ラテックスアレルギー 数分で起こる即時型反応の怖さ
看護師国家試験 第109回 午後 第50問 / 成人看護学 / 血液・免疫系
国試問題にチャレンジ
ラテックス製手袋を着用した直後に口唇・手足のしびれと喉頭の違和感を自覚した。原因となる病態はどれか。
- 1.I 型アレルギー
- 2.II 型アレルギー
- 3.III型アレルギー
- 4.IV 型アレルギー
対話形式の解説
博士
今日はアレルギーの分類について学ぶぞ。アレルギー分類は誰が提唱したか知っておるか?
アユム
クームスとゲルですよね。Ⅰ型からⅣ型の4種類に分けた分類です。
博士
その通り。問題文のシチュエーションを整理しよう。ラテックス手袋を着用した直後に口唇・手足のしびれと喉頭違和感が出現。
アユム
『直後』ということは即時型ですね。Ⅰ型アレルギーが怪しいです。
博士
正解じゃ。Ⅰ型はIgE抗体を介した即時型で、感作された抗原に再曝露すると数分〜30分以内に症状が出る。
アユム
喉頭の違和感って、喉頭浮腫の初期症状ですよね?
博士
鋭い指摘じゃ。気道浮腫が進行すると気道閉塞となり致死的。さらにショックに進むとアナフィラキシーショックじゃ。アドレナリン0.3mg筋注(大腿外側)を即座に実施する必要がある。
アユム
ラテックスアレルギーって医療従事者に多いんですよね?
博士
その通り。手術室や処置で頻繁に使うからじゃ。最近はラテックスフリーのニトリル手袋が普及して予防されておる。
アユム
Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型の特徴も整理したいです。
博士
よし、Ⅱ型は細胞傷害型。IgG/IgM抗体が細胞表面の抗原に結合して、補体活性化やADCCで細胞を壊す。代表例は不適合輸血による溶血、自己免疫性溶血性貧血、ITPじゃ。
アユム
Ⅲ型は?
博士
免疫複合体型、別名Arthus型。可溶性抗原と抗体の免疫複合体が組織に沈着して補体を活性化、炎症を起こす。SLE、関節リウマチ、血清病、急性糸球体腎炎が代表例。
アユム
Ⅳ型は遅延型ですよね?
博士
その通り。感作T細胞が関与し、抗原曝露から24〜72時間後に反応が出る。ツベルクリン反応、接触皮膚炎、金属アレルギー、移植拒絶反応が代表例。
アユム
ラテックスアレルギーにもⅣ型があると聞きました。
博士
よく知っておる。ラテックス関連の皮膚障害は3つに分かれる。即時型Ⅰ型(本問)、遅延型Ⅳ型(ゴム加硫促進剤による接触皮膚炎)、非免疫性の刺激性接触皮膚炎じゃ。区別が臨床上重要じゃ。
アユム
ラテックスと交叉反応する食物もあるんですよね?
博士
ラテックス‐フルーツ症候群じゃ。バナナ、アボカド、キウイ、栗が代表的な交叉反応食物。ラテックスアレルギーの患者はこれらも要注意。
アユム
時間軸で覚えると整理しやすいですね。Ⅰ型とⅣ型は時間で区別できそうです。
博士
その通り。『Ⅰ型=即時型(分)、Ⅳ型=遅延型(日)、Ⅱ型=細胞傷害、Ⅲ型=免疫複合体』でまず大枠を押さえ、代表疾患とセットで暗記するんじゃ。
アユム
アナフィラキシーの対応も試験で問われますよね。
博士
ああ。アドレナリン筋注、気道確保、酸素投与、輸液、H1/H2ブロッカー、ステロイドの順じゃ。アドレナリンの遅れが死亡率と直結するから、迷わず第一選択で打つんじゃ。
POINT
ラテックス製手袋着用直後に口唇・手足のしびれと喉頭違和感が出現した場合、IgE抗体を介した即時型アレルギー(Ⅰ型)と判断します。数分以内に肥満細胞からヒスタミンなどが放出され、蕁麻疹、血管浮腫、気管支攣縮、血圧低下へと進行する可能性があり、アナフィラキシーショックとしてアドレナリン筋注(大腿外側0.3mg)による迅速対応が生命予後を左右します。クームス‐ゲル分類ではⅡ型が細胞傷害型、Ⅲ型が免疫複合体型、Ⅳ型が遅延型でそれぞれ機序と代表疾患が異なるため、時間経過と関与抗体をセットで区別することが国試対策の基本です。医療従事者自身もラテックスアレルギーのリスクがあるため、ラテックスフリー環境の整備とアナフィラキシー対応の習熟は臨床看護の必須事項といえます。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:ラテックス製手袋を着用した直後に口唇・手足のしびれと喉頭の違和感を自覚した。原因となる病態はどれか。
解説:正解は 1 のI型アレルギーである。ラテックス製手袋着用直後に口唇・手足のしびれ、喉頭違和感といった全身症状が出現しているため、IgE抗体を介した即時型アレルギー反応(Ⅰ型)と判断できる。天然ゴムラテックスに含まれる蛋白に感作された人が再曝露すると、肥満細胞からヒスタミンなどが放出され、数分〜30分以内に蕁麻疹、血管浮腫、気管支攣縮、アナフィラキシーショックを起こしうる。
選択肢考察
-
○ 1. I 型アレルギー
IgEを介した即時型。接触から数分以内に蕁麻疹、血管浮腫、鼻炎、喘息、アナフィラキシーが出現する。ラテックスアレルギー、花粉症、食物アレルギー、アナフィラキシーショックが代表例。
-
× 2. II 型アレルギー
IgG/IgM抗体が細胞表面抗原に結合し、補体活性化やADCCによって細胞を傷害する細胞傷害型。不適合輸血による溶血、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病などが代表例。
-
× 3. III型アレルギー
可溶性抗原と抗体が形成する免疫複合体が組織に沈着し、補体を活性化して炎症を起こす免疫複合体型(Arthus型)。血清病、SLE、関節リウマチ、急性糸球体腎炎などが代表例。
-
× 4. IV 型アレルギー
感作T細胞(Th1/CD8)が関与する遅延型。抗原曝露後24〜72時間で反応が出現する。ツベルクリン反応、アレルギー性接触皮膚炎、臓器移植拒絶反応、金属アレルギーなどが代表例。
アレルギー分類(Coombs & Gell)はI〜IV型。V型(受容体刺激型、例:バセドウ病の抗TSH受容体抗体)を加えることもある。ラテックスアレルギーには(1)即時型Ⅰ型(本問)、(2)遅延型Ⅳ型(ゴム加硫促進剤による接触皮膚炎)、(3)刺激性接触皮膚炎(非免疫性)の3種類があり、臨床上の区別が重要。ラテックスと交叉反応を示す食物として、バナナ、アボカド、キウイ、栗(ラテックス‐フルーツ症候群)は頻出。医療従事者はラテックスフリー環境整備と、アナフィラキシー時のアドレナリン筋注(0.3mg、大腿外側)を即座に実施できる準備が必要。
Coombs & Gellのアレルギー分類4型を、代表疾患と時間経過から識別する問題。ラテックス手袋直後の症状=即時型=Ⅰ型というパターンを確実に。
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