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創傷治癒の4段階を完全理解 成熟期のキーワードは瘢痕形成

看護師国家試験 第112回 午後 第40問 / 成人看護学 / 周術期看護

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第40問

創傷治癒の成熟期の状態はどれか。

  1. 1.マクロファージが創内を清浄化する。
  2. 2.基底細胞が創面を覆う。
  3. 3.肉芽組織を形成する。
  4. 4.瘢痕を形成する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は創傷治癒過程じゃ。時系列で4段階に分かれるから、順番と特徴を紐づけて覚えるのじゃ。

アユム アユム

出血凝固期、炎症期、増殖期、成熟期の4つですよね。

博士 博士

その通り。まず出血凝固期は受傷直後から数時間。血小板が凝集しフィブリンが網を作って止血する段階じゃ。

アユム アユム

次の炎症期はどんな現象が起きるんですか?

博士 博士

受傷後約3日間、好中球とマクロファージが創部に集まり、壊死組織や細菌を貪食して清浄化する。同時に成長因子を放出し次の増殖期の準備をするのじゃ。

アユム アユム

創部が腫れて熱くなるのはこの時期ですね。

博士 博士

発赤・腫脹・熱感・疼痛・機能障害というケルススの炎症5徴が現れる。これは異常ではなく治癒の正常過程じゃ。

アユム アユム

増殖期では何が起こりますか?

博士 博士

受傷後3日〜3週間ほど。線維芽細胞がコラーゲンを産生し、毛細血管が新生して赤く柔らかい肉芽組織が形成される。同時に創縁から表皮基底細胞が遊走して上皮化が進む。

アユム アユム

「良い肉芽」って赤くて湿潤な組織のことですよね。

博士 博士

そうじゃ。逆に「不良肉芽」は浮腫状で白っぽく、出血しにくい。感染や虚血が背景にあることが多い。

アユム アユム

成熟期はどんな時期ですか?

博士 博士

受傷後3週以降から数か月〜1年以上続く。最初に作られたⅢ型コラーゲンがⅠ型コラーゲンに置換され、線維が再配列されることで瘢痕が形成・収縮し、強度が上がっていく。

アユム アユム

最終的な皮膚の強度は元通りになるんですか?

博士 博士

いや、健常皮膚の70〜80%程度にとどまる。完全には元に戻らないのじゃ。肥厚性瘢痕やケロイドが形成されることもある。

アユム アユム

創傷治癒を妨げる因子にはどんなものがありますか?

博士 博士

低栄養、特にタンパク質・亜鉛・ビタミンC不足、糖尿病、ステロイド、喫煙、感染、低酸素、高齢などじゃ。看護師は栄養状態と血糖管理、感染対策、湿潤環境の維持でこれらに介入する。

アユム アユム

湿潤療法って最近主流ですよね。

博士 博士

そうじゃ。昔は「消毒して乾燥させる」が常識だったが、現在は湿潤環境を保つほうが上皮化が早いとわかっておる。ハイドロコロイドやフィルムドレッシングがその代表例じゃ。

アユム アユム

創のアセスメントから処置の選択まで、看護師の知識がケアの質を左右するんですね。

POINT

創傷治癒は出血凝固期、炎症期、増殖期、成熟期の4段階で進行し、各期で主役となる細胞・現象が異なります。炎症期のマクロファージによる清浄化、増殖期の肉芽形成・上皮化を経て、成熟期では3週以降から1年以上かけてコラーゲンの再配列と瘢痕形成が進み、最終的に健常皮膚の70〜80%の強度を獲得します。治癒を促進するには栄養管理、血糖管理、感染予防、湿潤環境の維持が不可欠で、低栄養・糖尿病・ステロイド使用・喫煙などは阻害因子となります。湿潤環境療法を基本とする現代の創傷ケアでは、看護師が創のアセスメントと全身管理を通じて治癒過程を積極的に支える役割を担います。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:創傷治癒の成熟期の状態はどれか。

解説:正解は 4 です。創傷治癒は出血凝固期(止血期)→炎症期→増殖期→成熟期(再構築期)の4段階で進行する。成熟期は受傷後3週間以降から数か月〜1年以上続き、コラーゲン線維の再配列により肉芽組織が瘢痕組織へと置き換わっていく過程で、瘢痕の形成・収縮・強度獲得が起こる。

選択肢考察

  1. × 1.  マクロファージが創内を清浄化する。

    マクロファージや好中球が壊死組織・細菌を貪食し創部を清浄化するのは炎症期(受傷後0〜3日頃)の特徴。サイトカインや成長因子を放出し次の増殖期へ移行させる。

  2. × 2.  基底細胞が創面を覆う。

    表皮基底細胞が分裂・遊走して創面を覆う上皮化は増殖期の現象。創縁や毛包・汗腺の基底細胞が起点となる。

  3. × 3.  肉芽組織を形成する。

    線維芽細胞がコラーゲンを産生し、毛細血管が新生して赤く柔らかい肉芽組織を形成するのは増殖期(受傷後3日〜3週)の特徴。

  4. 4.  瘢痕を形成する。

    成熟期ではⅢ型コラーゲンがⅠ型コラーゲンに置換され、線維が再配列されることで瘢痕が形成・収縮し、創の抗張力が回復する。最終的に健常皮膚の70〜80%程度の強度に達する。

創傷治癒の4段階:①出血凝固期(0〜数時間):血小板凝集・フィブリン網による止血、②炎症期(〜3日):好中球・マクロファージによる清浄化、③増殖期(3日〜3週):線維芽細胞の増殖、毛細血管新生、肉芽形成、上皮化、④成熟期(3週〜1年以上):コラーゲン再配列、瘢痕形成。創傷治癒を阻害する因子には、低栄養(特にタンパク質・亜鉛・ビタミンC不足)、糖尿病、ステロイド使用、喫煙、低酸素、感染、高齢などがある。湿潤環境療法(moist wound healing)が現代創傷ケアの基本。

創傷治癒の4段階それぞれの特徴的現象を識別する問題。瘢痕形成=成熟期の最重要キーワードとして押さえる。