントじゃ。

サクラ サクラ

頻度は月1回ですか?

博士 博士

その通り。選択肢2の『年1回』は誤りじゃな。年1回だと微妙な変化に気づきにくいから、セルフチェックは月1回のペースで行うのが基本じゃ。

サクラ サクラ

触り方は指先を立てるんですか?

博士 博士

いいや、指先を立てると局所に力がかかりすぎて、かえってしこりがわかりにくい。指の第2〜4指の腹をそろえて、軽く滑らせるようにして広く触るんじゃ。

サクラ サクラ

なるほど、力を入れすぎないことが大事なんですね。

博士 博士

さらに、触診だけでなく視診も大事じゃ。鏡の前で両腕を下ろした状態と挙上した状態を比べ、左右差・皮膚のひきつれやくぼみ・乳頭陥凹・発赤・分泌物をチェックする。

サクラ サクラ

皮膚のくぼみって、どんなサインなんですか?

博士 博士

乳癌のしこりが皮膚のクーパー靱帯を引っ張ることで生じる『えくぼ徴候』と呼ばれる所見じゃ。これが見えたら要注意で、医療機関を受診すべきじゃな。

サクラ サクラ

オレンジピール様の皮膚というのも聞いたことがあります。

博士 博士

炎症性乳癌などで皮膚がむくんで毛穴が目立ち、オレンジの皮のように見える状態じゃ。進行例で見られる所見じゃよ。

サクラ サクラ

仰臥位でも行うんですか?

博士 博士

うむ。仰臥位で肩の下に小さな枕を入れて胸を広げると、乳房の外側や腋窩リンパ節も触診しやすくなる。自己検診+2年に1回のマンモグラフィ検診を組み合わせるのが現在の推奨じゃ。

サクラ サクラ

日常の中で自分の体を知ることが、命を守る第一歩なんですね。

POINT

乳癌自己検診は、視診と触診を組み合わせて乳房の変化を早期に発見する最も身近な手段です。実施時期は月経終了後4〜7日(閉経後は毎月決まった日)、頻度は月1回が推奨されます。触診は指の腹を使って滑らせるように、視診では鏡の前で皮膚のくぼみ(えくぼ徴候)・乳頭陥凹・分泌物・左右差をチェックすることが重要です。40歳以上では2年に1回のマンモグラフィ検診を併用し、自己検診で異常を見つけたらすぐ乳腺外来を受診するよう指導します。看護師は、患者が恥ずかしがらず継続的にセルフチェックできるよう正しい方法を丁寧に伝え、女性の生涯にわたる健康を支える役割を担います。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:乳癌( breast cancer )の自己検診法の説明で適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。乳癌自己検診(BSE)の目的は、乳房の形状・皮膚・乳頭の変化や硬結を早期に発見することにある。視診で『左右差・皮膚のひきつれ・えくぼ徴候(皮膚のくぼみ)・乳頭陥凹・発赤・分泌物』を確認し、触診で指の腹を用いてしこりの有無をチェックする。皮膚のくぼみの観察は腫瘤のクーパー靱帯浸潤を示唆する重要な所見で、視診の基本項目である。

選択肢考察

  1. × 1.  月経前に行う。

    月経前はエストロゲンの影響で乳腺が張り疼痛や緊満感があり、しこりの触知が難しい。月経終了後4〜7日(乳腺が最も柔らかい時期)の実施が推奨される。閉経後の人は毎月日を決めて行う。

  2. × 2.  年に1回実施する。

    自己検診は月1回が推奨される。早期発見には日常的なセルフチェックが重要で、年1回ではわずかな変化を捉えられない。別途、40歳以上は2年に1回のマンモグラフィ検診が国の対策型検診として行われる。

  3. × 3.  指先を立てて乳房に触る。

    指先を立てると力が局所にかかり、細かな硬結を感じ取りにくい。指の第2〜4指の腹をそろえ、軽く滑らせるようにして全体を広く触診するのが正しい方法である。

  4. 4.  乳房の皮膚のくぼみの有無を観察する。

    皮膚のくぼみ(えくぼ徴候)は腫瘤がクーパー靱帯を牽引することで生じ、乳癌を疑う重要な視診所見である。鏡の前で両腕を下ろした状態と挙上した状態で左右差・皮膚変化・乳頭変形をチェックする。

乳癌は日本女性の罹患率1位の悪性腫瘍で、生涯約9人に1人が罹患する。好発年齢は40代後半〜60代で、早期発見すれば5年生存率は90%以上と予後良好である。自己検診のポイントは『視診+触診+仰臥位での再触診』。視診では鏡の前で左右差・皮膚のくぼみ・乳頭陥凹や分泌物の有無を、触診では立位で石鹸をつけた手で、仰臥位で肩の下に枕を入れてリンパ節領域(腋窩・鎖骨上下)まで含めて行う。しこり、血性乳頭分泌、腋窩リンパ節腫大、皮膚の発赤・浮腫(オレンジピール様)は受診すべき所見である。

乳癌自己検診の正しい時期・頻度・方法と、視診で観察すべき皮膚所見(えくぼ徴候など)を問う問題。