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特発性肺線維症は『吸えない』病気〜拘束性換気障害の見分け方

看護師国家試験 第112回 午前 第47問 / 成人看護学 / 呼吸器系

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第47問

Aさん(62歳、男性)は呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)による間質性肺炎(interstitial pneumonia)と診断され、呼吸機能検査を受けた。 換気障害の分類を図に示す。 Aさんの換気障害の分類で当てはまるのはどれか。

Aさん(62歳、男性)は呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)による間質性肺炎(interstitial pneumonia)と診断され、呼吸機能検査を受けた。 換気障害の分類を図に示す。 Aさんの換気障害の分類で当てはまるのはどれか。
  1. 1.A
  2. 2.B
  3. 3.C
  4. 4.D

対話形式の解説

博士 博士

今日は62歳男性のAさんの症例じゃ。特発性肺線維症、別名IPFと診断されておる。換気障害はどのタイプか?

サクラ サクラ

特発性肺線維症って、肺が硬くなる病気でしたっけ?

博士 博士

その通り。肺胞の壁、つまり間質が線維化して肺全体が硬く縮んでしまう病気じゃ。原因不明で進行性、予後も良くない難病じゃ。

サクラ サクラ

肺が硬いと、どう困るんですか?

博士 博士

肺が膨らみにくくなる。風船の壁が硬くなったら膨らませにくいのと同じじゃ。だから大きく息を吸えない。

サクラ サクラ

吸えないんですね。吐くのは?

博士 博士

気道自体は狭くなっていないから、吐くのは問題ない。これがポイントじゃ。

サクラ サクラ

呼吸機能検査ではどう出るんですか?

博士 博士

%肺活量が80%未満に低下する。一方、1秒率は70%以上で保たれる。これを『拘束性換気障害』と呼ぶ。

サクラ サクラ

拘束性…縛られて吸えない感じですね。

博士 博士

良い覚え方じゃ!『拘束性=吸えない』『閉塞性=吐けない』とセットで覚えるのじゃ。

サクラ サクラ

閉塞性はどんな病気ですか?

博士 博士

COPDや気管支喘息じゃ。気道が狭くなって吐き出しにくい。だから1秒率が70%未満になる。でも肺活量は保たれるから%肺活量は正常。

サクラ サクラ

この図の見方が分かってきました。横軸が%肺活量で縦軸が1秒率ですね。

博士 博士

その通り。Aは%肺活量だけ低下、Bは両方正常、Cは両方低下、Dは1秒率だけ低下。

サクラ サクラ

だからAさんはAの領域で、拘束性換気障害ですね。

博士 博士

正解!ちなみにIPFの特徴的所見も覚えておくと良いぞ。乾性咳嗽、労作時呼吸困難、聴診でfine crackles(捻髪音)、バチ状指、CTで蜂巣肺じゃ。

サクラ サクラ

蜂巣肺って面白い表現ですね。

博士 博士

CT画像で蜂の巣みたいに見えることからじゃ。治療は抗線維化薬のピルフェニドンやニンテダニブ、進行例では肺移植も考慮される。

サクラ サクラ

Aさんは62歳で進行してきているんですね。看護としてはどう関わるんですか?

博士 博士

呼吸困難への対応、酸素療法の管理、感染予防、心理的支援、在宅酸素への移行支援など幅広い関わりが必要じゃ。進行性疾患じゃから、生活の質を維持する支援が鍵じゃな。

サクラ サクラ

疾患の性質を理解することが看護の質につながるんですね。

POINT

特発性肺線維症(IPF)は肺の間質が線維化して肺が硬く縮む進行性の難病であり、息を吸えなくなる『拘束性換気障害』を呈します。呼吸機能検査では%肺活量が80%未満に低下する一方、気道は狭くないため1秒率は70%以上で保たれ、分類図では領域Aに該当します。特徴的所見としては乾性咳嗽、労作時呼吸困難、捻髪音、バチ状指、CT上の蜂巣肺があり、予後は診断後3〜5年と比較的不良です。Aさんのような患者に対し看護師は呼吸困難の緩和、酸素療法の管理、心理的支援、在宅療養への移行支援など、生活の質を支える多面的なケアを提供します。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:Aさん(62歳、男性)は呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)による間質性肺炎(interstitial pneumonia)と診断され、呼吸機能検査を受けた。 換気障害の分類を図に示す。 Aさんの換気障害の分類で当てはまるのはどれか。

解説:正解は1の『A』です。特発性肺線維症(IPF)による間質性肺炎は、肺の間質(肺胞壁)が線維化して肺が硬く縮むために、大きく息を吸えなくなる病態です。呼吸機能検査では%肺活量(%VC)が80%未満に低下し、1秒率(FEV1%)は70%以上で保たれる『拘束性換気障害』を示します。換気障害の分類図では、%肺活量が低下して1秒率が正常な領域Aが拘束性換気障害にあたります。

選択肢考察

  1. 1.  A

    領域Aは%肺活量<80%かつ1秒率≧70%の拘束性換気障害を示す。間質性肺炎、肺線維症、じん肺、胸郭変形、神経筋疾患などが該当する。

  2. × 2.  B

    領域Bは%肺活量≧80%かつ1秒率≧70%の正常範囲を示す領域。換気障害はない状態である。

  3. × 3.  C

    領域Cは%肺活量<80%かつ1秒率<70%の混合性換気障害。重度のCOPDが進行した場合や気管支拡張症などが該当する。

  4. × 4.  D

    領域Dは%肺活量≧80%かつ1秒率<70%の閉塞性換気障害。COPD、気管支喘息、びまん性汎細気管支炎などが該当する。

換気障害は『吸えない=拘束性』『吐けない=閉塞性』と覚えると分かりやすい。拘束性は%肺活量<80%、閉塞性は1秒率<70%で定義される。特発性肺線維症(IPF)は原因不明に肺の間質が線維化する進行性疾患で、乾性咳嗽、労作時呼吸困難、聴診でのfine crackles(捻髪音)、バチ状指、CTでの蜂巣肺(honeycombing)が特徴。治療は抗線維化薬のピルフェニドンやニンテダニブが使われ、進行例では肺移植も選択肢となる。予後は比較的不良で診断後の生存期間中央値は3〜5年とされる。

換気障害の分類(正常・拘束性・閉塞性・混合性)を理解し、特発性肺線維症が拘束性換気障害を呈することを図上で判断できるかを問う問題。視覚情報の読み取りが必須。