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術後1日目の発熱を読み解こう

看護師国家試験 第113回 午前 第92問 / 成人看護学 / 周術期看護

国試問題にチャレンジ

113回 午前 第92問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(49歳、女性)は、これまで在宅勤務でほとんど外出することがなく、BMI33であった。Aさんは久しぶりの出勤の際に転倒し、右大腿骨頸部骨折(femoral neck fracture)と診断され、右人工股関節置換術を受けることになった。 術後1日、Aさんは39.1℃の発熱がみられた。 バイタルサイン:呼吸数 18/分、脈拍 117/分、整、血圧 132/82mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度 <SpO 2 >97%(room air)。 身体所見:呼吸音は異常なし、腰背部痛なし、術創部の腫脹、発赤、熱感はない。左手の末梢血管内カテーテル刺入部に発赤、熱感がある。 血液検査所見:赤血球 344万/μL、Hb 12.1g/dL、白血球 11,900/μL、血小板 18万/μL。 血液生化学所見:尿素窒素 16mg/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、CRP 11.4mg/dL。 尿所見:沈査に白血球を認めない。 胸部エックス線写真:異常所見なし。 Aさんの発熱の原因で考えられるのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.肺炎(pneumonia)
  2. 2.腎盂腎炎(pyelonephritis)
  3. 3.術創部感染
  4. 4.術後の吸収熱
  5. 5.カテーテル関連血流感染症(catheter related bloodstream infection)

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは術後1日で39.1℃の発熱じゃ。鑑別を整理しよう。

アユム アユム

肺炎はどう考えますか。

博士 博士

呼吸音正常、SpO2 97%、胸部エックス線も異常なしじゃ。肺炎は考えにくい。

アユム アユム

腎盂腎炎はどうでしょう。

博士 博士

腰背部痛がなく尿沈渣に白血球も出ておらぬ。これも否定的じゃ。

アユム アユム

術創部感染の可能性は。

博士 博士

術創部に腫脹発赤熱感がなく、術後1日は時期的にも早すぎるのじゃ。

アユム アユム

では左手の末梢カテーテル刺入部の発赤熱感はどう解釈しますか。

博士 博士

これが最大の手掛かりじゃ。カテーテル関連血流感染症すなわちCRBSIを強く疑う所見じゃよ。

アユム アユム

術後吸収熱も可能性がありますか。

博士 博士

術後2〜3日以内に組織損傷由来のサイトカインで発熱が起こる生理的反応じゃ。感染所見がなければ吸収熱を考える。

アユム アユム

CRBSIが疑われたらどう対応しますか。

博士 博士

カテーテルを抜去し、先端培養と血液培養2セットを採取するのじゃ。

アユム アユム

予防策にはどのようなものがありますか。

博士 博士

末梢カテーテルは72〜96時間で入れ替え、刺入部を毎日観察するのが基本じゃ。

アユム アユム

脈拍117で頻脈もありますね。

博士 博士

敗血症への進展に注意し、qSOFAで継続評価せよ。

POINT

術後発熱の鑑別では感染巣の局所所見と検査データを照合します。本症例は肺・尿路・術創部に異常がなく、末梢カテーテル刺入部の発赤熱感からCRBSIが疑われ、術後1日という時期から吸収熱も鑑別に挙がります。CRBSIではカテーテル抜去と培養採取が原則で、敗血症進展に備えた観察が重要です。刺入部の毎日観察と定期的入れ替えが予防の鍵となります。

解答・解説

正解は 4 5 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(49歳、女性)は、これまで在宅勤務でほとんど外出することがなく、BMI33であった。Aさんは久しぶりの出勤の際に転倒し、右大腿骨頸部骨折(femoral neck fracture)と診断され、右人工股関節置換術を受けることになった。 術後1日、Aさんは39.1℃の発熱がみられた。 バイタルサイン:呼吸数 18/分、脈拍 117/分、整、血圧 132/82mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度 <SpO 2 >97%(room air)。 身体所見:呼吸音は異常なし、腰背部痛なし、術創部の腫脹、発赤、熱感はない。左手の末梢血管内カテーテル刺入部に発赤、熱感がある。 血液検査所見:赤血球 344万/μL、Hb 12.1g/dL、白血球 11,900/μL、血小板 18万/μL。 血液生化学所見:尿素窒素 16mg/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、CRP 11.4mg/dL。 尿所見:沈査に白血球を認めない。 胸部エックス線写真:異常所見なし。 Aさんの発熱の原因で考えられるのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は4と5です。呼吸・腎・術創部に感染徴候がなく、末梢カテーテル刺入部に発赤熱感が認められる点からカテーテル関連血流感染症が強く疑われ、術後1日目という時期から生理的な吸収熱も併せて考えられます。

選択肢考察

  1. × 1.  肺炎(pneumonia)

    呼吸音に異常なく、SpO2は97%と良好で胸部エックス線写真も正常のため肺炎は否定的です。肺炎なら副雑音、酸素化低下、浸潤影が揃うことが多くなります。

  2. × 2.  腎盂腎炎(pyelonephritis)

    腰背部痛(CVA叩打痛)がなく、尿沈渣に白血球を認めないため腎盂腎炎は考えにくい所見です。尿路感染症では膿尿や側腹部痛が典型的です。

  3. × 3.  術創部感染

    術創部の腫脹・発赤・熱感がなく、また術創部感染は通常術後4〜7日以降に顕在化します。術後1日の発熱原因としては可能性が低いといえます。

  4. 4.  術後の吸収熱

    手術侵襲による組織損傷と炎症性サイトカインの放出によって、術後2〜3日以内に38℃前後の発熱が生じるのが吸収熱です。感染徴候を伴わない生理的反応として知られています。

  5. 5.  カテーテル関連血流感染症(catheter related bloodstream infection)

    左手の末梢静脈カテーテル刺入部に発赤と熱感があり、白血球11,900/μL・CRP 11.4mg/dLと炎症反応が高値です。カテーテルを感染源として菌血症を起こすCRBSIが強く疑われます。

CRBSIが疑われた場合は速やかにカテーテルを抜去し、先端培養と血液培養を2セット採取します。末梢カテーテルは原則72〜96時間ごとの入れ替え、刺入部の毎日観察、手指衛生とマキシマルバリアプレコーションの徹底が予防の基本です。39℃の発熱で頻脈も伴っており、敗血症への進展にも警戒が必要です。

術後発熱の鑑別において、各感染巣の典型所見と検査結果を照合し、最も可能性の高い原因を論理的に絞り込めるかを問う状況設定問題です。