SLEの病態と予後 Ⅲ型アレルギーと中枢神経ループスを解き明かす
看護師国家試験 第109回 午後 第86問 / 成人看護学 / 血液・免疫系
国試問題にチャレンジ
全身性エリテマトーデス〈 SLE 〉( systemic lupus erythematosus )で正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 1.遺伝素因の関与が大きい。
- 2.発症には男性ホルモンが関与する。
- 3.中枢神経症状は生命予後に影響する。
- 4.Ⅰ型アレルギーによる免疫異常である。
- 5.適切に治療しても 5 年生存率は 50 %である。
対話形式の解説
博士
今日は全身性エリテマトーデス、略してSLEの核心を押さえるぞ。
アユム
自己免疫疾患の代表ですよね。何が起きているんでしょう。
博士
自分の抗原(DNAや核タンパク)に対して抗体ができ、抗原抗体複合体が血管壁や臓器に沈着して補体や好中球を活性化、多臓器に炎症を起こす。これは四つあるアレルギー分類のうちⅢ型に当たる。
アユム
Ⅰ型はIgEの即時型、Ⅱ型は細胞障害型、Ⅲ型が免疫複合体型、Ⅳ型が遅延型ですね。
博士
うむ、SLEはⅢ型。選択肢4は誤りじゃ。
アユム
誰がなりやすいんですか?
博士
20〜40代の妊娠可能年齢の女性が圧倒的多数で、男女比は1対9。エストロゲンの関与が示唆されている。男性ホルモンはむしろ抑制的。
アユム
じゃあ選択肢2も誤りですね。
博士
そう。そして発症背景には遺伝素因が大きい。HLA-DR2やDR3などのアレルが関与し、一卵性双生児の一致率が高い。
アユム
選択肢1は正しい。
博士
臨床症状は多彩で、発熱・倦怠感・蝶形紅斑・光線過敏・関節炎・腎炎・血球減少・精神神経症状など。
アユム
CNSループスは予後が悪いと聞きます。
博士
その通り。けいれん、意識障害、精神症状、脳血管障害などを呈し、ループス腎炎、肺胞出血、肺高血圧症と並んで生命予後を左右する。
アユム
選択肢3も正解ですね。
博士
昔は予後不良の病気だったが、ステロイドや免疫抑制薬、生物学的製剤の発達で5年生存率は95%以上に改善。選択肢5は誤り。
アユム
日常生活で気をつけることは?
博士
紫外線が病勢を悪化させるので日焼け止めや長袖、帽子が必須。長期ステロイドで日和見感染、骨粗鬆症、糖尿病のリスクも増す。
アユム
看護師は全身管理と生活指導、心理支援まで幅広く関わりますね。
POINT
SLEは免疫複合体による組織傷害を中心とするⅢ型アレルギーの自己免疫疾患で、発症には遺伝的素因が大きく関わり、女性ホルモン・紫外線・感染などの環境因子が引き金となります。中枢神経ループスはけいれんや精神症状、脳血管障害を呈しループス腎炎や肺胞出血とともに予後を左右します。現代治療により5年生存率は95%以上に改善していますが、日和見感染が主要死因となるためステロイド長期使用下の感染管理が重要です。看護師は紫外線対策、感染予防、妊娠・服薬指導、心理支援など多面的支援を担います。
解答・解説
正解は 1 ・ 3 です
問題文:全身性エリテマトーデス〈 SLE 〉( systemic lupus erythematosus )で正しいのはどれか。2 つ選べ。
解説:正解は 1 と 3 です。SLEは免疫複合体(Ⅲ型アレルギー)が多臓器に沈着して炎症を起こす自己免疫疾患で、発症には複数のHLAアレルなど遺伝的素因が強く関与します。また、中枢神経ループス(CNSループス)はけいれん、意識障害、精神症状などを呈し、ループス腎炎や肺胞出血と並んで生命予後を左右する重症病態です。現在では早期治療により5年生存率は95%以上に向上しています。
選択肢考察
-
○ 1. 遺伝素因の関与が大きい。
HLA-DR2、DR3などの遺伝的素因を背景に、紫外線・感染・ホルモンなどの環境因子が加わって発症する多因子疾患。
-
× 2. 発症には男性ホルモンが関与する。
女性に圧倒的に多く(男女比1:9程度)、エストロゲンなど女性ホルモンの関与が示唆されている。男性ホルモンはむしろ抑制的に働く。
-
○ 3. 中枢神経症状は生命予後に影響する。
CNSループスではけいれん・精神症状・脳血管障害などが生じ、ループス腎炎・肺胞出血とともに重症病態で予後不良因子となる。
-
× 4. Ⅰ型アレルギーによる免疫異常である。
SLEはIgG・IgMによる免疫複合体が組織に沈着するⅢ型アレルギーが中心。Ⅰ型はIgE介在の即時型アレルギー(蕁麻疹・喘息・アナフィラキシー)。
-
× 5. 適切に治療しても 5 年生存率は 50 %である。
現在の治療(ステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤)により5年生存率は95%以上に達している。
診断はアメリカリウマチ学会(ACR)やEULAR/ACR基準に基づく。主な自己抗体は抗核抗体、抗dsDNA抗体、抗Sm抗体、抗リン脂質抗体など。治療はステロイド、ヒドロキシクロロキン、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、ベリムマブなど。生活指導では紫外線対策(日焼け止め・帽子)、感染予防、妊娠は寛解6ヵ月以上維持後が推奨される。近年は日和見感染が主な死因となっており、長期ステロイド使用下での感染管理が看護の重要課題。
SLEの基本病態(Ⅲ型アレルギー、遺伝素因、女性優位)と予後規定因子を押さえる定番問題。
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