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介達牽引と腓骨神経麻痺

看護師国家試験 第111回 午後 第48問 / 成人看護学 / 感覚器・運動器系

国試問題にチャレンジ

111回 午後 第48問

下腿の介達牽引を受けている患者が足背のしびれを訴えている。 看護師が確認すべき項目で優先度が高いのはどれか。

  1. 1.下肢の肢位
  2. 2.牽引の方向
  3. 3.重錘の重さ
  4. 4.弾性包帯のずれ

対話形式の解説

博士 博士

今日は介達牽引中の合併症について学ぼう。足背のしびれと聞いて、何を疑うべきじゃろうか?

アユム アユム

神経障害でしょうか?

博士 博士

そのとおり。特に下腿介達牽引中の足背しびれは、腓骨神経麻痺の典型症状じゃ。

アユム アユム

腓骨神経はどこを走っているのですか?

博士 博士

膝関節外側の腓骨頭直下を表在性に走行しておる。皮下すぐの位置じゃから、外部からの圧迫に極めて弱い神経じゃ。

アユム アユム

なぜ牽引中に麻痺が起こるのですか?

博士 博士

仰臥位で牽引していると下肢が自然に外旋しやすい。すると腓骨頭がマットレスやシーツに押し付けられて神経が圧迫される。

アユム アユム

症状は?

博士 博士

足背と下腿外側のしびれや感覚障害、足関節背屈・足趾伸展の障害、進行すると下垂足と呼ばれる特徴的な歩行障害が出る。

アユム アユム

正解の1番、下肢の肢位について詳しく教えてください。

博士 博士

まず下肢が外旋位になっていないか確認する。外旋していれば足尖をやや内旋〜中間位に戻し、枕や砂嚢で支持して腓骨頭の除圧を図る。これが最優先じゃ。

アユム アユム

牽引の方向は?

博士 博士

牽引方向は骨折整復や疼痛に関わる重要事項じゃが、足背しびれの直接原因にはなりにくい。肢位確認より優先度は低い。選択肢2は不正解じゃ。

アユム アユム

重錘の重さはどうですか?

博士 博士

治療計画に沿って設定されたものじゃから、重さそのものは腓骨神経麻痺の直接原因とはなりにくい。優先度は低い。選択肢3も誤りじゃ。

アユム アユム

弾性包帯のずれは?

博士 博士

きつすぎや位置のずれで腓骨頭を圧迫することはあるが、まずは下肢全体の肢位を確認するのが優先じゃ。選択肢4も不正解じゃ。

アユム アユム

予防策は?

博士 博士

外旋位の回避、腓骨頭部へのドーナツ枕などの除圧、長時間の同一肢位回避、弾性包帯は腓骨頭を避けて巻くこと。定期的な観察が重要じゃ。

アユム アユム

介達牽引と直達牽引の違いは?

博士 博士

介達牽引は絆創膏や包帯で皮膚に牽引力を伝える方法で侵襲が少ない。直達牽引は骨にピンを直接刺入するため強い牽引力が得られる。前者は皮膚トラブルに、後者はピン刺入部感染に注意じゃ。

アユム アユム

症状出現時の対応は?

博士 博士

速やかに医師へ報告し、肢位矯正と牽引方法の見直しを行う。早期対応で可逆性が期待できるが、放置すると不可逆の下垂足に至ることもある。

アユム アユム

よく理解できました。

POINT

下腿介達牽引中の足背しびれは腓骨神経麻痺を疑う所見で、腓骨頭の圧迫が原因となります。最優先で確認すべきは下肢の肢位であり、外旋位を矯正し腓骨頭を除圧します。牽引方向・重錘・弾性包帯も観察項目ですが、しびれの直接原因にはなりにくく優先度は下がります。予防には適切な肢位保持と除圧、定期観察が不可欠です。正解は選択肢1です。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:下腿の介達牽引を受けている患者が足背のしびれを訴えている。 看護師が確認すべき項目で優先度が高いのはどれか。

解説:正解は 1 です。下腿介達牽引中の足背しびれは、腓骨神経麻痺を強く示唆する所見です。腓骨神経は膝関節外側の腓骨頭直下で最も表在性に走行し、圧迫に弱い部位です。牽引中に下肢が外旋位をとると腓骨頭がマットレスやシーツに押し付けられて神経圧迫が生じ、足背のしびれ・感覚障害・下垂足などの症状が出現します。したがって最も優先度が高い確認項目は「下肢の肢位」であり、外旋を矯正して腓骨頭の除圧を図る必要があります。

選択肢考察

  1. 1.  下肢の肢位

    下肢が外旋位になっていると腓骨頭が圧迫され、腓骨神経麻痺を生じて足背のしびれや下垂足を起こします。足尖をやや内旋〜中間位に保ち、枕や砂嚢で下肢を支持して腓骨頭の除圧を図ることが最優先です。

  2. × 2.  牽引の方向

    牽引方向のずれは骨折整復や疼痛に影響する重要事項ですが、足背しびれの直接原因にはなりにくく、肢位確認より優先度は低くなります。

  3. × 3.  重錘の重さ

    重錘の重さは治療計画に基づく必要項目ですが、過重でも通常は腓骨神経麻痺の直接原因とはなりません。肢位確認の方が優先されます。

  4. × 4.  弾性包帯のずれ

    弾性包帯のきつすぎや位置のずれは腓骨頭の圧迫を介して神経麻痺を起こす可能性はありますが、しびれ出現時にまず確認すべきは下肢全体の肢位です。

腓骨神経麻痺の症状は足背と下腿外側の感覚障害、足関節背屈・足趾伸展障害による下垂足、踵歩行困難などです。予防には外旋位の回避、腓骨頭部への除圧(ドーナツ枕など)、長時間の同一肢位の回避、弾性包帯の適切な巻き方(腓骨頭を避ける)が重要です。症状出現時は速やかに医師へ報告し、肢位矯正と牽引方法の見直しを行います。介達牽引は皮膚に絆創膏や包帯で牽引力を伝える方法で、直達牽引(骨に直接ピンを刺入)より侵襲は少ないが皮膚トラブルに注意が必要です。

下腿介達牽引の代表的合併症である腓骨神経麻痺を想起し、その原因となる体位異常の確認が最優先であることを問う問題です。