褐色細胞腫の5Hを覚えよう
看護師国家試験 第110回 午前 第77問 / 成人看護学 / 内部環境と内分泌系
国試問題にチャレンジ
褐色細胞腫( pheochromocytoma )でみられるのはどれか。
- 1.高血糖
- 2.中心性肥満
- 3.満月様顔貌
- 4.血清カリウム濃度の低下
- 5.副腎皮質ホルモンの産生の亢進
対話形式の解説
博士
褐色細胞腫は副腎髄質の腫瘍じゃ。副腎皮質疾患と区別できるかが鍵となる
サクラ
副腎は外側が皮質、内側が髄質でしたね
博士
うむ。皮質からはコルチゾール、アルドステロン、アンドロゲンが出る。髄質からはカテコールアミンじゃ
サクラ
カテコールアミンというとアドレナリンやノルアドレナリンですね
博士
その通り。褐色細胞腫ではこれらが過剰分泌されて5Hの症状が出る
サクラ
5Hとは何ですか
博士
Hypertension、Headache、Hyperhidrosis、Hyperglycemia、Hypermetabolismじゃ
サクラ
高血圧・頭痛・発汗・高血糖・代謝亢進ですね。それで高血糖が正解になるわけですか
博士
そうじゃ。カテコールアミンは肝臓でのグリコーゲン分解と糖新生を促しインスリンを抑制する
サクラ
中心性肥満や満月様顔貌はクッシング症候群の症状でしたよね
博士
うむ。コルチゾール過剰で起こるもので褐色細胞腫では逆に痩せる傾向じゃ
サクラ
カリウム低下はどうですか
博士
あれは原発性アルドステロン症の特徴。アルドステロン過剰でカリウムが尿中に排泄される
サクラ
副腎皮質ホルモンの産生亢進も違いますね。褐色細胞腫は髄質由来ですから
博士
その通り。診断には血中・尿中カテコールアミンとメタネフリン、VMAを測定する
サクラ
手術前の管理で気をつけることはありますか
博士
術中の血圧急上昇を防ぐためα遮断薬で十分に降圧してから手術する。順番が大事じゃ
POINT
褐色細胞腫は副腎髄質やクロム親和性細胞から発生しカテコールアミンを過剰分泌する腫瘍で、5H(高血圧・頭痛・発汗・高血糖・代謝亢進)が特徴です。本問では高血糖が正解となります。中心性肥満や満月様顔貌、副腎皮質ホルモン亢進はクッシング症候群、血清カリウム低下は原発性アルドステロン症が代表であり、皮質疾患と髄質疾患を区別する視点が重要です。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:褐色細胞腫( pheochromocytoma )でみられるのはどれか。
解説:正解は1です。褐色細胞腫は副腎髄質やクロム親和性細胞から発生する腫瘍で、カテコールアミンを過剰分泌し、高血圧・高血糖・代謝亢進・頭痛・発汗(5H)を特徴とします。
選択肢考察
-
○ 1. 高血糖
過剰分泌されたカテコールアミンはβ受容体を介して肝臓でのグリコーゲン分解と糖新生を促進し、インスリン分泌を抑制するため血糖値が上昇します。5Hの一つとして覚えておきましょう。
-
× 2. 中心性肥満
中心性肥満はコルチゾール過剰によって生じるクッシング症候群の特徴的症状で、四肢は細く体幹に脂肪が蓄積します。褐色細胞腫ではむしろ代謝亢進により体重減少を来すことが多いです。
-
× 3. 満月様顔貌
満月様顔貌もコルチゾール過剰で生じるクッシング症候群の所見であり、ステロイド長期投与でも出現します。副腎髄質腫瘍である褐色細胞腫では見られません。
-
× 4. 血清カリウム濃度の低下
血清カリウム低下を代表的に来すのは原発性アルドステロン症です。褐色細胞腫ではカリウム値に直接大きな変化は生じにくく、むしろ高血圧発作時には一過性の高血糖や代謝性変化が目立ちます。
-
× 5. 副腎皮質ホルモンの産生の亢進
褐色細胞腫は副腎「髄質」由来の腫瘍で、カテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドパミン)を分泌します。コルチゾールやアルドステロンなどの副腎「皮質」ホルモンは増加しません。
褐色細胞腫の5徴(5H)は「Hypertension(高血圧)・Headache(頭痛)・Hyperhidrosis(発汗)・Hyperglycemia(高血糖)・Hypermetabolism(代謝亢進)」と覚えます。診断には血中・尿中カテコールアミンと代謝物(メタネフリン、バニリルマンデル酸:VMA)の測定が用いられ、手術前にはα遮断薬による降圧管理が必須です。
副腎髄質腫瘍である褐色細胞腫の病態と、副腎皮質疾患であるクッシング症候群との鑑別を問う設問です。
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