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バセドウ病患者への服薬指導

看護師国家試験 第105回 午前 第86問 / 成人看護学 / 内部環境と内分泌系

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第86問

Aさん(35歳、女性、会社員)は、動悸、手指の震え及び体重減少があり、受診したところ、頻脈と眼球突出とを指摘され抗甲状腺薬の内服を開始した。Aさんは看護師に「仕事のストレスは寝る前にビールを飲むことで解消するようにしているが、ちょっとしたことでイライラして眠れない」と話した。 Aさんへの説明で適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.「仕事を休みましょう」
  2. 2.「禁酒する必要があります」
  3. 3.「積極的に運動しましょう」
  4. 4.「発熱したときは受診してください」
  5. 5.「病気が原因でイライラしやすくなります」

対話形式の解説

博士 博士

今日はバセドウ病の服薬指導じゃ。Aさんは35歳女性、動悸・手指振戦・体重減少・頻脈・眼球突出がある。典型的なメルゼブルクの三徴じゃな。

アユム アユム

メルゼブルクの三徴って何ですか?

博士 博士

甲状腺腫・頻脈・眼球突出の3つじゃ。バセドウ病の古典的所見として覚えるとよい。

アユム アユム

抗甲状腺薬ってメルカゾールのことですか?

博士 博士

そう、チアマゾール(メルカゾール)とプロピルチオウラシル(PTU)が主じゃ。どちらも甲状腺ホルモン合成を抑える。

アユム アユム

大事な副作用は何ですか?

博士 博士

無顆粒球症じゃ。頻度は0.2〜0.5%と低いが、発熱と咽頭痛で突然発症する。だから選択肢4の『発熱したら受診』が非常に重要じゃ。

アユム アユム

発症したらどれくらいで受診を?

博士 博士

38℃以上の発熱や咽頭痛を認めたらすぐじゃ。放置すると重症敗血症に進展する。治療開始から最初の3か月は2週ごとの採血が推奨される。

アユム アユム

イライラが強いと訴えていますね。

博士 博士

甲状腺ホルモン過剰は交感神経と中枢神経を刺激するから、イライラ・不安・不眠は病気そのものの症状じゃ。選択肢5はそれを伝えて安心してもらう指導じゃ。

アユム アユム

お酒はやめなくていいんですか?

博士 博士

禁酒を一律に指示する根拠はない。ただ飲酒は頻脈や不眠を悪化させるから適量にと助言する。寝る前のアルコールは睡眠の質を下げるぞ。

アユム アユム

運動はしてもいいですか?

博士 博士

頻脈と代謝亢進で心負荷が大きいから、症状安定までは積極的運動は避ける。選択肢3は不適切じゃ。

アユム アユム

仕事はどうしますか?

博士 博士

体調に応じて調整する。過労は避けるが一律に休む必要はないから選択肢1も適切ではない。

アユム アユム

食事で気をつけることは?

博士 博士

ヨード過剰摂取を避ける。昆布・ひじき・海藻類、ヨード含有うがい薬にも注意じゃ。

アユム アユム

甲状腺クリーゼって怖いんですよね?

博士 博士

高熱・頻脈・心不全・意識障害を呈する緊急病態で致死率10〜30%じゃ。感染・手術・服薬中断が誘因になるから服薬指導が命を守る。

POINT

バセドウ病患者への指導では、抗甲状腺薬の重篤副作用である無顆粒球症(発熱・咽頭痛で発症)への注意喚起と、イライラ・不安・不眠が疾患症状であることの説明が重要。ヨード過剰摂取の回避、過労・激しい運動の制限、適量飲酒の助言、甲状腺クリーゼの予防が患者教育の要である。

解答・解説

正解は 4 5 です

問題文:Aさん(35歳、女性、会社員)は、動悸、手指の震え及び体重減少があり、受診したところ、頻脈と眼球突出とを指摘され抗甲状腺薬の内服を開始した。Aさんは看護師に「仕事のストレスは寝る前にビールを飲むことで解消するようにしているが、ちょっとしたことでイライラして眠れない」と話した。 Aさんへの説明で適切なのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 4 と 5 です。Aさんは動悸・手指振戦・体重減少・頻脈・眼球突出というメルゼブルクの三徴(甲状腺腫、頻脈、眼球突出)に合致する症状からバセドウ病(甲状腺機能亢進症)と考えられ、抗甲状腺薬(チアマゾール〈メルカゾール〉やプロピルチオウラシル〈PTU〉)が開始されています。抗甲状腺薬の重要な副作用として無顆粒球症があり、発熱時は速やかな受診が必要です。また甲状腺ホルモン過剰は中枢神経を刺激しイライラ・不安・不眠などの精神症状を引き起こします。

選択肢考察

  1. × 1.  「仕事を休みましょう」

    症状がコントロールされるまで過労は避けますが、一律に仕事を休む必要はなく、本人の状態や職務内容に応じて判断します。

  2. × 2.  「禁酒する必要があります」

    適量の飲酒であれば禁酒は必須ではありませんが、不眠や頻脈を悪化させる可能性があるため適量を守る指導が望ましいとされます。

  3. × 3.  「積極的に運動しましょう」

    頻脈・代謝亢進状態で心負荷が大きいため、積極的な運動は避け、症状安定まで安静を保ちます。

  4. 4.  「発熱したときは受診してください」

    抗甲状腺薬の重篤副作用である無顆粒球症(発生頻度0.2〜0.5%)の初発症状が発熱と咽頭痛です。ただちに受診し白血球分画検査が必要です。

  5. 5.  「病気が原因でイライラしやすくなります」

    甲状腺ホルモン過剰は交感神経系と中枢神経系を刺激しイライラ・不安・不眠を惹起します。病気の症状であることを説明して不安軽減につなげます。

バセドウ病の治療は①抗甲状腺薬、②放射性ヨウ素内用療法(アイソトープ治療)、③手術(甲状腺亜全摘)の3つです。抗甲状腺薬の副作用は無顆粒球症のほか、肝機能障害、皮疹、関節痛、ANCA関連血管炎(PTUで多い)などがあります。治療開始から3か月は2週ごとに血液検査を行い、38℃以上の発熱・咽頭痛があればただちに受診指導します。甲状腺クリーゼ(感染・手術・ヨード制限解除などが誘因)は高熱・頻脈・心不全・意識障害を呈する緊急病態で致死率10〜30%です。食事ではヨード過剰摂取(昆布、ひじき、海藻類)を控えます。

バセドウ病の精神症状と抗甲状腺薬の重要副作用(無顆粒球症)に関する患者教育の要点を問うている。