皮膚筋炎とヘリオトロープ疹
看護師国家試験 第111回 午前 第29問 / 成人看護学 / 血液・免疫系
国試問題にチャレンジ
皮膚筋炎(dermatomyositis)の皮膚症状はどれか。
- 1.環状紅斑
- 2.蝶形紅斑
- 3.ディスコイド疹
- 4.ヘリオトロープ疹
対話形式の解説
博士
今日は皮膚筋炎の皮膚症状についてじゃ。この疾患に特徴的な皮疹は何か覚えておるかな?
サクラ
ヘリオトロープ疹ですよね!両まぶたの紫紅色の紅斑です。
博士
そのとおり、正解は4のヘリオトロープ疹じゃ。上眼瞼の浮腫を伴う紫紅色の紅斑で、皮膚筋炎を強く示唆する所見じゃ。
サクラ
ヘリオトロープって何ですか?
博士
紫紅色の花の名前じゃ。この皮疹の色合いがその花に似ていることに由来しておる。
サクラ
皮膚筋炎にはもう1つ有名な皮膚症状があったような…
博士
ゴットロン徴候じゃな。手指関節背面の角化性紅斑で、ヘリオトロープ疹と並んで皮膚筋炎の二大皮膚所見じゃ。
サクラ
選択肢1の環状紅斑はどの疾患で見られますか?
博士
環状紅斑は輪状に広がる紅斑で、シェーグレン症候群、SLE、溶連菌感染後のリウマチ熱などで見られる。皮膚筋炎には特徴的ではない。
サクラ
選択肢2の蝶形紅斑はSLEですよね。
博士
そのとおり。両頬から鼻にかけて蝶が羽を広げたように現れる紅斑で、SLEの代表的皮膚症状じゃ。日光曝露で増悪することも特徴じゃ。
サクラ
選択肢3のディスコイド疹は?
博士
これもSLEの特徴的皮疹じゃ。顔面、耳介、頭部などに円形に現れて、硬結・角化・瘢痕化を経て萎縮する。脱毛や色素沈着を残すこともあるのじゃ。
サクラ
皮膚筋炎とSLEの皮膚症状をしっかり区別する必要がありますね。
博士
そうじゃ。皮膚筋炎=ヘリオトロープ疹+ゴットロン徴候、SLE=蝶形紅斑+ディスコイド疹と覚えるとよい。
サクラ
皮膚筋炎にはどんな全身症状がありますか?
博士
体幹や四肢近位筋の筋力低下、嚥下障害、発熱、関節痛などじゃ。特に肩や大腿の筋力低下で、手を挙げにくい、階段が昇りにくいといった訴えが出るのじゃ。
サクラ
合併症で注意すべきものは?
博士
2つ重要じゃ。1つは悪性腫瘍で、皮膚筋炎患者の約15〜25%に合併するから全身精査が必要。もう1つは間質性肺炎で、特に抗MDA5抗体陽性例では急速進行性で予後を左右するのじゃ。
サクラ
診断はどうやるんですか?
博士
筋逸脱酵素(CK、アルドラーゼ)上昇、筋電図、MRI、筋生検、自己抗体(抗Jo-1、抗MDA5、抗TIF1γなど)で総合的に診断する。
サクラ
治療は?
博士
ステロイドが第一選択で、重症例では免疫抑制薬や免疫グロブリン大量療法を併用する。間質性肺炎合併例ではシクロホスファミドやタクロリムスも使うのじゃ。
サクラ
看護では悪性腫瘍のスクリーニングや肺症状の観察が重要ですね。
博士
そのとおり。皮膚症状の観察と全身合併症への目配りを忘れずにな。
POINT
皮膚筋炎の特徴的皮膚症状はヘリオトロープ疹(上眼瞼の浮腫性紫紅色紅斑)とゴットロン徴候(手指関節背面の角化性紅斑)です。環状紅斑はシェーグレン症候群やSLE、蝶形紅斑とディスコイド疹はSLEで見られ、疾患別に区別が必要です。皮膚筋炎は悪性腫瘍(15〜25%)や間質性肺炎を合併しやすく、特に抗MDA5抗体陽性例は急速進行性肺病変で予後を左右するため全身管理が重要です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:皮膚筋炎(dermatomyositis)の皮膚症状はどれか。
解説:正解は 4 です。皮膚筋炎は多発性筋炎に特徴的な皮膚症状を伴う自己免疫性筋疾患で、代表的な皮膚所見にヘリオトロープ疹(上眼瞼の浮腫性紫紅色紅斑)とゴットロン徴候(手指関節背側の角化性紅斑)があります。ヘリオトロープとは紫紅色の花の名前で、この皮疹の色合いに由来します。しばしば悪性腫瘍や間質性肺炎を合併する点も臨床上重要です。
選択肢考察
-
× 1. 環状紅斑
環状紅斑は輪状に広がる紅斑で、シェーグレン症候群や全身性エリテマトーデス(SLE)、溶連菌感染後のリウマチ熱などで見られます。皮膚筋炎には特徴的ではありません。
-
× 2. 蝶形紅斑
蝶形紅斑は両頬から鼻にかけて蝶が羽を広げたように現れる紅斑で、全身性エリテマトーデス(SLE)の代表的な皮膚症状です。
-
× 3. ディスコイド疹
ディスコイド疹(円板状皮疹)は顔面・耳介・頭部に出現し硬結・角化・瘢痕化する円形の皮疹で、全身性エリテマトーデス(SLE)の特徴的所見です。
-
○ 4. ヘリオトロープ疹
ヘリオトロープ疹は上眼瞼の浮腫性紫紅色紅斑で、皮膚筋炎を強く示唆する特徴的皮膚所見です。
皮膚筋炎のもう1つの特徴的皮膚症状がゴットロン徴候(手指関節背面の角化性紅斑)です。皮膚筋炎患者の約15〜25%に悪性腫瘍が合併し、間質性肺炎(特に抗MDA5抗体陽性例は急速進行性)も予後を左右します。治療はステロイド、免疫抑制薬、重症例では免疫グロブリン大量療法が用いられます。
膠原病の代表的な皮膚所見を疾患別に区別できるかを問う問題で、特に皮膚筋炎のヘリオトロープ疹とSLEの蝶形紅斑・ディスコイド疹の区別がポイントです。
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