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股関節術後のDVTを見逃すな

看護師国家試験 第113回 午前 第91問 / 成人看護学 / 周術期看護

国試問題にチャレンジ

113回 午前 第91問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(49歳、女性)は、これまで在宅勤務でほとんど外出することがなく、BMI33であった。Aさんは久しぶりの出勤の際に転倒し、右大腿骨頸部骨折(femoral neck fracture)と診断され、右人工股関節置換術を受けることになった。 Aさんの術後に最も注意すべき所見はどれか。

  1. 1.Courvoisier <クールボアジェ>徴候
  2. 2.Blumberg <ブルンベルグ>徴候
  3. 3.Homans <ホーマンズ>徴候
  4. 4.Romberg <ロンベルグ>徴候

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは49歳BMI33、在宅勤務中心で運動不足、そして人工股関節置換術を受けた。何が起こりやすいかな。

サクラ サクラ

深部静脈血栓症でしょうか。

博士 博士

その通り。肥満、臥床、手術侵襲とVirchowの3要素が全て揃っておるのじゃ。

サクラ サクラ

Homans徴候とはどのような所見ですか。

博士 博士

膝を伸ばして足関節を背屈すると下腿後面が痛む所見じゃ。DVTを疑うサインじゃよ。

サクラ サクラ

Courvoisier徴候は何を示しますか。

博士 博士

無痛性の胆嚢腫大で膵頭部癌や胆管癌を疑う所見じゃ。股関節とは無関係じゃ。

サクラ サクラ

Blumberg徴候は腹膜炎のサインですね。

博士 博士

そうじゃ、反跳痛のことじゃな。

サクラ サクラ

Romberg徴候は神経所見でしたか。

博士 博士

閉眼立位で動揺する所見で脊髄後索障害の評価に使うのじゃ。

サクラ サクラ

DVT予防には何をしますか。

博士 博士

弾性ストッキング、間欠的空気圧迫、抗凝固薬、早期離床、水分摂取を組み合わせるのじゃ。

サクラ サクラ

Homans徴候だけで判断してよいのでしょうか。

博士 博士

感度特異度ともに高くないから、下肢腫脹や左右差、D-ダイマーと併せて総合判断するのじゃ。

サクラ サクラ

肺塞栓症に進展すると命に関わりますね。

博士 博士

そうじゃ、呼吸困難や胸痛、SpO2低下を見逃してはならぬ。

POINT

人工股関節置換術後はDVTの高リスクで、Homans徴候が重要な評価項目です。Virchowの3要素が揃う肥満・臥床・手術という本症例は典型的な高リスク群です。弾性ストッキングや抗凝固薬などの予防策と、下肢腫脹・左右差・D-ダイマーを組み合わせた総合評価が欠かせません。肺塞栓症への進展を念頭に呼吸状態も継続観察しましょう。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(49歳、女性)は、これまで在宅勤務でほとんど外出することがなく、BMI33であった。Aさんは久しぶりの出勤の際に転倒し、右大腿骨頸部骨折(femoral neck fracture)と診断され、右人工股関節置換術を受けることになった。 Aさんの術後に最も注意すべき所見はどれか。

解説:正解は3です。BMI33の肥満と長期の運動不足、下肢の手術という背景から深部静脈血栓症の高リスク患者であり、背屈時の下腿後面痛すなわちHomans徴候に最も注意が必要です。

選択肢考察

  1. × 1.  Courvoisier <クールボアジェ>徴候

    Courvoisier徴候は無痛性の胆嚢腫大を触知する所見で、膵頭部癌や遠位胆管癌による閉塞性黄疸を示唆します。股関節術後の管理とは関連しません。

  2. × 2.  Blumberg <ブルンベルグ>徴候

    Blumberg徴候は腹壁を圧迫後に急に離すと痛みが増強する反跳痛で、腹膜刺激症状の代表です。腹膜炎を疑う際に用いる所見で本症例の合併症とは異なります。

  3. 3.  Homans <ホーマンズ>徴候

    膝を伸展した状態で足関節を背屈させたときに下腿後面に疼痛が生じる所見で、深部静脈血栓症を疑う徴候です。肥満・術後臥床・下肢手術はVirchowの3要素を満たし、本症例は高リスクといえます。

  4. × 4.  Romberg <ロンベルグ>徴候

    Romberg徴候は開眼立位は保てても閉眼で動揺・転倒しやすくなる所見で、脊髄後索障害や前庭障害を評価します。術後DVTの所見ではありません。

DVT予防には弾性ストッキング、間欠的空気圧迫装置、低分子ヘパリンによる抗凝固療法、早期離床、十分な水分摂取が組み合わせて行われます。Homans徴候は感度特異度ともに高くないため、下肢の腫脹・左右差・色調変化・D-ダイマー値と合わせて総合評価することが大切です。

人工股関節置換術後の代表的合併症である深部静脈血栓症の評価に用いる身体所見を、名称と意味を対応させて理解できているかを問う問題です。