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砕石位と腓骨神経麻痺 支脚器が生む尖足のリスクを防ぐ

看護師国家試験 第109回 午前 第42問 / 成人看護学 / 周術期看護

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第42問

砕石位による手術で起こりやすい合併症はどれか。

  1. 1.猿手
  2. 2.尖足
  3. 3.下垂手
  4. 4.腸骨部の褥瘡

対話形式の解説

博士 博士

今日は砕石位、いわゆるリソトミー位での合併症について考えるぞ。どんな手術で使うかわかるかの?

アユム アユム

婦人科の分娩や手術、それから泌尿器科や肛門の手術で使うと習いました。

博士 博士

その通りじゃ。両下肢を挙上して支脚器に固定するから、会陰や下腹部への視野が得られる。ただしこの体位は神経障害のリスクが高い。

アユム アユム

なぜ神経障害が起こりやすいんですか?

博士 博士

支脚器の当たる部分に注目するのじゃ。膝窩から下腿外側を支えるタイプが多く、ちょうど腓骨頭の外側を総腓骨神経が浅く走っておる。ここが圧迫されやすい。

アユム アユム

総腓骨神経が麻痺するとどうなるんでしょう?

博士 博士

足関節の背屈と足趾の伸展ができなくなり、足先が垂れた『尖足』と下腿外側から足背にかけての感覚障害が出る。歩行すると爪先が引っかかる鶏歩になるのじゃ。

アユム アユム

なるほど!だから選択肢2の尖足が正解なんですね。猿手や下垂手は別の神経の麻痺ですよね?

博士 博士

うむ、猿手は正中神経、下垂手は橈骨神経麻痺じゃ。砕石位は下肢の体位なので上肢の神経とは結びつかない。

アユム アユム

選択肢4の腸骨部褥瘡はどうですか?

博士 博士

腸骨部は側臥位で圧迫される骨突出部。砕石位で問題となるのは仙骨部、踵部、そして支脚器の当たる腓腹部の褥瘡じゃな。

アユム アユム

砕石位には他にも合併症がありそうですね。

博士 博士

良いところに気づいたの。下肢を下ろしたときに静脈還流の変化で血圧低下が起こる、長時間の挙上でコンパートメント症候群や深部静脈血栓症になる、閉鎖神経や大腿神経の牽引麻痺、といったリスクがある。

アユム アユム

予防のポイントは何でしょう?

博士 博士

両下肢を同時にゆっくり挙上・下降する、支脚器にパッドを当てて腓骨頭を直接圧迫しない、2時間以上は下肢を一時下降するなどの対策が推奨されておる。

アユム アユム

術後の観察では、足関節が動かせるか、足背の感覚があるかをチェックすればよいんですね。

博士 博士

その通りじゃ。末梢神経麻痺は気づかれにくく回復に数週〜数カ月かかることもあるから、早期発見と原因除去が肝心じゃ。

POINT

砕石位は婦人科・泌尿器科・肛門直腸手術に必須の体位だが、支脚器による腓骨頭圧迫で総腓骨神経麻痺を起こし尖足をきたすリスクがある。体位障害は仙骨部・踵部・腓腹部の褥瘡、下肢挙上に伴う循環変動、コンパートメント症候群や深部静脈血栓症など多岐にわたる。予防には両下肢の同時挙上・下降、パッドによる圧迫回避、長時間手術での下肢一時下降が重要であり、術後は足関節背屈と足背感覚を必ず評価する。手術体位と末梢神経走行を結びつけて理解することが、安全な周術期看護の基本となる。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:砕石位による手術で起こりやすい合併症はどれか。

解説:正解は 2 です。砕石位(リソトミー位)は仰臥位から両下肢を挙上・外転させ、膝を屈曲した状態で支脚器に固定する体位で、婦人科・泌尿器科・肛門直腸の手術に広く用いられる。支脚器は膝窩から下腿外側にかけて接触するため、腓骨頭の外側を走行する総腓骨神経が圧迫されやすい。総腓骨神経は足関節の背屈と足趾伸展を支配しており、麻痺すると足部が下垂したまま背屈できない『尖足』と下腿外側〜足背の感覚障害をきたす。長時間の砕石位では下肢挙上による静脈うっ滞からコンパートメント症候群や深部静脈血栓症も起こり得るため、体位保持時間と圧迫部位の観察が重要である。

選択肢考察

  1. × 1.  猿手

    手根管症候群などによる正中神経麻痺で生じ、母指球が平坦化して母指の対立運動が障害される。砕石位では生じない。

  2. 2.  尖足

    支脚器による腓骨頭部の圧迫で総腓骨神経麻痺が生じ、足関節の背屈障害が起こり足先が垂れた状態となる。砕石位の代表的な末梢神経障害である。

  3. × 3.  下垂手

    上腕外側部の圧迫などによる橈骨神経麻痺で生じ、手関節の背屈と手指伸展ができなくなる。砕石位では上肢の固定に伴う別の体位障害として起こりうるが、直接的な合併症ではない。

  4. × 4.  腸骨部の褥瘡

    腸骨部は側臥位で圧迫される部位。砕石位で好発する褥瘡は仙骨部、踵部、支脚器に接触する腓腹部である。

砕石位で注意すべき他の合併症には、下肢挙上による静脈還流増加から下肢を下ろした際の急激な血圧低下、長時間圧迫によるコンパートメント症候群、閉鎖神経や大腿神経の牽引による麻痺などがある。予防には下肢挙上を左右同時に行う、支脚器のパッド貼付、腓骨頭部の圧迫回避、2時間以上の長時間手術では下肢の一時下降などが推奨される。術後は足関節背屈・足趾運動の評価と下腿外側・足背の感覚確認を行う。

手術体位と好発する末梢神経障害の組み合わせを問う問題。砕石位=支脚器による腓骨頭圧迫=総腓骨神経麻痺=尖足という流れを押さえる。